【ギャルゲ風安価SS】>>3「また一年が始まる」 3/3 8

835>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/23() 08:56:46.75ID:Ej2F6ea/

翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


あの後、一緒に帰ろうって誘ったけど、菜々ちゃんには「用事がある」ってことで断られてしまった。

今週末に同好会のライブがあるんだし、たぶんスクールアイドルの練習だよね。

…少しでも順調に進んでくれてるといいな。

でも同好会の活動の前に、なんで中庭にいたんだろう?


歩夢「学校に着いたら、はんぺんちゃんの様子覗いていこっか?」

侑「賛成!私のパン食べてくれてるといいな」

歩夢「大きいからって後回しにされてたりして」

侑「そしたら持ってっちゃうから!」

歩夢「やめなさい」クスクス

 

836>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/23() 09:00:44.37ID:Ej2F6ea/

お昼休み…


結局、はんぺんはみんな食べてた。

パンは一つも残ってなくて、歩夢と「食いしん坊だね」って笑った。

ちょっと嬉しかったのは、私達の名前を書いたノートの切れ端が寝床の奥に持ち込まれてたこと。

わかったのかわかってないのか、なんだかお礼を言われたような感覚になっちゃった。


侑「はんぺんのネームプレートでも作ってあげようかなぁ」


あ、そしたら『飼ってる』ことになっちゃうかな。

難しいや。

 

837>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/23() 09:05:37.97ID:Ej2F6ea/

裏庭


「「いただきます」」

侑「果林先輩いなかったね」

歩夢「あんまり、いつも同じところにいるイメージってないかも」

侑「ちょっと気まぐれそうだもんね。猫みたい」

歩夢「あー。果林先輩に言いつけちゃおーっと」

侑「えっ…ええ!?なんで、悪口言ったんじゃないよ!」

歩夢「だったら果林先輩に話しても問題ないよね」

侑「ん…んん!?あれ、確かに……いやでも待って、なんか私だったら怒られそうな気がする!」

歩夢「ほっぺたぐにーってされるんでしょ」

侑「やだぁぁ…」


歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼

 

839名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/23() 18:39:23.51ID:avZ3YrPD

 

840>>1 1Y9DDrqNbw ()2020/12/24() 07:20:19.91ID:+nZdnLXw

放課後…


私なりに考えてみた。

直接同好会のお手伝いをすることはできなくても、例えば菜々ちゃんと話す機会を増やすことで、なにか心配事にヒントをあげられたりできるんじゃないかって。

あるいは、菜々ちゃんじゃなくて他の部員の誰かでもいいのかも。

でも、ライブ直前のこの時期、練習とかの時間は一秒だって惜しいはずだよね。

うーん…どうしよっかなぁ…


誰かに連絡する? 
>>841
1.
菜々
2.
かすみ
3.
彼方
4.
やめておく

 

841名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/24() 07:24:06.75ID:y1SpUj90

3

 

842>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 07:33:59.31ID:+nZdnLXw

菜々ちゃん…も、あれだけはっきり言われた以上、そうそう私に頼ってはくれないよね。

かすみんには積極的に同好会の話を振りづらいし、かと言って自分から話してくれることはないよね。

私から『ファンとして応援したい』って伝えちゃったし、さすがに情けない気持ちもある。

一番気兼ねなく同好会の話をできる相手って、もしかして──


侑 スマスマ…


なんか、連絡しても夜にしか返ってこないみたいなことを誰かが言ってたような気がするけど。

連絡しておく分にはいいよね。

 

843>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 07:45:46.40ID:+nZdnLXw

帰り道


歩夢「今年の水着、もう発売されたんだって」

侑「へー、そうなの?まだ五月なのにね」

歩夢「年々早くなってる感じだよね」

歩夢「ね、侑ちゃん。今年はどんな水着にしよっか」

侑「え~?それじゃまるで毎年水着買い替えてるみたいじゃん」

歩夢「もう、こういうのはどれにしようかなーって考えてお話しするのが楽しいんじゃない」

侑「あはは、ごめんごめん。そうだなー、歩夢にはフリルがついた可愛いやつ着てほしいかも」

歩夢「侑ちゃんはお揃い?」

侑「私はフリルって柄じゃないからさ。こう、ストーンって繋がったやつ……あ、スク水でいいよ!」

歩夢「いいわけないでしょ。はい、一緒にお買い物に行くことが決まりましたー。一番可愛いの買うことに決定でーす」

侑「え~~、いいよ~~」


歩夢と帰りました! ▼

 

844>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 07:49:51.68ID:+nZdnLXw

夜…


『彼方ちゃん:やっぴ~』


侑「あ、彼方ちゃんだ」


放課後は同好会だったのかそうじゃないのか、お返事が来たのはもう晩ごはんもお風呂も終えて部屋に引っ込んだ頃だった。


『やっぴー?』

『彼方ちゃん:やっほーのすやぴだよ』


よくわかんないけど可愛いかも!

 

845>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 07:58:14.43ID:+nZdnLXw

『遅くまでお疲れ様?』

《彼方ちゃん:かなー?》

《彼方ちゃん:遥ちゃんと晩ごはん食べ終えたとこだよ~》

『遥ちゃん!私も会ってみたいな』

《彼方ちゃん:いいよ、いつでも遊びにおいでよ。私がうちにいる日ならね》

『彼方ちゃんって忙しいの?』

《彼方ちゃん:どうだろ?》

《彼方ちゃん:毎週末おうちでのんびりしてるってことはないかもだね》

《彼方ちゃん:連絡してくれたら予定あけとくから大丈夫だよ~》


※ 非常に見づらかったので、カッコを別表記にしています。他意はありません。

 

846>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:06:57.39ID:+nZdnLXw

かすみんも、彼方ちゃんの予定はよくわかんないみたいなこと言ってたもんね。

初めて会った日だってお買い物に出かけたはずが公園で居眠りしてたりしたし、なかなかライフスタイルを把握するのが難しそうだ。


『私は毎週末だいたいヒマしてるよ。反対だね!』

《彼方ちゃん:そうなの?》

《彼方ちゃん:若いんだからたくさん遊ばなくちゃだめだよ》

『彼方ちゃんが声かけてくれたらお買い物にも練習にも付き合うよ!』

《彼方ちゃん:そうだねぇ》


わざと『練習』って言葉を使ってみたけど、返信の速さは特に変わらない。

どうだろう、私からそっちに話題を持っていってもいいのかな…

 

847>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:10:32.17ID:+nZdnLXw

と、少し迷ってると、


《彼方ちゃん:ゆーちゃん、せつ菜ちゃんとお友達なんだっけ?》


侑「!」


『うん、そうだよ』


同好会に全員で集まった日、せつ菜さんが私達の名前を呼んじゃったんだよね。

せつ菜さんと友達かって聞かれると怪しいところだけど、菜々ちゃんは友達だもん。


《彼方ちゃん:明日の放課後って予定ある?》

 

848>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:19:14.20ID:+nZdnLXw

『ないよ。歩夢と帰ると思うけど、どこか寄り道するかなーどうかなーって感じ』

『なにか手伝う?』

《彼方ちゃん:歩夢ちゃんか~》

《彼方ちゃん:歩夢ちゃんもせつ菜ちゃんとお友達なんだっけ?》

『そうだよ』


そこで初めて、彼方ちゃんが迷ってるような空白の時間が生まれた。

なんだろう…

せつ菜さんと、私達と、その関係が気になるって。

…あれ、そういえばせつ菜さんが菜々ちゃんだって、同好会のみんなは知ってるのかな?

そう考え事をしてるうちに彼方ちゃんから来たメッセージは、


《彼方ちゃん:明日の放課後、せつ菜ちゃんと一緒にいてほしいなーって思うんだけど》

《彼方ちゃん:お願いできない?》

 

849>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:26:42.37ID:+nZdnLXw

『どういうこと?』

《彼方ちゃん:どこか遊びにいくのでも一緒に帰るのでもいいんだけど、せつ菜ちゃんの放課後の予定を抑えちゃってほしいの》


次は私がお返事の手を止める番。

それをすることにどんな意味があるんだろう。

安易にいいよって答えちゃってもいいのかな。

歩夢に、相談してみた方がいい…?


────♪………


侑「!」


『着信:彼方ちゃん』

 

850>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:29:22.07ID:+nZdnLXw

侑「も、もしもし!」

彼方『あ、侑ちゃん。やっぴ~』

侑「あはは、やっぴー、彼方ちゃん」

彼方『急に電話しちゃってごめんね。今大丈夫?』

侑「うん、平気だよ。よかった、どう返せばいいのかわかんなかったから」

彼方『だよね~。戸惑ってるのが画面の向こうからひしひし伝わってきたよ』

彼方『順を追って話したいんだけど、五分くらい話せる?』

侑「うん、いいよ。聞かせて」

 

851>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:38:18.65ID:+nZdnLXw

彼方『せつ菜ちゃんから聞いてるかな。彼方ちゃん達ね、今週の日曜日にライブの予定があるの』

彼方『今はそこに向けてみんなで練習してて』

彼方『前も言ったように、曲の数はどうしても足りないんだけど…それなら一曲一曲のパフォーマンスを高めて、短くても観てくれた人達に満足してもらえるようなライブを目指そうってことになったの』

彼方『それでみんななんとかやってやろう~って頑張ってはいるんだけど』

彼方『なかなか、温度感が合わなくってね。イマイチ上手く行ってない感じなんだ』

 

852>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:46:00.69ID:+nZdnLXw

彼方『練習メニューは今までとはちょっとレベルが違うってくらい激しくなって、放課後の数時間だけでもみんなへとへとになっちゃうの』

彼方『でも、決めたからにはライブを成功させたいって思いで、みんななんとかついていってる』

彼方『自分がしたいパフォーマンスでお客さん達に喜んでもらうには、それができるくらいの実力がなくちゃいけないからね。それをわかってるから、きつくても必要なことなんだってみんな踏ん張ってる…』

彼方『ん、だけどねぇ…』

侑「…ちょっと、きつ過ぎる…?」

彼方『ん~、さすが侑ちゃあん。よくわかってくれるね、彼方ちゃんの言いたいことを』

侑「うん…」

 

853>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:53:24.17ID:+nZdnLXw

彼方『元々ね、せつ菜ちゃんって毎日は練習に来なかったんだ』

侑「なんか、そうらしいね」

彼方『うん。同好会以外にもやってることがあってそっちにも顔を出さなくちゃいけないからって。水曜日と金曜日はお休みだったの』


金曜日…は、生徒会の会議があるって前に言ってたよね。

一緒にブルーレイを買いにいったのは週の中頃だったと思うけど、何曜日だったかな。


彼方『でもね、いざ会場の許可が取れてライブをやるのが決定してからは、毎日かなぁ…うん、たぶんほとんど毎日。用事があっても一時間くらいだけでも顔を出してくれてるんだよね』

 

854>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 08:59:20.48ID:+nZdnLXw

彼方『部長で色んなこと仕切ってくれるし、スクールアイドルの知識も一番あるから、頼りになるんだよ。それは全員思ってるの』

彼方『でも、あんまりにもパワフルっていうか…』

彼方『同好会みんなの体力が、せつ菜ちゃんのレベルについていかないんだよぉ』

侑「……なるほど」

侑「だから、私が明日せつ菜さんを連れ出すことで、みんなの身体を休めたいってことだね」

彼方『そうなの』

 

855>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 09:05:48.45ID:+nZdnLXw

彼方『もちろん、これからスクールアイドルとして活動していこうと思ったら、体力をつけたりハードな練習をこなしたりしなくちゃいけないんだってことはよくわかってるの』

彼方『でも、まだ発足したばっかりの同好会で、メンバーの体力もばらばらの状態で、続けるメニューじゃないって…彼方ちゃんは思うんだよ』

彼方『きちんと言わなくちゃいけないんだけど、やっと、なんとか目標ができて動き始めたのに、今それを言ってもし止まっちゃったら…』

彼方『…もう、二度と……みんなで同じ目標に向かおうって機会が巡ってこないような気がしてね、…怖いの』

 

856>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 09:12:05.16ID:+nZdnLXw

侑「わかった」

侑「明日は私がせつ菜さんを確保するよ。だから彼方ちゃん達はしっかり休んで!」

彼方『侑ちゃあん……!』

彼方『今週のライブまで頑張るんだ。それさえ乗り切ったら、振り返って反省って形できちんと言わなくちゃいけないことは言うから』

彼方『だから、明日だけ甘えてもいい?』

侑「任せて!ちょうど私も菜々ちゃんと話したいなって思ってたから。明日の放課後は私達と一緒にいてもらうよ!」

彼方『…』

彼方『ありがとう、侑ちゃん。また好きなもの作ってあげるからね~』

侑「ほんと!?やったー、なおさら頑張っちゃうよ!」

 

857名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/24() 09:16:06.15ID:pE8VVzrz

あっ...

 

858>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 09:21:58.40ID:+nZdnLXw

彼方『結局私達の問題に巻き込むみたいにしちゃってごめんね』

侑「ううん、そんなことないよ。みんなの力になれるならどんな些細なことだってやりたいんだ。それに、私達の間で変に気を遣うのはなしだって、彼方ちゃんが言ってくれたことだよ」

彼方『おーっと、でしたでしたな~』

彼方『へへ…あー、よかった。侑ちゃんが連絡してきてくれて』

侑「ね!ちょうどよかったよ」

彼方『これで今夜は安心してすやぴできるなぁ』

侑「ちゃんとお布団で寝てね?」

彼方『すやぁ…』

侑「かなたちゃーーーん!」

彼方『えへへ~』


彼方と話しました! ▼

 

859>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 09:24:22.63ID:+nZdnLXw

今朝はこんなところで。
たまに安価を出すかもしれませんが、選択肢によって描写や小さな出来事が異なる程度で菜々エンドに至ることは変わらないので、あまり深く考えずに取っていただいて大丈夫です

 

861>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:24:09.35ID:+nZdnLXw

翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


今日の私は決意に満ちてる。

昨日の夜、彼方ちゃんと話したこと。

話したのがかすみんだったらきっとだめだったし、私じゃなければ彼方ちゃんも頼ってくれなかったと思う。

なんとか掴んだ、同好会のみんなの役に立てる機会。

ううぅ、頑張るよ…!


侑「歩夢、今日もお弁当だよね?」

歩夢「そうだよ。もしかして、侑ちゃんパン?いいよ、購買部に行くのくらい付き合うよ」

侑「あー…じゃなくってね」

侑「今日のお昼ごはん、菜々ちゃんと食べない?」

歩夢「………へえ?」

 

862>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:32:06.86ID:+nZdnLXw

お昼休み…


侑「歩夢、行こ」

歩夢「はいはい」ガタ…


あんな話をしたばっかりで菜々ちゃんとのごはんを提案するのは、さすがの私も結構覚悟が必要だったけど。

目的をきちんと話したら、歩夢も頷いてくれた。

この作戦には歩夢の協力が必須だもんね。


侑「手伝ってくれてありがと、歩夢」

歩夢「スクールアイドル同好会には口出ししないって言ったのに。今回だけだからね」

侑「わかってるー」

 

863>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:34:58.88ID:+nZdnLXw

『生徒会室』


コンコン


「います。どうぞ」

侑「なーなちゃんっ」ガラッ

菜々「侑。歩夢さん」パァ

侑「こんにちは、来ちゃった。一緒に食べない?」

菜々「お二人なら大歓迎ですよ。どうぞ入ってください」

侑「お邪魔しまーすっ」

歩夢「失礼します」ペコ

 

864>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:38:34.99ID:+nZdnLXw

「「「いただきます」」」

侑「菜々ちゃん、今日はパン買ってないの?」

菜々「んぐっ!」

菜々 ゴホッ…ゴホッ…

侑「ええっ!?だ、大丈夫!?」

菜々「大丈夫です、大丈夫…」ハァ

菜々「今日は、そうですね。買ってません。お弁当と両方は食べられないことがわかりましたからね」

侑「そりゃそうだよ~。もう、菜々ちゃんってば意外と食いしん坊なんだから」

菜々「は、はは…」

歩夢「お弁当とグラタン食べた人に言われたくないよね、菜々ちゃん」

菜々「え?」

侑「あ、歩夢!なんでそういうこと言うの!」

菜々「そんなに食べたんですか…?というか、学校でグラタン…?」

侑「あーもーほら~、変な目で見られたぁ!」

 

865>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:43:46.57ID:+nZdnLXw

侑「そういえばはんぺんのことだけど」

菜々「んぐっ!」

菜々 ゴホッ…ゴホッ…

侑「え…えええっ!?菜々ちゃん大丈夫!?今日なんかおかしいよ!」

菜々「だ、大丈夫です…」フゥ

侑「昨日、朝様子見にいったんだけどね、パン三つとも食べちゃってたんだよ。一晩で!」

菜々「そ、そうなんですか。へえ~…」チラッ

歩夢 ニコニコ

菜々「ぅ…」

侑「誰のパンを最初に食べたのかはわかんなかったけど、みんな食べてくれたからあいこだね!」

歩夢「名前の紙も大事にしてくれてたんだよ。お家の奥の方に持ち込んでたの」

菜々「侑達のことを覚えてくれているといいですね」

侑「うん!」

 

866>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:49:11.00ID:+nZdnLXw

侑「お昼はいつもかすみん達がパンあげてくれてるみたいだからいいけど、放課後とか朝とか、なにか持っていってあげた方がいいかな?」

歩夢「食パンも三日くらいもつし、一枚を何日かに分けて持っていってあげてもいいかもね」

菜々「…」

侑「ね、菜々ちゃん」

菜々「…そう、ですね」

菜々「せっかく触れ合える距離にいるのなら可愛がりたいという気持ちはよくわかりますが、あまりに構い過ぎるのは…」

歩夢「飼ってるってことに、なっちゃう?」

菜々「そう思われないようにしておくのが無難ではあると思います。はんぺんちゃんが見逃されているのはあくまでも『飼い猫ではないから』ですから」

侑「そっか…」

侑「じゃあ、毎日はんぺんの寝床の前を歩くときにうっかりパン落としちゃおうよ!」

歩夢「ヘンゼルとグレーテル?」

菜々「計画的に落とし物をしないでください」

 

867>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 20:55:10.13ID:+nZdnLXw

何気ない談笑。

屈託のない笑顔でお弁当をつつく菜々ちゃん。

その隙を突いてアイコンタクトを交わす私達。

自然に、自然に。

だけど、確実に。

──いくよ、歩夢!

 

868>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:04:04.71ID:+nZdnLXw

侑「ところで菜々ちゃん。今日の放課後、なにか予定ある?」

菜々「はい?」

菜々「そうですね、今日は──」

歩夢「うちに遊びにこない?」

菜々「え、歩夢さんのお家にですか?」

菜々「…すみません。お誘いはありがたいのですが、今日…というか今週末までは、」

侑「今日ね、歩夢がお菓子作ってくれるんだけどね!なんだっけー?」

歩夢「お…」

歩夢「お休みの日のとくべつドーナッツ、だよ」


菜々「──────!!」ピキピキーン

 

869>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:06:49.60ID:+nZdnLXw

菜々「今、歩夢さん、な…なんと…?」

歩夢「お…」

歩夢「お休みの日のとくべつドーナッツ、だよ」


菜々「──────!!」ピキピキーン


侑「二回目でもそうなっちゃうんだ」

菜々「それはその、なんというか、歩夢さんのお家に代々伝わる秘伝のレシピのドーナッツをそう呼んでいるとかそういうお話ですか?そ、それとも…」

歩夢「えっと、この間やってたアニメでそんなのを作ってて、私もやってみようかなって…」

菜々「ややややややっぱりそうだァーーー!!!」ドヒャーーーッ

 

870>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:10:06.16ID:+nZdnLXw

歩夢「基本は普通のドーナッツなんだけど、ハニーグレーズっていうお砂糖のシロップみたいなのをかけてね、」

菜々「しっしっ知ってます!!」

菜々「あっあっ、あぁあ……あんなに美味しそうなドーナッツを!歩夢さん!あなたは再現できるというんですか!?」フンスフンス

歩夢「ど、どうかな…そんなに難しくないだろうから、できる…と、思うよ…」

菜々「んんんんんんんっっっ!!」ピーッ

(菜々ちゃん大喜びだなぁ)

 

871>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:14:07.33ID:+nZdnLXw

侑「どうかな?菜々ちゃん。みんなで食べたらきっと美味しいよ!おいでよ!」

菜々「ぅ、ぐ…っ!」

侑「歩夢が作るお菓子美味しいんだよ。作りたてのドーナッツなんて、考えただけでよだれ出ちゃいそうだよ!」

菜々「しかも、ただのドーナッツではなく……お休みの日のとくべつドーナッツ…っ!」

侑「ほら、歩夢に料理教えてもらうみたいな話もあったでしょ?まずは歩夢が作ってるのを眺めるだけでも勉強になると思うよ」

菜々「そ、それはっ……そう、でしょうけれど……!」

侑「どうする?」

侑「菜々ちゃん、自分で作れるようになっちゃうかもよ?お休みの日のとくべつドーナッツ」

菜々「行きますッ!!行かせてくださいッッ!!!」カッッ

 

872>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:19:08.90ID:+nZdnLXw

菜々 ────ハッ!!!

侑「やったーっ、行くって!!」

歩夢「やったね侑ちゃん」


パチン


菜々「あっ、や!ま…待ってください、今のはつい感情の赴くままに口が勝手に発言してしまっただけというか──」

侑「え、来てくれないの?行くって言ったよね?」

菜々「ううううっ」ギクッ

侑「菜々ちゃんと一緒にドーナッツ食べられると思ったのに…」シュン

菜々「あ…あのあの侑、すみません、例えば来週にするというのはどどどどうですか…」オロオロ

侑「ずっと前から楽しみにしてたのにな…」

侑「菜々ちゃんと稲妻」ポツリ

菜々「申し訳ありませんでした!!行きます、もちろん行きます!!この中川菜々、一度口にしたことを安易に取り下げるような教育は受けていませんからっ!!!」

侑「やったーっ!」ピョンピョン

菜々「く、くぅぅ……!」

歩夢「振り回されてるなぁ」

 

873>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:26:44.67ID:+nZdnLXw

侑「それじゃ菜々ちゃん、また放課後にね。授業が終わったらまっすぐ校門でね!」

菜々「せ、せめて一時間………」

侑「また後でね」ニコッ

菜々「……はい」ガクッ

歩夢「侑ちゃんに狙われちゃったらそうなるよね。わかるよ」ホロリ…

菜々「…」

菜々「行くと決めたからには思い切り楽しむことにします」スクッ

菜々「楽しみにしていますね。歩夢さん」

歩夢「うん。頑張って美味しく作るからね」

菜々「はいっ!」ペカー

 

874>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/24() 21:29:29.14ID:+nZdnLXw

侑「…よかった、なんとか上手くいったね。ありがとう、歩夢」

歩夢「あんな方法で無理やり連れ出すなんて申し訳ないなぁ…」

侑「いいんだって、菜々ちゃんも吹っ切れて楽しみにしてるって言ってたし!」

歩夢「言わせたようなものでしょ。まったく」

侑「えへへ~」

侑「じゃあ歩夢、お願いします!」っスマホ

歩夢「ハニーグレーズなんか作ったことないのに~」ハァ…


菜々とお昼ごはんを食べました! ▼

 

876名無しで叶える物語(たまごやき)2020/12/24() 22:14:14.43ID:yLdAcQh7

おつおつ
結局押し負けるせつ菜いいぞ

 

877>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:05:15.82ID:vET/VGBt

放課後…


歩夢に任せっ放しにするのもよくないかなと思って一応レシピを見てみたけど、よくわかんなかった。

でもドーナッツが出来上がっていく様子が丁寧に画像で載ってて期待はすごく膨らんじゃった!

揚げたてって熱いのかなぁ。

楽しみだなぁ。


侑「帰ろう、歩夢!」ジュルリッ

歩夢「まずはお買い物しなくちゃだからね」

侑「わかってるー!」

 

878>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:08:41.57ID:vET/VGBt

侑「菜々ちゃ~ん」

菜々「今日も一日お疲れ様でした」ペコッ

歩夢「お疲れ様でした」ペコ

侑「なに言ってるの、二人とも。本番は今からだよ!」

菜々「侑は一日楽しく過ごせましたか?」

侑「うん!今日も楽しかったよ」

菜々「それはよかったです」

侑「でも今からの時間もきっと楽しくなると思うんだ!」

菜々「そうですね」クス

歩夢「材料を買わなくちゃいけないから、スーパーに寄って帰るね」

菜々「はい。よろしくお願いします」

 

879>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:16:56.90ID:vET/VGBt

侑「今日はなに買って帰るの?」

歩夢「小麦粉はどっちともあったはずだから、ドライイーストと牛乳が必要だね。ソース用のチョコレートと、ハニーグレーズ用にレモンとハチミツ、…あ、粉糖もいるんだね」

菜々「フントウとはなんですか?」

歩夢「お菓子用の粉状のお砂糖だよ」

菜々「普通の砂糖ではだめなんですか?」

歩夢「だめってことはないんだけど、粉糖と普通のお砂糖では役割が違うの。粉糖は生地をサクッとさせたいときに使うものなんだよ」

菜々「へえ…!歩夢さんは物知りですね」

歩夢「そんな。ずっとやってたから覚えちゃっただけだよ」

侑「砂糖って普通粉じゃないの?」

菜々「砂糖は結晶ですね」

侑「??」

 

880>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:24:19.77ID:vET/VGBt

スーパー


侑「菜々ちゃん、チョコはなにが好き?」

菜々「板チョコならやはりガーナではないでしょうか!」

侑「じゃガーナにしようっと。いいよね?歩夢」

歩夢「うん。種類はなんでもいいと思うよ」

菜々 キョロキョロ…

侑「どうしたの?」

菜々「私、あまりお菓子コーナーに来ることがないので。なんだか興味深くて」

侑「そうなんだ。普段からお菓子食べないの?」

菜々「母が買ってきて家に置いているものは食べますが、自分で買うことはほとんどありませんね」

歩夢「侑ちゃんなんかお菓子コーナーと駄菓子屋さんの常連なのにね」

侑「じょ、常連ってほどじゃないもん!」

 

881>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:27:53.87ID:vET/VGBt

歩夢「…よし、買い忘れはないね」

侑「やっとだー、楽しみだなぁ」ウキウキ

菜々「あ、お支払いは私がしますよ」

歩夢「え?いいよ、そんな」

菜々「いえいえ!ただでさえお世話になるというのに、材料費まで負担していただくわけにはいきませんよ!今日のお礼ということで、出させてください」

歩夢「そう…?それじゃ、甘えようかな」

菜々「お任せください!」

 

882>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:29:52.10ID:vET/VGBt

侑「菜々ちゃんってお金出したがるよね」

菜々「べ、別にそんなことはありませんが…」

侑「だってブルーレイボックスのときもそうだったよ」

菜々「あれは、私が欲しくて買ったものなので…」

侑「私も観たかったものだよ?」

菜々「こ、この話はもう済んだではないですか」

侑「ドーナッツも、私も食べたいものだしなぁ」

菜々「それはだから、」

侑「私も半分払うよ!あ、歩夢はいいからね!とびっきり美味しいの作ってね!」

菜々「えっちょっ侑…」オロ

歩夢「はーい」クス

 

883>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:33:58.66ID:vET/VGBt

歩夢の家


侑「ではお菓子作りを始めます!」

菜々「は…はいっ」ソワソワ

侑「そんなに緊張しないで、菜々ちゃん。歩夢がついてるから大丈夫だよ」

歩夢「そこは侑ちゃんじゃないんだ…」

侑「私は指示されたことしかできないからね!」フフン

菜々「まずはなにをするんですか?」

歩夢「ドーナッツは生地を寝かせて発酵させる時間が必要だから、まず生地を作っておかなくちゃいけないの」

菜々「ほう…」ジーッ

侑 ルンルン…

歩夢「…」

 

884>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:38:05.40ID:vET/VGBt

歩夢 トントン…

歩夢「これが薄力粉と強力粉。これがドライイーストで、お砂糖とお塩ね」

歩夢「これをみんなボウルに入れて、よく混ぜてもらってもいい?」

菜々「これが、ドーナッツの生地になるんですね。責任重大ですね…!」

歩夢「粉を混ぜるだけだから大丈夫だよ、あんまり気負わなくていいからね」

侑「歩夢はなにするの?」

歩夢「私はタマゴと牛乳を温めるよ。こっちは火を使うし加減があるから」

侑「へー、さすが~」

歩夢「侑ちゃんもなにかしたい?」

侑「できることあるかな?」

歩夢「…」

歩夢「私のが終わったら、一緒にやろっか」

侑「はーい!」

 

885>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:44:25.15ID:vET/VGBt

歩夢 ザクッザクッ

菜々「私の粉が、固まっていきます…」

侑「こういうの見てると面白いよね」

菜々「母が料理している様子はたまに見ますが、お菓子となるとまた全然過程が違うものなんですね」

侑「料理と違って、粉とか牛乳とかがみんな固まって形が変わっていくんだよね。それが不思議で面白いから、私は料理よりお菓子作り見る方が好きだな」

菜々「こう手際よく作れると楽しいでしょうね」

侑「ねー」

歩夢「…こんなものかな」フゥ

歩夢「今から生地をこねるけど、二人ともやりたい?」

菜々「生地をこねる!焼きたてジャぱんを何度も読んだので、もうプロ級の腕前ですよ!ぜひやらせてください!」

侑「はいはーい、私もやるー!」

歩夢「じゃあみんなでやろうね」

 

886>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:48:47.91ID:vET/VGBt

生地 モチーン


菜々「丸くて可愛いですね」

歩夢「これは一時間くらい寝かせるから、その間に洗い物済ませちゃうね」

侑「あ、それくらい私やるよ」

歩夢「そう?それじゃ──」

侑「菜々ちゃんは拭いてもらっていい?」

菜々「はい!」

侑「布巾はね、こうやって拡げて、お皿を挟むように持ってね」

菜々「だから大丈夫ですってば!」//

侑「あははっ、ごめんごめん。やろっか。歩夢は休んでて!」

歩夢「う…うん」

 

887>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:52:21.42ID:vET/VGBt

一時間後…


歩夢 ツンツン

歩夢「うん、よさそうだね」

菜々「!」

侑「完成?」

歩夢「完成なわけないでしょ。まだもう一回発酵させなくちゃいけないんだよ」

侑「また!?」

菜々「侑!」ガシッ

侑「ぅえっ、なに!?」

菜々「ドーナッツ作りはここが本番のはずですよ。ねえ、歩夢さん!?」

歩夢「え、えっと…そう、かな?」

菜々「ここからやることは私にもわかります。即ち──」

 

888>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 08:56:34.10ID:vET/VGBt

侑「わわ、上手くできないよ~歩夢~」

歩夢「大丈夫、一旦こうやって伸ばして…」グニ

侑「こう………わぁ、できた!」

歩夢「上手にできたね、侑ちゃん」

侑「見て見て菜々ちゃん、ドーナッツっぽくなったよ──」


菜々 グリ…グリ……

菜々 ジッ

菜々「少しあけ過ぎでしょうか。もっと詰まった感じでしたよね…」グリ…


歩夢「…菜々ちゃん?」

侑「あれは職人さんの目だね」

歩夢「一体なんの職人さんなの…?」

 

889>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:00:59.03ID:vET/VGBt

ドーナッツ型の生地達 ズラリ…


侑「楽しかった~。そっか、本番ってドーナッツの形を作ることだったんだね」

菜々「はい。これをせずしてドーナッツ作りは語れないというものです」ムフー

歩夢「すっかり満足げだね、菜々ちゃん」

侑「…一つだけ、ハニードーナツみたいなやつが混じってるけど…」

菜々「なにを言うんですか!お休みの日のとくべつドーナッツというからには、これがないと始まらないでしょう!」

侑「そ、そうだっけ」

歩夢「ここからまた寝かせるから、その間にチョコソースとハニーグレーズを作っちゃうよ」

侑「よく寝るなぁ、ドーナッツは」

菜々「寝る子は育つと言いますが、それが発酵という形でありありと見えるのは面白いですね」

 

890>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:06:52.84ID:vET/VGBt

やがて…


ジュワァァァアア………


菜々「ど、ドーナッツが出来上がっていきます…」

侑「いい匂い…!我慢できないよ~!」ウズウズ

歩夢「二人とも、ソースとお皿を用意しておいてもらえる?揚げ終えたらソースを着けて、冷めたら完成だよ」

侑「やったー!もうすぐ完成だー!」

菜々「侑、言われたことをやらなければ!ドーナッツが完成しませんよ!」アワアワ

侑「い…いけない!えっとソースとお皿…お皿…」ワタワタ


ジュワァァァアア………

 

891>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:11:19.79ID:vET/VGBt

ドーナッツの山 テテーン


侑「うわぁぁぁ………!!」

菜々「………っ!」

歩夢「やっぱりところどころ寝かせる時間があるから、結構かかっちゃったね」

菜々「し、七時ですか…」

侑「菜々ちゃん、お家大丈夫?連絡しておかなくていいかな?」

菜々「いえ、今から帰れば普段より少し遅いくらいにしかならないので大丈夫かと…」

侑「なに言ってるの、今からドーナッツ食べるんだよ!?」

菜々「い、今から食べるんですか!?もう夕飯の時間ですよ!?」

侑「今日の晩ごはんはドーナッツだよ!」

菜々「聞いていませんが!!」

 

892>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:15:53.38ID:vET/VGBt

歩夢「放課後から作り始めたら、こうなっちゃうよね」

侑「私はお母さんに晩ごはん歩夢のとこで食べるって話してるよ」

歩夢「そ、そうだったんだ。いつの間に…」

菜々「というか歩夢さんのお家のお夕飯に差し支えるのではありませんか?」

歩夢「………えっと、」チラッ


上原母 ……b グッ


歩夢「あ、大丈夫みたい」

侑「つまり後は菜々ちゃんだけだね!」

菜々「…ふふ、わかりました。今日は夕飯を食べて帰ると、母に連絡してきます。まさかドーナッツだとは言えませんけどね」

侑「小麦粉だからごはんだよ!」

菜々「なんですか、それは」フフッ

 

893>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:20:37.39ID:vET/VGBt

「「「いただきます」」」

菜々「こ、これが…夢にまで見た……お休みの日のとくべつドーナッツ…!」

歩夢「そんなに憧れのものだったんだ。美味しくできてるといいんだけど」

菜々「もうっ、もうっ…!これほど完璧に再現されていれば、文句のつけどころもありませんよ!私は今、武蔵境の住人になった気分でいっぱいです!」

歩夢「…?」

侑「ん、おいし~~~!」

菜々「ああっずるいですよ侑!私はこのつむぎさんドーナッツを…」

菜々「……くっ、可愛くて食べるのがもったいない…」

侑「チョコすごく手についちゃうよ!歩夢ティッシュ~!」

歩夢「………ふふっ」クスクス

侑「ねーえー、笑ってないでティッシュ取って~」

歩夢「はいはい」

 

894>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:27:56.25ID:vET/VGBt

菜々 ………フゥ

侑「あー美味しかった~」

歩夢「三つも食べるとお腹いっぱいだね」

侑「揚げたてのドーナッツなんて初めて食べたよ。ね、菜々ちゃん」

菜々「そうですね」

侑「疲れちゃった?」

菜々「いえ、少し考え事を思い出しまして」

侑「同好会のこと?」

菜々「…はい」

菜々「本当は今日も練習に顔を出さなければいけなかったのですが、皆さんどうしているかと…」

菜々「あっ、侑達を責めたいのではなくて!」

侑「わかってるよ」

 

895>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:33:14.91ID:vET/VGBt

侑「無理やり連れてきちゃってごめんね。今日はどうしてもって思ってさ」

菜々「謝らないでください。行くことを決めたのは私の意思ですし、最近は根を詰め過ぎていた自覚もあるので、いい気分転換と休息になりました」

侑「なら、よかった」

菜々「もう、日曜日ですからね。大詰めをしなければと思うとどうしても力んでしまって、皆さんにもきっと負担を──」ハタ…

侑「菜々ちゃん?」

菜々「歩夢さん、その…」

歩夢「…うん、わかってるから、大丈夫だよ。それに私はなにも聞いてないし、聞いたとしても口を出すことはないから」

菜々「…ありがとうございます」

歩夢「無理だけはしないでね」

侑「落ち着いたら、次は歩夢に料理教えてもらおうね」

菜々「はい。ぜひ」ニコ…


菜々とドーナッツを作って食べました! ▼

 

896名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/25() 09:35:24.96ID:mlx5cXGB

(せつ菜が料理に関わってるのに事故が起こらなかった...だとっ!?)

 

897>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/25() 09:35:27.57ID:vET/VGBt

今朝はこの辺りで。
展開上、菜々ルートとせつ菜ルートは概ね統合されたものだと思っていただいて構いません