542>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 18:57:10.79ID:CZlXaVnw
放課後…
歩夢「侑ちゃん。帰ろう」
侑「歩夢。待ってね、すぐ片付けるから」ゴソ…
歩夢「今日はまっすぐ帰らない?」
侑「>>543」
1.そうしよう
2.どうしよっかな…
543名無しで叶える物語(やわらか銀行)2020/12/14(月) 18:57:38.53ID:x56ULGsx
2
544名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 18:59:37.70ID:Xxk5mQrp
歩夢曇らせ隊がおるなw
545>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:01:39.69ID:CZlXaVnw
侑「あー…」
侑「えっと、」
侑「どうしよっかなぁ」ハハ…
歩夢「…なにか約束でもあるの?」
侑「いや、約束があるわけじゃないんだけどさ」
歩夢「だったらいいじゃない」
歩夢「ねえ、帰ろう?」ズイ
侑「>>546」
1.そうだね
2.しずくと話したいんだ
3.菜々と話したいんだ
4.かすみと話したいんだ
546名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 19:05:24.90ID:Xxk5mQrp
3
547>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:13:42.61ID:CZlXaVnw
侑「菜々ちゃんに確認しときたいことがあるの忘れててさ、ぱっと連絡していい──」
歩夢「だめ」
侑「歩夢…?」
歩夢「なんで?なにを確認するの?さっき二人っきりで話したじゃない。私は外で待ってたのに、楽しそうに笑って…」
侑「あれはその、」チラッ
クラスメイト ワイワイ…
侑 (歩夢に話すのはいいとして、菜々ちゃんがせつ菜さんなのは一応他の子がいないところで話した方がいいよね)
侑「…後で話すよ、だから
バンッ!!!
548>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:15:51.28ID:CZlXaVnw
シン……
侑「あ、歩夢……?」
「高咲さん、どうかしたの…?」
侑「や、ううん、なんでも…」
侑「どうしたの歩夢、机叩くなんてらしくない──」
歩夢 ポロポロ…
侑「…歩夢!?」ギョッ…
549>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:22:52.86ID:CZlXaVnw
侑「あ、あゆむ、なん…泣いて……」オロ
歩夢「どうして?」
歩夢「どうして今話してくれないの?」
歩夢「菜々ちゃんとお話しする方が大事なの…?」ポロ…
侑「そんなんじゃないよ!ただここで話すのはちょっとって思っただけで…」
歩夢「だったら場所変えよう。屋上でも家庭科室でも裏庭でもお台場でも、話せるところならどこでも付き合うから」
侑「うん、うん、そうしよっか。他の人がいない方がいいってだけで、どこでもいいんだ。帰りながら話そ?ね?」
歩夢「校門で待ってたらいいの?菜々ちゃんとお話しするのどのくらいかかる?一緒に帰っちゃうんじゃないの?」ポロ…ポロ…
侑「ううん、菜々ちゃんのことはいいよ。帰ったらラインで話すから。待ってなくていい、すぐ帰ろうね」
歩夢 グス…
侑「カバン持つよ。歩ける?」
歩夢 コクン…
侑「びっくりさせてごめんね、みんな。また来週」ノシ
550>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:25:52.10ID:CZlXaVnw
帰り道
歩夢 トボトボ… スン…スン…
侑 キョロ…
侑「歩夢、一旦座ろっか。あそこ、ね?」
歩夢 コク…
侑「飲み物買ってくるよ。ココアでいい?」
キュ
歩夢「やだ」
歩夢「飲み物なんかいらない。買ってこなくていいから」
歩夢「隣にいて」
侑「………わかったよ」
551>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:28:02.90ID:CZlXaVnw
歩夢 スン………スン…………
侑 ポン…ポン…
歩夢 ………ヒク……………スン……
侑 ポン…ポン…
歩夢 ………………スン…
侑「落ち着いた?」
歩夢「…うん」
552>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:31:38.48ID:CZlXaVnw
歩夢「………」
侑「…」
歩夢「………」
侑「…なんか、びっくりさせちゃったかな。私」
侑「歩夢があんな風に泣いちゃうなんて、きっと私なにか変なことしたんだよね。ごめんね」
歩夢「………」
侑「なにがイヤだったか、教えてくれる?」
歩夢「………」
侑「…」
歩夢「……菜々ちゃん、」
歩夢「侑ちゃん、の、こと…」
歩夢「………『侑』って、呼んでた」
侑「…そうだね」
553>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:35:52.90ID:CZlXaVnw
歩夢「侑ちゃん、あんまり…呼び捨てにされること、ない…のに」
侑「…」
歩夢「……菜々ちゃん、前まで『侑さん』だったのに」
歩夢「今日は、『侑』って」
侑「だね。知らないうちに変わってたから驚かせたんだよね、ごめん」
歩夢「…………菜々ちゃん、」
歩夢 …ッ
歩夢「…菜々、ちゃん…と、」
歩夢「なにか………あった、…の?」
侑「ないよ。なんにもない」
554>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:39:33.71ID:CZlXaVnw
歩夢「だっ
侑「お母さんが呼び捨てにしちゃえって煽ったんだよ、菜々ちゃんに」
歩夢「……っ、お母さんが…?」
侑「うん。ほら、週末菜々ちゃん来てたって言ったでしょ?あのときにね、同い年なのに敬語だったりさん付けだったりしてるのが面白かったみたいでさ」
侑「菜々ちゃんもまじめだから真に受けちゃって、私が口を挟むひまもないまま呼び捨てに変わっちゃったんだよ」
歩夢「…じゃあ…」
侑「うん。なんにもないよ」
侑「私と菜々ちゃんの関係性が変わったとか、そういうことは全くないから」
侑「驚かせてごめんね」
555>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:47:12.04ID:CZlXaVnw
歩夢「……じゃあ…」
歩夢「じゃあ、お昼のは?私に聞かせないようにして、二人でなんの話をしてたの?」
侑「同好会のことだよ。スクールアイドル同好会」
侑「菜々ちゃんがうちに来たときにせつ菜さんともお話ししたんだけどさ、そのときのこと、すぐに同好会のみんなに共有してくれてたみたいなんだ。月曜日の放課後にね」
侑「その後彼方ちゃんと話したんだけど、せつ菜さんがその話をしてくれてたおかげで、お互いに変な気を遣わなくて済んだからさ」
侑「そのお礼を、ちゃんと言っておきたかったんだ」
歩夢「…」
侑「歩夢は菜々ちゃんがせつ菜さんだってわかってたみたいだけど、私達の間ではっきりその話ってしてないじゃん?だから、一応二人きりで話す方がいいかなと思って」
侑「余計な心配かけちゃったよね。ごめんね」
556>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:50:47.13ID:CZlXaVnw
歩夢「…」
侑「さっき確認し忘れたって言ったのは、アニメのことでね」
侑「菜々ちゃんのブルーレイボックス預かってるって話したでしょ?あれ、明日璃奈ちゃんに貸してもいいかなーと思って、聞いときたくてさ。璃奈ちゃんも興味あるみたいだったから、せっかく明日会うんだしって」
侑「でも別にラインで話せばよかったよね。歩夢を放ったらかしてわざわざ直接話すようなことでもなかったよ」
侑「気が回らなくてごめんね」
557>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:53:00.96ID:CZlXaVnw
歩夢「………」
侑「私が話しておかなくちゃいけないことは、これくらいかな」
侑「他に思い出せてないことあったらごめん、なにか気になってること、ある?」
歩夢「…………ううん、ない」
侑「そっか。よかった」ニコッ
558>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 19:56:51.84ID:CZlXaVnw
歩夢「…………ごめん、なさい…」
侑「え?なんで歩夢が謝るの?」
歩夢「……私、侑ちゃんの話もちゃんと聞かないまま、一人で勝手に怒ったりして…」
侑「ううん、私がきちんと話してなかったからだよ。歩夢は悪くない」
歩夢「…クラスのみんなにも、心配かけちゃった…」
侑「あはは。それは月曜日にちゃんと謝ろうね。私も一緒に謝るからさ」
歩夢「………うん」
559>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 20:06:03.09ID:CZlXaVnw
歩夢「…………」
それきり、歩夢は押し黙ってしまった。
たぶん、色々なことを考えてるんだ──この間ベランダで話したこととか。
歩夢は私のことをすごく大切に、特別に想ってくれてる。
だから、私との関係が変わっちゃいそうになると不安になるみたい。
クラスにすごく仲のいい友達ができたりしたときに、これまでにも二回こんなことがあった。
そのたびに歩夢が不安に思ってることを話してもらって、私は自分のよくなかったところを反省する。
そうして私達は今まで変わらない関係を──ううん、絆を強くしてきたんだよね。
560>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/14(月) 20:15:47.71ID:CZlXaVnw
今回は一気にたくさんの新しい友達ができて、歩夢もいっぱいいっぱいになっちゃったんだと思う。
いつも支えてもらってるのに、やっぱり私は歩夢を不安にさせちゃうんだ。
起こしてもらったり、話を聞いてもらったり、お菓子を作ってもらったり、無駄遣いを止めてもらったり、勉強を見てもらったり──
他にもたくさん、たくさん支えてもらってる。
私は歩夢なしじゃだめなんだ。
私の一番はずっと歩夢だった。
これからもそれは変わらない。
歩夢との関係が変わっちゃうなんて、私の方からお断りだもんね。
侑「歩夢」
侑「私はずっと、歩夢の一番傍にいるからね」
その言葉が、決意が、
──────私の首を絞めることになるなんて、想像できてなかったんだ。
歩夢と帰りました! ▼
562名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 20:20:00.17ID:yi8y3E0Y
これ歩夢ルート一直線になりそう
563名無しで叶える物語(たこやき)2020/12/14(月) 20:28:59.47ID:DaercXeV
共依存かぁ…
脱却させな他ルート厳しいな
564名無しで叶える物語(八つ橋)2020/12/14(月) 20:30:35.52ID:3HNCl2pa
観劇後が楽しみやね(ニッコリ)
565名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 20:31:16.44ID:Xxk5mQrp
歩夢はかわいいなぁ
566名無しで叶える物語(たまごやき)2020/12/14(月) 20:36:22.53ID:6Q6vu0es
とんでもない√入ってしまった気がするね笑
いずれにせよ楽しみだけど!
しかし、少なくとも昼ごはんは生徒会室よしといた方が良さそうね…
567名無しで叶える物語(たまごやき)2020/12/14(月) 21:12:16.51ID:vOXyX4e/
侑の依存っぷりも結構ひどい
568名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 21:44:09.06ID:TYql6H1k
なんか最初から歩夢になるように進んでるような気がするのは気のせい……?
569名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/14(月) 21:44:18.49ID:sBZuitUI
いっそA・ZU・NAルートを開拓するしかないな?
570>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 07:50:59.55ID:Qyx4yZ2o
夜…
侑「…」
浴槽に口元まで沈んで、右手をぼんやり眺める。
いつからだっけ、歩夢と歩くときに手を繋がなくなったのは。
手を引いたり引かれたりすることはあっても、固く繋ぎ合うことなんかもうここ数年なかったよね。
明日は笑顔。
そう約束してくれた代わりに、帰るまで歩夢は無言で、ただなにかを伝えるみたいに強く私の手を握ってた。
侑 ブクブクブク…
いつまでもこうしちゃいそうだな。
あがろうっと。
571>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 07:57:10.08ID:Qyx4yZ2o
部屋に戻ると、暗い部屋に緑の点滅。
見ると、
侑「!」
『しずくちゃん:侑先輩』
侑「しずくちゃんだ…!」パァ
『しずくちゃん:この声が届いていますか?』
『しずくちゃん:私の声が』
どうしようかな? >>572
1.メッセージを返す
2.電話をかける
3.反応しない
572名無しで叶える物語(茸)2020/12/15(火) 07:58:31.69ID:9ibUl6VX
2
573>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:07:07.14ID:Qyx4yZ2o
ごはんとお風呂と済ませてる間に、メッセージを受信してからそれなりの時間が経っちゃってる。
もう家に着いちゃうくらいかもしれない。
侑「…」
侑 スッ
──♪………
しずく『は、はいっ。桜坂しずくです!』
侑「…ぷっ。しずくちゃん、電話に出るときフルネーム名乗るの?」
しずく『そんなことないですけど、先輩が…急に…』
侑「もしもし、高咲侑でーす。今いいですか?」
しずく『も…もうっ、からかわないでください!』
侑「あはは、ごめんごめん」
574>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:10:10.25ID:Qyx4yZ2o
侑「今平気だった?電車の中とかじゃない?」
しずく『電車の中だったら出ませんよ。平気です』
侑「お返事遅くなっちゃってごめんね」
しずく『いえ、全然。お忙しかったりしたんじゃないですか?』
侑「お風呂入ったりしてたからスマホ見てなかっただけだよ」
しずく『そうでしたか』
575>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:16:21.14ID:Qyx4yZ2o
侑「もう駅には着いたの?」
しずく『はい、ちょうど降りたところでした。アナウンスが聞こえませんか?』アルキナガラノ スマートフォンノ ゴリヨウハ ホカノ オキャクサマノ ゴメイワクニモ ナリマスノデ………
侑「うん、すごく聞こえる」
しずく『うるさいですよね。もうすぐ改札を出るので待ってくださいね』
侑「聞こえるけど、話すのに影響ないくらいだから大丈夫だよ」
侑「ここからお家までどのくらい?」
しずく『歩くと結構かかってしまいますけど、迎えにきてもらうので──……』
侑「…しずくちゃん?」
しずく『やっぱり迎えにきてもらうのやめます』
576>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:18:16.80ID:Qyx4yZ2o
侑「え、なんで?」
しずく『ふふ』
しずく『侑先輩とお話ししながら帰りたいからですよ』
侑 ドキッ…
侑「そ、そうなの?遅くまで練習して疲れてるだろうから、迎えにきてもらったらいいのに」
しずく『早く通話を終わらせろということですか?』
侑「そういうわけじゃないよ…!私からかけたんだし!」
しずく『うふふ、冗談ですよ』
しずく『私なら平気ですから、侑先輩さえよければ家に着くまで付き合ってください』
侑「うん、ぜひ」
577>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:28:47.17ID:Qyx4yZ2o
しずく『それにしても、まさか先輩の方から電話を下さるとは思いませんでした』
侑「どうしようかなと思ったんだけどね、なんだか声聞きたくてさ」
しずく『…… …私もです』
侑「…?」
侑「演劇はもういよいよ大詰めってところだよね」
しずく『そうですね。今日も通し練習を一度やっただけで、それ以外は各自の練習になりました』
侑「慌ただしい?」
しずく『舞台に立たせてもらう役者は案外そうでもないですよ。それよりも裏方をしてくださる方々が会場の下見に設備の確認にと大忙しです』
侑「私も知識があれば手伝ったのになぁ」
しずく『だめですよ。侑先輩には私達が描き上げる物語を誰よりも純粋に見てもらわなくちゃいけないんですから。観劇者以外の立場で関わられては困ります』
侑「困るんだ。それじゃまずいね」
578>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:33:16.19ID:Qyx4yZ2o
しずく『公演の時間と場所ってお伝えしましたっけ?』
侑「見学に行った日に部の人から教えてもらったよ。講堂で11時からだよね?」
しずく『よかった。明日じゃなくて明後日なので、間違えないでくださいね』
侑「間違えないよ~」
侑「しずくちゃんは明日も練習やるんだよね」
しずく『はい。時間はいつもより短めに、最終調整という側面が強くなりますけどね』
侑「なにか手伝えること……」
…は、一つだけ。
しっかりと言われたもんね。
侑「ううん、なんでもない」
しずく『? そうですか』
579>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:40:57.47ID:Qyx4yZ2o
しずく『侑先輩は、明日はなにをされるんですか?』
侑「人の家を片付けにいくよ」
しずく『え、どういうことですか?』
侑「あはは、そうなるよね」
侑「そのままなんだけど。三年生の先輩がいてね、いらない洋服とかが多くて片付けに困ってるって言うから、手伝うことになったんだ」
しずく『優しいですね』
侑「そうかな?」
しずく『先輩、部活動されてませんよね。私が言うのもなんですけど、三年生にもお知り合いがいるなんて交友関係が広いんですね』
侑「うんー。その先輩は今年度になってから知り合ったんだけどね。歩夢とクラス替えを見てたら話しかけられてって感じで」
しずく『不思議な出会い方をしますね』
侑「しずくちゃんがそれ言う?わざとぶつかってこられたんだよ?」
しずく『私は演技の練習でしたから!』
侑「え~、なんかずるいなぁ」
580>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 08:54:45.84ID:Qyx4yZ2o
侑「今日は?どんな一日だったの?」
しずく『そうですね、言語の成り立ちの授業があったんですけど、それがとても興味深かったです!』
侑「言語って英語?」
しずく『いえ、日本語です。中国由来の言語が渡ってきたことでそれまでの言語がどのように変遷していったかというもので、なんだか急に自分の使っている日本語の存在が輪郭を失ったようでした』
しずく『一つ確固として枠組まれたものだと思っていたのに、蓋を開けてみると何度も変化を繰り返してきた、小さな言語の集合体のようで』
しずく『どこまでが日本語で、どこからが日本語なのか』
しずく『そんなことを考えていたせいかもしれません』
侑「せい?」
しずく『私の言葉は周りの人に正しく届いているんだろうか?と、不安になったんです。口に出した言葉はその通りに届いているのかな、と』
しずく『それであんなラインを送ってしまったんだと思います』
侑「ああ…!」
581>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:00:50.50ID:Qyx4yZ2o
しずく『おかしいですよね』
しずく『文章は言葉と違いますもん。書いたら書いた形がはっきりと残って、誰の目にも同じように映るのはわかりきってます。形や音をしっかりと確認できない言葉とは違うのに』
しずく『それでも、なんだか怖くて…』
侑「届いてるよ、しずくちゃんの声。しずくちゃんの言葉」
しずく『!』
侑「文章でも言葉でも同じだよ。しずくちゃんが思ったこと、考えたこと、伝えようとしたこと。それを音や形にしてくれたら、私は必ず受け取るから」
侑「正しく伝わってるかわかんなくて不安だったら、何度でも確かめようよ。いっぱい話してさ」
侑「私の声だって、届いてるでしょ?」
しずく『──はい。届いてますっ』
582>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:07:29.47ID:Qyx4yZ2o
しずく『侑先輩はどんな一日でしたか?』
侑「そうだなー、私の方は特に変わったこともなかったかなぁ」
しずく『そうなんですか?』
侑「お弁当がじゃがいも尽くしだったことくらいかな」
しずく『うふふ、なんですか、それ』
侑「いや、ほんとに!おかずみんなじゃがいもだったんだよ。でもチーズのガレットってやつが入っててね、すごく美味しかったなぁ」
しずく『じゃがいもとチーズのガレットですか。それは食べたことがないです』
侑「またお母さんに作ってもらうから、一緒に食べようよ」
しずく『ぜひ!』
583>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:11:13.98ID:Qyx4yZ2o
侑「他には──………」
しずく『…』
侑「…うん、やっぱりじゃがいもが一番の事件だったよ」
しずく『じゃがいもごろごろ事件ですね』
侑「あはは、それじゃ具だくさんカレーみたい!」
しずく『本当。嬉しいお話になっちゃいますね』
584>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:15:21.27ID:Qyx4yZ2o
しずく『そろそろ家に着きそうです』
侑「わ、早かったね」
しずく『はい。侑先輩とお話ししながらだとあっという間でした』
侑「明日と明後日に備えてゆっくり休まないとね」
しずく『先輩も。お片付けのお手伝いに備えてゆっくり休んでください』
侑「そうだった。私も勝負の日なんだったよ~」
しずく『腕の見せどころですね!』
侑「頑張りまーす」
585>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:16:45.94ID:Qyx4yZ2o
しずく『…』
侑「…」
しずく『…侑先輩』
侑「…うん」
しずく『…』
侑「…しずくちゃん」
しずく『…はい』
侑「…」
しずく『…』
586>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 09:18:47.26ID:Qyx4yZ2o
侑「……また、ね」
しずく『…はい。また』
侑「お休みなさい」
しずく『お休みなさい。侑先輩、』
侑「素敵な夜をね、しずくちゃん」
しずく『あっ…』
しずく『もう、先輩ったら…』
侑「えへへ。いい挨拶だなーと思ってね」
しずく『そうですよね。侑先輩も、素敵な夜を』
侑「──うん」
しずくと電話しました! ▼
588名無しで叶える物語(たこやき)2020/12/15(火) 09:32:02.15ID:xTYtP3Fd
おつです
やっぱりこの雰囲気好きだなぁ
589名無しで叶える物語(SIM)2020/12/15(火) 09:38:34.29ID:uMVLDd9R
このしずくちゃん本当可愛い
590>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:28:35.41ID:Qyx4yZ2o
翌朝…
侑「お待たせ~」タタタ
歩夢「行こっか」
侑「うん!」
まるで平日みたいなやり取り。
今日は土曜日だけど一階に出かけるから、いつもと同じようにエントランスで待ち合わせ。
歩夢は──うん、笑顔だ。
侑「土曜日にこうしてるの、なんだか変な感じだね」
歩夢「そうだね。私服だしね」
侑「確かに~!授業もないし最高だよ!」
歩夢「うふふ、授業がないのなんて当たり前じゃない。おかしな侑ちゃん」
侑「なんでも幸せな方が人生楽しくなるよ、歩夢」
歩夢「わ。それは…そうかも…」ムム
591>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:35:20.80ID:Qyx4yZ2o
歩夢「結局フリマアプリ使えなかったんだよね?」
侑「うん、私はね。銀行ないし」
歩夢「わかんなかったら調べればいいよね。銀行の問題さえなければ簡単そうだから、果林先輩もすぐにできちゃうかもしれないもんね」
侑「だねー」
侑「でもほら、今日は強力な助っ人を依頼したからさ」
歩夢「璃奈ちゃん、機械に強いんだね。全然知らなかったよ」
侑「私も。かすみんのスマホ直してあげたとか言っててさ、私も壊れちゃったら璃奈ちゃんに見てもらおうっと」
歩夢「落として画面割っちゃったのは対象外なんじゃない?」
侑「お…落とさないもん!」
歩夢「どうだか~」クスクス
※ 璃奈を誘ったことを歩夢に話すシーンを描写していませんが、この件で歩夢が感情を大きく揺さぶられることはありませんでした(≒ルートに大きな影響のある会話シーンにはならなかった)。
592>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:37:54.87ID:Qyx4yZ2o
歩夢「璃奈ちゃんのお家、有明の方だって言ってたよね。お家まで迎えにいくの?」
侑「ううん、家じゃないんだ。璃奈ちゃんは用事があるから先に出てるってことだったから、途中で合流してから果林先輩のお部屋に行くよ」
歩夢「用事?土曜日の朝から?」
侑「毎週の日課なんだってさ。あれ、週課?」
歩夢「ふうん。どこで合流することになってるの?」
侑 ニッ…
侑「ゲームセンターだよ!」
593>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:40:53.19ID:Qyx4yZ2o
ゲームセンター
ガヤガヤ…
歩夢「久し振りに来たけど、うう…耳が痛いよぉ」
侑「平気?合流したらすぐに連れてくるから、表で待っててもいいよ」
歩夢「ううん、大丈夫」フル
歩夢「侑ちゃん、目を離したらゲームし始めちゃいそうだもん」
侑「あ、あはは…」
歩夢「どこにいるのかな?」
侑「たぶんこっちだよ」
594>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:47:15.63ID:Qyx4yZ2o
侑「どこかなー」キョロ…
歩夢「あ、あれじゃない?」
侑「ほんとだ。璃奈ちゃーん、おはよ~!」ノシ
璃奈「!」
璃奈「おはよう」テクテク
歩夢「おはよう、璃奈ちゃん」
侑「やっぱりクレーンゲームのコーナーだったね」
璃奈「これをやらないと、私の週末は始まらない」
歩夢「そこまでの日課なんだ…」
侑「──っていうか璃奈ちゃん、それ!」
璃奈 っパッケージと ギュ…
璃奈「さっき取った。お徳用チョコ30本パック」
歩夢「ええっ、すごいね」
侑「す…すごいよ、さすが師匠!いくらで取れたの!?」
璃奈「ざっと600円」
侑「すっごーーーい!!」
歩夢「………あれ…?それ、一本10円のやつじゃ…?」
595>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:50:57.79ID:Qyx4yZ2o
歩夢「でもちょうど取れたところだったなんてタイミングよかったね。それじゃ行こっか……」
璃奈「まだだめ」
歩夢「え?」
璃奈「これは自分用に取った分だから」
璃奈「人のお家に行くのに、お土産を持っていかないのは失礼だと思う」
歩夢「それはそうかもしれないけど、遊びにいくっていうんじゃなくてお手伝いだから気にしなくていいと思うよ」
璃奈「だめ」
侑 ──ハッ
侑「ま、まさか…師匠……!」ゴクリ…
璃奈 コクン
璃奈「うまい棒を、手土産にする」ザッ…!!
侑「うわあああああっ、また璃奈ちゃんのクレーン捌きが見られるんだー!」
歩夢「え、ええ……」
596>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:54:16.67ID:Qyx4yZ2o
璃奈「こういう大きな景品は──」
侑「バウンド!だよね!」
璃奈「そう」コクン
歩夢「侑ちゃんが得意げになっちゃうから、あんまりクレーンゲームの知識を与えないでほしいな…」
チャリーン
ウィィィン…
グイ…
歩夢「わ…!」
ベシ
歩夢「ああ…」
597>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 19:56:45.42ID:Qyx4yZ2o
歩夢「惜しかったね。持ち上がったのに、すぐに落ちちゃった」
侑「ちっちっち…歩夢、一回で取れるような設定にはなってないんだよ、クレーンゲームって。璃奈ちゃんは今のでアームの力と反応速度を確認したんだから」
侑「ねっ!」
璃奈「そう。本番はここから」チャリーン
歩夢「あ、そうなんだ。そろそろ約束の時間になっちゃうから早くしてね」
侑「いけーっ、師匠ー!」
598>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:00:21.86ID:Qyx4yZ2o
チャリーン…
チャリーン……
チャリーン………
…ポト
璃奈「!」
侑「と……取れたーーーーっ!!」ワーーイッ
璃奈「なかなか設定がきつい台だった」
侑「でも取れたよ、さすが璃奈ちゃん!」
璃奈「朝飯前」
歩夢「終わった?」ヒョコ
599>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:03:49.38ID:Qyx4yZ2o
侑「こっち私が持つよ。果林先輩にいいお土産ができちゃったね」
璃奈「これで安心して行ける」
侑「だねー」
歩夢「果林先輩、うまい棒って食べるのかなぁ」
侑「ぅ、確かに…」
璃奈「うまい棒、キライな人なの?」
侑「読者モデルやってる人なんだよね。それで毎日お弁当サラダだけとかなんだ…」
璃奈「だったら大丈夫。それ、サラダ味だから」
侑「────………!!」
歩夢「大丈夫かなぁ」
600>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:10:52.98ID:Qyx4yZ2o
璃奈「ここから近いの?」トコトコ
侑「うん。歩いて十分くらいかな」トコトコ
歩夢「学生寮なんだって。一人暮らしなんてすごいよね」トコトコ
侑「私なんかお母さん達に甘えっ放しだもんなぁ」
璃奈「…」
歩夢「大学に行ったら一人暮らしするんじゃなかったの?」
侑「できるかな~~」ウゥ…
歩夢「大学生になったら一人で起きられる?」
侑「無理!」
歩夢「即答しないで…」
侑「起きる努力はするけど、ちゃんと起こしてほしい!」
歩夢「もう、仕方ないなぁ」
601>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:14:32.23ID:Qyx4yZ2o
璃奈「…」トコトコ…
歩夢「璃奈ちゃん、緊張してる?」
璃奈「え?」
侑「緊張?なんで?」
歩夢「なんでって、璃奈ちゃんにとっては初対面の相手なんだよ。いくら私達と一緒だって緊張しちゃうよ。ね?」
璃奈「あ、うん」
侑「そっかー。でも果林先輩優しいから大丈夫だよ。背が高くて美人だから迫力はあるけど、落ち着いてて大人だもんね」
歩夢「そうだね。侑ちゃんが変なこと言っても笑って聞いててくれるもんね」
侑「へ、変なことなんか言ったことないよ!」
歩夢「へ~。後で果林先輩に聞いてみよっか」
侑「う、それは……」タジ…
602>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:18:31.48ID:Qyx4yZ2o
璃奈「……私…」
歩夢「うん、なあに?」
璃奈「侑さん達と一緒だから、全然緊張してなかった、けど」
璃奈「………考えたら、…怖くなってきた……」
歩夢「璃奈ちゃん…」
璃奈「私、こんなだから、果林、先輩、のこと、不快にさせるかもしれない…」
璃奈「…そしたら、侑さん達まで、…変な風に思われちゃう、かも…」ブル…ッ
侑「大丈夫だよ」ポン
璃奈「…!」
歩夢「怖くないよ。心配しないで」ソッ
603>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:23:21.23ID:Qyx4yZ2o
侑「私達は璃奈ちゃんがいい子だってちゃんとわかってるから。もし果林先輩が勘違いしちゃっても、わかってもらえるまで何度だって話すよ」
侑「璃奈ちゃんが、どんなにいい子なのかって」
璃奈「…」
歩夢「果林先輩、いつでも笑顔でいる人じゃないけど、私達と一緒にいるときはいつも優しく見守ってくれるの。璃奈ちゃんのこともきっと可愛く思ってくれるよ」
歩夢「こんなに一生懸命で可愛いんだもん」
璃奈「……」
ゆうぽむ「「だから、怖がらなくて平気だよ」」
璃奈「………わかった」
璃奈「ありがとう、侑さん。歩夢さん」
璃奈「二人とも、優しい。すき」
侑「へへっ、やったね!」ニコッ
歩夢「私達も好きだよ!」ニコッ
璃奈と合流しました! ▼
604>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/15(火) 20:24:14.04ID:Qyx4yZ2o
璃奈を誘うシーンも描写を省いてしまったので、少し唐突な感じが出てしまいました。ご容赦ください
605名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/15(火) 20:42:56.73ID:Bb0brfA3
乙
606名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/15(火) 22:42:15.02ID:+yJfdjAZ
おつ
歩夢から8人それぞれへの警戒度とか気になってくるなぁ