149>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 18:38:13.73ID:RX2cEpoj
放課後…
ぽた、ぽた、ぽた。
そんな音が聞こえたかと思うと、あっという間に窓の外は雨模様になった。
カサないなぁ…なんてぼんやり考える。
もう少ししたら雨の季節になるから、そうなったらさすがに折り畳みガサを持ち歩かなくちゃいけなくなるね。
重いからやだなぁ。
どうしよっかな? >>150
1.歩夢とまっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(演劇部、同好会、生徒会室、部室棟から選択)
150名無しで叶える物語(茸)2020/12/01(火) 18:38:42.72ID:HR9J/eRb
演劇部
151>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 18:44:34.83ID:RX2cEpoj
ザァァ…
侑「…」ボーッ
ザァァ……
侑「……」ボーッ
ザァァ………
侑「………」
侑「あ」
歩夢「侑ちゃん、帰らないの?」
侑「歩夢、まっすぐ帰る?」
歩夢「! ………うん。帰るよ」
152>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 18:48:34.33ID:RX2cEpoj
侑「帰るよね、そうだよね…」
歩夢「だから侑ちゃんも帰ろう?カサないでしょ?」
侑「ない」
歩夢「私、帰っちゃうよ。侑ちゃん帰るときまだ雨が降ってたらどうするの?濡れちゃうよ」
侑「そう、なんだけど…」
歩夢 ム…
歩夢「もう帰りまーす。ごー、よーん、さーん…」
侑「……っ」
歩夢「にーい、いーーー………」
侑「……」
歩夢「…誰の用事?また菜々ちゃん?」
153>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 18:55:22.20ID:RX2cEpoj
侑「ううん、しずくちゃん」
歩夢「しずくちゃんってことは、演劇部だよね」
侑「うん。先週大事なこと話して、それっきりにしちゃってたなと思って」
歩夢「ラインとか電話でお話しするんじゃだめなの?」
侑「できれば、顔を見て話したいことなんだ」
歩夢「…スクールアイドル同好会のこと、忘れちゃった?」
侑「忘れてないよ。しずくちゃんのことは個人的な話で、演劇部にどうこうってつもりはないんだよ」
侑「応援するって約束したんだ。スクールアイドル同好会のことがあったからこそ、せめてしずくちゃんとの約束は責任を持って果たしたい」
歩夢「…私は、まっすぐ帰っちゃうよ」
侑「…うん、わかった。気をつけてね──」
歩夢「侑ちゃんの、ばかぁっ!」
歩夢 スタスタスタ…
侑「歩夢…」
154>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 18:57:40.19ID:RX2cEpoj
昨日も菜々ちゃんとの約束があって一人で帰らせちゃったから、寂しいんだよね。
うう、ごめんね歩夢…
帰ったらちゃんと謝ろう。
でも、しずくちゃんとのことだって私はちゃんとしたいんだ。
少しだけ我慢しててほしい。
155>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:04:22.07ID:RX2cEpoj
演劇部、部室前
侑「…あ」トコ…
しずく「侑先輩!」
侑「しずくちゃん、待っててくれたの?ありがとう」
しずく「見知らぬ部活の部室を訪ねるのはなかなか気後れしてしまうかと思いまして」
侑「急にごめんね」
しずく「本当ですよ!ご連絡があと少し遅かったら、気づくのが練習の後になっていましたよ」
侑「見学ってさせてもらえるのかな?部の活動じゃなくても、しずくちゃん個人をお手伝いできるならそれでいいんだけど…」
しずく「先輩方にはお話ししたので大丈夫ですよ。それに、部活動の時間中に個人的に練習する機会はしばらくなさそうですから。残念ですけどね」
侑「そうなんだ。それじゃ、端っこの方で見学してようかな」
しずく「はいっ」
156>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:07:08.21ID:RX2cEpoj
演劇部
しずく「先輩。お話しした、高咲先輩です」
侑「!」
侑 (高咲先輩…なんだか新鮮)
先輩「桜坂さんから聞いてます。今日は見学していかれるんですよね」
侑「あっはい、よろしくお願いします」
先輩「ありがとう、桜坂さん。練習に戻って」
しずく「はい。それでは侑先輩、また後ほど」ペコ
侑「うん、頑張ってね!」
しずく タタタ…
157>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:11:07.13ID:RX2cEpoj
先輩「…」
侑「…えっと、私はどこにいれば邪魔になりませんか?」
先輩「ああ、それじゃあそこに座りましょうか」
侑「はい」
先輩「演劇部の見学って聞いたけど、桜坂さんのことを見にきたんですか?」
侑「あー…はい、まあ。そうですね」
先輩「桜坂さんから聞きましたか?」
侑「なにをですか?」
先輩「…いえ、なんでもないです」
侑「えっ!?なんですか!?」
先輩「どうせすぐにわかるので、言いません」
侑「ええー…」
158>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:18:36.17ID:RX2cEpoj
「ロングトーン、始め!」パン
「「「アーーーーーーーーー…………」」」
先輩「あれはロングトーンといって、腹式呼吸の練習ですね」
侑「腹式呼吸?」
先輩「呼吸には、胸で息を吸う胸式呼吸とお腹で息を吸う腹式呼吸の二種類があるんですよ。腹式呼吸は胸式呼吸に比べて大きな声が出るし息も長く続くので、長ゼリフなどもある舞台役者は腹式呼吸に慣れておくのがいいんです」
侑「へえ…」
先輩「桜坂さんは40秒を超えるんです。一年生でこれだけロングトーンが続く子は珍しいですよ」
侑「そう、なんですね」ジッ…
先輩「ピンと来ませんよね。そういうものだと思っておいてください」
侑「…はい」
159>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:25:59.96ID:RX2cEpoj
「発声練習──」パン
侑 ジッ…
先輩「随分熱心ですね」
侑「そ、そうですか?」
先輩「桜坂さんとは、以前から演劇のことを?」
侑「四月に知り合ったばっかりなんですけど、結構面白い出会い方をしてくれて。しずくちゃんの演技を見たり一緒に演劇を観にいったりしてるうちに、応援したいと思うようになったんです」
先輩「そうでしたか」
先輩「…先週も桜坂さんと話したりしましたか?」
侑「え?そうですね、土曜日に。オーディションの日だったみたいですけど」
先輩「…なるほど」
侑「あの、なにか…?」
先輩「あ」
先輩「本格的な練習に移りますよ」
160>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:30:01.10ID:RX2cEpoj
「全員整列!」
ザッ…
「今からパート練に移ります。舞台役者は部長と私で見ます、それ以外の部員は高梨と葉山の指示でそれぞれ練習してください」
「では始め!」パン
ザワザワ…
161>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:33:42.06ID:RX2cEpoj
侑「舞台役者って、もしかして」
先輩「そうですね、来週の早公演に役者として立つメンバーのことです」
侑「あ──あの、しずくちゃんが受けたっていうオーディション、一年生から一人選ぶんだって聞いたんですけど、それって──」
先輩「あれが答えです」スッ
部員達 ゾロゾロ…
しずく トコ…
侑「…あっちのグループ、舞台役者さん達の方じゃ…」
先輩「はい」
先輩「桜坂さんが、オーディションで見事に役を勝ち取ったんですよ」
侑「………!!」
162>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:35:36.40ID:RX2cEpoj
侑「そうですか………そうなんだ………っ!」
先輩「結果は聞いてなかったんですね」
侑「は…はい、私、ちょっと色々なことしてて聞くの忘れちゃってて…」
侑「そっか、しずくちゃん……そっかぁ…!!」
先輩「すごかったんですよ、桜坂さん」
163>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:48:49.62ID:RX2cEpoj
先輩「今回オーディションを行なったのは、革命家の役だったんです」
先輩「役としてはシンプルな方で、王政の不満を民衆に呼びかけるワンシーンだけの出番です。なので、オーディションを受ける一年生達はみんな革命家としての強さや憤りを表現することに熱心でした」
先輩「それは絶対に必要な部分だし、正直に言えば桜坂さんより上手く表現できている子はたくさんいました。桜坂さんの役者性と照らせば、あまり向いてる役じゃないのは確かです」
先輩「でも、桜坂さんは他の一年生が誰一人やらなかったことをやったんです」
先輩「亡くした主人への想いの表現です」
先輩「実はこの役には、圧政の影響で主人を亡くしたという過去がありまして。いわば裏設定ですが、脚本に質問をしにきた一年生には全員同じ情報を与えたので、桜坂さんの他にもその裏設定を知ってる子は何人かいた」
先輩「もしかしたらその子達も同じように亡くした主人への想いを表現していたのかもしれませんが、私達に届いたのは桜坂さんの演技だけでした」
先輩「なぜ革命家になったのか。訴える言葉はなぜそれなのか。このワンシーンで、桜坂さんだけが脚本家の意図を正しく汲み取って表現できていました」
先輩「だから、オーディションの結果は満場一致でしたよ」
164>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 19:56:38.81ID:RX2cEpoj
先輩「オーディションの前日までは、桜坂さんも他の子達とだいたい同じくらいに見えたんですけどね」
先輩「当日になってなにが起こったのかと思いましたよ。昨日までの演技とまるで違う、ストーリーとして頭の中に持ってただけのものを完璧に演技の形に仕上げてきましたからね」
侑「そうなんだ…」
侑「すごい…すごいなぁ、しずくちゃん…」
先輩「今は、自分の出番までに舞台上で行われることを、役として受け取る練習を繰り返してるみたいです。公演までにもっともっと素敵な役になると思いますよ」
先輩「観にこられるんですよね?」
侑「あ、行きたいんですけど。すみません、何日にあるのか知らなくて…」
先輩「来週の日曜日、24日です。11時開演で場所は講堂です」
侑「あ…ありがとうございます!」
165>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 20:01:23.87ID:RX2cEpoj
「──────」
しずく「…っ」ギュ…
「────」
しずく「…!」ハッ
「────────」
「──────」
しずく フルフル…
怒りに肩を震わせて拳を握り締めたり、
その言葉が信じられないと目を見張ったり、
かと思えば唇を噛みながら一人耐えたり。
役者の人達が物語を進める傍ら、しずくちゃんはただ懸命に『彼女』の物語を進める。
本当だ。
しずくちゃんは、すごい──
先輩「オーディションの前に、桜坂さんに会ったんですよね」
166>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 20:04:47.67ID:RX2cEpoj
侑「え?」
侑「あ、はい。朝から、しずくちゃんが部活に行く前に…」
先輩「そうですか」
先輩「『だから』、なんですかね」フッ──
侑「……………え…?」
侑「それって、どういう…」
先輩「…あー、その演技やめてって言ったのにな…」
先輩「すみません、高咲さん。私も指導に入りますね。三年生には高咲さんのこと話してあるので、向こうの練習も自由に見学してください」
先輩「それでは」
侑「あっ…」
167>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 20:08:35.99ID:RX2cEpoj
シーンが進んでしずくちゃんの出番が近づいてきたような気がして、私は思わず椅子を立った。
舞台向けじゃない普通の演劇部の練習も見ておきたいし、しずくちゃんの演技は本番まで楽しみにしておきたいしね。
そんなことを、心の中で何度か繰り返した。
振り返ったとき、恐らくもうしずくちゃんの出番は終わっていて、安心と反省の半々みたいな表情で物語を見守る姿があった──
168>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/01(火) 20:13:51.28ID:RX2cEpoj
「今日はここまで!お疲れ様でしたー!」
「「「お疲れ様でしたーーー!!!」」」
ガヤガヤ…
しずく「侑先輩っ」
侑「しずくちゃん、お疲れ様」
しずく「見学した感想はどうですか?…ってお話ししたいんですけど、私も片付けをしなくちゃいけないので。まだお時間は大丈夫ですか?」
侑「うん、平気だよ。待ってるから駅まで一緒に帰ろっか」
しずく「はいっ!もう少し待っていてくださいね」
侑「急がなくていいからね」
しずくちゃんと歩く短い帰り道、私の質問に答えたり演劇の知識を教えてくれたりする言葉があんまり耳に入ってこなかったような気がするのは──
気のせいだと、思った。
演劇部の見学をしました! ▼
170名無しで叶える物語(八つ橋)2020/12/01(火) 20:34:58.81ID:Ey4N0bNh
乙です
ぽむはまぁいつも通り(の重さ)にしてもそろそろかすみんと仲直りせんと侑ちゃんがきつそうやな
171名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/01(火) 22:31:42.09ID:r1X771E6
おつです
今後どうなるにしても、せっかくならみんなと友達以上で終わってほしいなぁ
172名無しで叶える物語(たこやき)2020/12/01(火) 23:30:08.81ID:+MLIZbiW
おつおつ。演劇部の先輩の言葉とか設定の緻密さとか、毎度>>1には感服です。
昼休みを歩夢と二人きりもしくはしずなな(歩夢が警戒してる相手)以外と過ごす、帰りに寄り道せず歩夢と二人で帰る って選択は1日おきぐらいにしなきゃぽむボム爆発しそうね…
174>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:16:41.41ID:mRmwCV7B
夜…
侑「なんか、変だな…」
ごはんを済ませて部屋に戻るなり、ベッドに倒れ込む。
しずくちゃんの折り畳みガサに入れてもらいながら駅まで帰って、家までの道は「最寄り駅まで迎えにきてもらうので」との言葉に甘えてカサを借りてしまった。
少し濡れてひんやりと冷たい左肩と、じんわりと熱い右肩。
ごまかすようにお風呂に飛び込んで、そのまま晩ごはんを食べて、今。
侑「カサ、しずくちゃんに返さなくちゃ…」
まだ熱いように感じる右肩を撫でて呟く。
175>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:21:55.90ID:mRmwCV7B
雨の日は歩夢に入れてもらうことが多くて、でもこれでもかってくらいくっついて歩くおかげで肩が濡れたことなんかないんだよね。
外側になる肩が冷たいことも、……歩夢と寄せた肩が熱いことだって、ないのに。
侑「なんなんだぁぁ………」ウウゥ
歩夢が寝ちゃわないうちに謝らなくちゃいけないのに、なかなか身体を起こせない。
これじゃ歩夢とお買い物に行けないよ。
あゆむー、あゆむぅぅ。
なんて一人でもぞもぞしていると、
♪
スマホが震えた。
176>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:27:31.14ID:mRmwCV7B
侑「…菜々ちゃん!」パッ
『菜。:こんばんは』
『菜。:明日の件ですが、両親に話して許可を貰いました』
『ってことは、泊まれる?』
『菜。:はい』
『菜。:お世話になります』
おお、やった!
文面は淡々としてるけど、話しぶり結構厳しいご両親みたいだし、きっと一生懸命説得してくれたんだよね。
177>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:31:37.63ID:mRmwCV7B
『よかった!
入力しかけた手を止めて、ふと思い返す。
あれ──なんか、今日?昨日?歩夢と約束したのって──
──歩夢「…よし、侑ちゃん!土曜日お買い物に行こう!侑ちゃんコーディネートするから!」
…土曜日って、明後日のこと?だよね?
侑「…………やば…」
どうしよう…? >>178
1.菜々との予定を調整する
2.歩夢との予定を調整する
3.二人との予定を合わせる
178名無しで叶える物語(たこやき)2020/12/02(水) 07:42:30.20ID:KRBt830T
2で
歩夢ごめん
179>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:50:08.09ID:mRmwCV7B
やば、やば、やば、やば。
え?なにこれ、もしかしてダブルブッキングした?
菜々ちゃんが明日から泊まりにくるでしょ。
泊まりにきて、土曜日の午前中には帰るんだっけ?
いやいや、そんなことないよね。
別に朝七時に起きてストイックに一気観するつもりなんかないし。
ミニドラマだって聴きたいし、きっと観終えたらお互いに感想を話し合ったり菜々ちゃんの好きなシーンを教えてもらったりするだろうし。
なんなら気に入った話とかもう一回観ようってなってもおかしくないし。
歩夢の「土曜日」っていうのは?午後五時から?
いやあ…違いそうだなぁ……
侑 サーーッ………
へへ…へへへ。
やばいなぁ。
180>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 07:54:47.81ID:mRmwCV7B
侑「いやいや、落ち着け私」
もはや歩夢も呼んで三人でお泊まりしちゃうのはどうかな。
あ、これいいんじゃない?
歩夢と菜々ちゃん仲良くなったし、歩夢もアニメはキライじゃないはずだもん。
お客さん用のお布団があるはずだから、こう…それ敷いて、下に二人で寝てもらって…
──歩夢「…誰の用事?また菜々ちゃん?」
…えー、歩夢さん?
菜々ちゃんと仲良くなった、よね…?
181名無しで叶える物語(茸)2020/12/02(水) 07:58:37.58ID:4av0o/4P
二股がバレそうで焦ってるようにしか見えない
182>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:03:13.13ID:mRmwCV7B
侑「あーっ、だめだぁ…だめそうだぁ…!」
歩夢だって菜々ちゃんのことイヤなわけじゃない。
それくらい私にもわかる。
ただ、二年生になってから私が歩夢を置いて他の友達との時間をたくさん取るようになったから、寂しいんだ。
今までずっと一緒にいたんだもん、私が離れていくような気がしてるのかもしれない。
反対に歩夢が私を放ったらかして新しい友達とばっかり遊び始めたら、きっと同じ気持ちになるもん。
でも、菜々ちゃんともしずくちゃんとも仲良くなりたいけど、その代わりに歩夢がどうでもよくなるなんて話じゃない。
それは歩夢にもわかってほしいな…
183>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:10:49.26ID:mRmwCV7B
菜々ちゃんと三人で──というより、二人きりじゃないことが焦点のはずで。
これから私は色んな友達と過ごす時間が増えていくかもしれないけど、そこに歩夢を加えればいい、ってことじゃない。
歩夢にとって私は特別なはずだし、私にとっても歩夢は特別な存在だもん。
歩夢との時間をきちんと取る。
他の予定で寂しい想いをさせたなら、それを補えるくらい楽しい時間を過ごす。
──しずく「侑先輩っ」
──菜々「侑さん」
──かすみ「侑せんぱい」
そうしていこう。
私は拡がっていく自分の世界も、歩夢のことも、どっちも大事にしたいもん。
184>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:18:14.98ID:mRmwCV7B
『よかった!』
『明日、放課後は生徒会?終わる時間わかるなら迎えにいくよ』
『菜。:明日は生徒会の定例会議があるので、そこではんぺんちゃんの件も議題にするつもりです』
そっか、明日会議なんだ…
『菜。:その後、18時半頃まで用事があるので、45分頃には学校を出られると思います』
『わかった、それじゃそれくらいに校門で待ってるね!』
とメッセージを送って、すぐに歩夢に電話を鳴らす。
185>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:21:42.08ID:mRmwCV7B
ベランダ
ガラッ
歩夢 ヒョコ…
侑「夜に呼んじゃってごめんね」
歩夢「ううん」フル…
侑「今日、一緒に帰れなくてごめんね」
歩夢「…いいよ」
歩夢「帰り、濡れなかった?」
侑「しずくちゃんにカサ借りたから、平気だったよ」
歩夢「そう。それならよかった」ホッ…
186>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:29:27.30ID:mRmwCV7B
侑「私さ、最近たくさん新しい友達が増えたんだよね」
歩夢「…そうだね」
侑「しずくちゃんに菜々ちゃん、かすみん、果林先輩やエマ先輩、彼方ちゃんに璃奈ちゃんに愛ちゃん。学年も学科も違うのに、たくさん」
侑「この中だと……あれ、歩夢もみんな友達か」
歩夢「友達…なのかな。お話ししたことはあっても、お友達っていうのかわかんないや」
侑「あはは、そうだよね。私も全員を『友達』って括るのは難しいかもって思うけどさ」
侑「でも、せっかく知り合えたんなら、仲良くなりたいんだよね。好きなこと話したり一緒に楽しいことしたりして、どんどん仲良くなりたいと思う」
侑「そしたら歩夢と二人の時間が今までよりは減っちゃうかもしれないんだけど」
歩夢 ピク…
侑「それでも、そうしたいって思う」
歩夢「…」
187>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:38:01.08ID:mRmwCV7B
侑「色んな人と触れ合うことで世界が拡がってくのを感じるんだ」
侑「演劇とかスクールアイドルとか、そういうのだけじゃなくても、自分になかった考えを聞いたりとか」
侑「それがすごく楽しいし、もっと!ってなって、わくわくしちゃうんだ」
歩夢「…」
侑「…歩夢と過ごす時間は減っちゃうかもしれない」
侑「でも、私が歩夢を大事に想う気持ちは変わらないから。時間が減ったらその分一回一回を楽しんで、今よりもっと歩夢と仲良くなりたい」
侑「寂しがらせちゃうのは、ごめん」
侑「こんなんじゃ…だめ、かな?」
188>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:39:07.41ID:mRmwCV7B
歩夢 ジーッ
侑「…」
歩夢 ジーーッ
侑「……」
歩夢 ジーーーッ
侑「………」
歩夢 …ハァ
歩夢「いいよ、もう」
侑「!」
189>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:43:09.09ID:mRmwCV7B
歩夢「侑ちゃんが新しいものとか面白そうなもの大好きなのは昔からだもん。今さらそれを変えてほしいなんて思わないよ」
歩夢「それに私は、そうやって目を輝かせてなりふり構わずに好きなものを追いかける侑ちゃんが好きなの」
侑「歩夢…!」
歩夢「結果私のことを放ったらかしちゃうとしてもね」ジト
侑「うぅ…あはは……」
歩夢「いいよ、もう」
歩夢「動物園でどれだけはしゃいでも、見たいもの好きなだけ見て回ったらちゃんと入口に帰ってくるもんね。これからは侑ちゃんからどんどん私に声をかけて誘ってよね」
侑「はいっ、そうします!」
190>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:45:54.73ID:mRmwCV7B
歩夢「明日のお昼ごはんはどこにも行っちゃだめだよ」
侑「うん」
歩夢「放課後も寄り道しないで一緒に帰るからね」
侑「うん!」
歩夢「土曜日はお買い物に行くんだからね」
侑「あ、それ日曜日にずらせないかな?」
歩夢「え!?なんで!?」
侑「だ、だめ…?土曜日じゃないと空いてないお店とか行く予定…?」
歩夢「だめじゃないけど、なんで?土曜日は都合悪いの?」
侑「菜々ちゃんと約束があって…」
歩夢「また菜々ちゃん!!」
191>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:48:45.13ID:mRmwCV7B
歩夢 ウーーッ…
歩夢 ムーーー…
歩夢 グヌヌヌ…
侑 ドキドキ…
歩夢「…菜々ちゃんと約束してたかもしれないけど、私とも約束したよね?」
侑「う、うん…でも先に約束したの菜々ちゃんだったんだ。歩夢とその話したとき、すっかり忘れちゃってて…」
歩夢 ムムムム…
歩夢「………日曜日は、絶対に付き合ってくれるの?」
侑「も、もちろん!」
歩夢「一日じゅう?朝から晩まで?他の子はなしで、私と二人で?」
侑「うん、うん、絶対約束する!」
192>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 08:56:17.76ID:mRmwCV7B
歩夢「…………ワカリマシタ」
歩夢「先に約束してたのなら、そっちを優先すべきだもんね。私も侑ちゃんの予定を確認せずに決めちゃったから、そこは我慢します」
侑 (あ、その自覚はあったんだ…)
歩夢「はあ~~~もう」
歩夢「侑ちゃんのばか」
侑「ぅ…」
歩夢「侑ちゃんのいじわる、侑ちゃんのばか」
侑「ばかって二回言った…」
歩夢「口答えしちゃだめ!今日だって今から寝るまで私だけのものなんだから」プン
侑「あはは…はいはい、わかったよ」
歩夢「寝るまで手握ってて」ン
侑「え~、ここで寝るつもり?」ギュ
歩夢「そうに決まってるでしょー」
侑「風邪引いちゃうよ~」
歩夢「口答えしーなーいーでー!」
侑「わかった、わかったってば」ギュ…
菜々とラインで話しました!
歩夢と日曜日に約束しました!
やや寝不足になりました! ▼
194名無しで叶える物語(SIM)2020/12/02(水) 09:35:04.38ID:OxUkM9O9
乙
今度は演劇の日かと思って焦ったわ
195名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/02(水) 11:07:31.11ID:J7b84te0
歩夢かわいい
196名無しで叶える物語(八つ橋)2020/12/02(水) 12:57:26.92ID:3FLyZYp7
ぽむかわ
197>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:16:29.49ID:mRmwCV7B
翌朝…
侑「お待たせぇ」フワ…
歩夢「行こっか」フワ…
侑「ふふっ。二人してあくびしてる」
歩夢「だって寝るの遅かったんだもん」クシクシ…
侑「歩夢がなかなか寝かせてくれなかったからだよ?」
歩夢「侑ちゃんがなかなか寝かせたくなくさせたんだもん」
侑「寝かせたくなく、なく…なく…?」
侑「ちょっとわかんない、難しい言い方しないで…」
歩夢「眠いもんね。授業大丈夫かなぁ」
侑「歩夢の居眠り姿が見られるなんて珍しいね」
歩夢「私が居眠りしちゃうのに侑ちゃんが起きてられると思う?」
侑「…言いっこなしで」
198>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:21:16.44ID:mRmwCV7B
お昼休み…
一時間目、接戦(ギリギリ勝ち)。
二時間目、接戦(ギリギリ負け)。
三時間目、惨敗。
四時間目、いつ始まったんだろう…
ちなみに歩夢が居眠りする姿は見られなかった。
いつもより真剣な表情で黒板とノートを何往復もしてたのは、たぶん必死に眠気と戦ってたからだね。
私は、…えへ♡
199>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:27:03.83ID:mRmwCV7B
侑「机くっつけるね」ガタ…
歩夢「うん」
優花「お、どこに行くかの相談もなく侑達が教室にいる」
香「ほんとだー」
歩夢「!」
侑「まだ地面とか乾いてなさそうだったからね。今日は教室」
優花「なるほどね。香、パン?」
香「おべんとー。すぐ食べられるよ」
優花「おけおけ」
侑「あー…」
200>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:29:59.05ID:mRmwCV7B
侑「優花、香。今日はね、だめ」
優花「お?」
侑「今日は私、歩夢と二人きりでお昼ごはん食べたいんだ」
優花「ほー…」
優花「なら、仕方ないね。次は一緒に食べようね」
侑「そうだね!」
香「んじゃ川崎ちゃん達のグループに突撃~」タタタ
優花「突撃禁止令~」スタスタ
201>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:32:49.10ID:mRmwCV7B
侑「お待たせ」ガタ…
歩夢「侑ちゃん、今日は私と二人きりでお昼ごはん食べたかったの?」ニコニコ
侑「ええ?」
侑「そうだよ。優花達断っちゃうくらいにね」ニッ
歩夢「もう、侑ちゃんってば♡」ナデナデ
侑「な、なんで撫でるの!?ほらもう食べようよ~」
歩夢「はーいっ♡」
優花/香 ((まあ、でしょうね。))
202>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:40:54.02ID:mRmwCV7B
歩夢「侑ちゃん寝てたでしょ」
侑「寝ちゃったよー、もう。無理だって古文と世界史の連続は…」
歩夢「私も危なかったよ。後半ほとんど『ユーちゃん』描いてごまかすしかなかったもん」
侑「ユーちゃんまだ描いてるの?」
歩夢「もちろんだよ。ユーちゃんにポイントを喋ってもらっておくと、すっごく定着するんだもん」
侑「もうやめようよ、高校生だよ。ノート提出したときとか先生にどう思われてるか考えると恥ずかしいよ…」
歩夢「オリジナルキャラクターだから大丈夫だよ」
侑「大丈夫じゃないよ!ほとんど私まんまじゃん、特徴捉え過ぎだよ!」
歩夢「そうかなぁ?」
侑「グッズ化するときはちゃんとお金払ってね」
歩夢「うふふ、他の誰にもユーちゃんを渡す気なんかないよ」
203>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:44:35.66ID:mRmwCV7B
侑「私、結構なにかしながら寝ちゃうこと多いんだよね」
歩夢「ごはん食べながら寝てたこともあるよね」
侑「ある。歩きながら寝て電信柱にまっすぐぶつかったときはさすがにびっくりした…」
歩夢「でもその五分後にまたぶつかったんだよね」
侑「あれはね、自分でも驚きを隠せなかったよ。電信柱にぶつかっても覚めない眠気ってどういうことなの…」
歩夢「侑ちゃんは運転免許取っちゃだめだからね…」
侑「そうだね、取らない」
204>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:49:03.28ID:mRmwCV7B
「「ごちそうさまでした」」
歩夢「寝なかったね」
侑「歩夢と話しながら食べてれば、さすがに…」
侑「って言いたいところだけど、ずっと眠かったのはほんとかも」
歩夢「あくびの回数すごかったよ」
侑「歩夢だって眠いでしょー?」
歩夢「侑ちゃんほどじゃないかもしれないけど、眠いのは眠いかな…」
侑「ね、歩夢」
歩夢「うん」
侑「お昼休みはまだ三十分あるんだけどさ」
歩夢「そうだね」
侑「お昼寝しない?」
歩夢「………賛成」
205>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:51:45.85ID:mRmwCV7B
歩夢「せっかく二人なんだからたくさんお話ししたいけど、このままだと午後の授業で寝ちゃいそうだもん」
侑「歩夢の居眠りが見られるなら、なんとか我慢してもいいって気が…」
歩夢「侑ちゃんには見れないってば」
侑「なんで決めつけるのさー」ブー
侑「…うそ。やっぱ寝たいや」フワ…
歩夢「私も…」フワ…
206>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:55:37.72ID:mRmwCV7B
ジャージ枕 モフ
侑「これでよし!よだれがついちゃっても、今日は金曜日だから持って帰って洗うだけ!」
歩夢「そんなことを堂々と宣言されても」
歩夢「侑ちゃん、椅子平気?もっと寄っていいよ」
侑「もうちょっと」ズリ…
侑「うん、これで大丈夫」
歩夢「お昼休み終わる前にアラームかけとくね」スマスマ
侑「あー、もうだめ。寝よう歩夢」ボフッ
歩夢「そうだね。お休みなさい、侑ちゃん」ボフ…
侑「おやすみー」
207>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 19:56:56.49ID:mRmwCV7B
………スー…スー……
優花「いや、一つの机で一緒に寝るなんて有り得る?」
香「歩夢ちゃん達のやることを深く考えてもしょーがないよ、優花ちゃん」
歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼
208>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:02:44.27ID:mRmwCV7B
放課後…
侑「帰ろ、歩夢」
歩夢「うん」
歩夢「どこか寄り道したい?」
侑「んー…」
侑「ううん。歩夢とお話ししながらのんびり帰りたいかな」
歩夢「えへへ…そう?それじゃそうしよっか」
侑「うん!」
209>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:06:19.94ID:mRmwCV7B
帰り道…
歩夢「どんなコーディネートしようか迷っちゃうなぁ」
侑「日曜日?お手柔らかにね…」
歩夢「普段から侑ちゃんが選ぶような服じゃ意味ないもん、とびっきりの選んであげるからね」
侑「お、お互いに似合うって思ったのを選ぶんだよ!?」
歩夢「わかってるよー。でも侑ちゃんに似合わない服なんかないから困っちゃうな…」
侑「その眼鏡は外しておいてもらった方がいいなぁ…」
210>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:09:58.33ID:mRmwCV7B
歩夢「私、侑ちゃんに着てほしい服とかしてほしい格好はいっぱいあるんだよ」
侑「え、そうなの?」
歩夢「うん。でも侑ちゃんあんまり自分のお洋服に興味ないから、私が一方的に押し付けちゃうのもよくないかなって、我慢してるの」
侑「その我慢を果林先輩が解き放ったわけだ…」
歩夢「でもいっぱいあって困ってるの!ねえ侑ちゃん、いくつも選んじゃだめ?」
侑「えっ!?」
侑「い、いや、選んでくれるのは全然いいんだけど、やっぱり一式揃えるってなるとそんなに何着もは買えないっていうかさ…」
歩夢「私、お年玉たくさん貯金してるよ」ムフー
侑「絶対使わないでね!!?」
211名無しで叶える物語(たまごやき)2020/12/02(水) 20:11:19.08ID:IpCCoIQy
イチャイチャしやがって
212名無しで叶える物語(八つ橋)2020/12/02(水) 20:16:52.51ID:3FLyZYp7
選択肢まで消すぽむつおい
213>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:19:50.90ID:mRmwCV7B
歩夢「っていうか、そうだよ!」
侑「ん?」
歩夢「私、侑ちゃんが果林先輩にコーディネートしてもらったって服、まだ見てないよ!」
侑「あ、ああ…」
歩夢「日曜日、それ着てきてね」
侑「なんで!?いっぱい試着するかもしれないんだからシンプルな格好にしようよ!」
歩夢「だって見たいんだもん。それに、そのコーディネートくらいは超えたいし」
侑「くらいって、一応読者モデルが選んだ服だよ?」
歩夢「読者モデルでもプロのモデルでも関係ないよ。侑ちゃんに一番似合う格好は、侑ちゃんのこと一番知ってる私が一番よくわかるもん」
侑「一番だらけでなにがなんだか」
214>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:26:40.24ID:mRmwCV7B
侑「朝、一旦その服着て家行くから。一通り満足したら出かける前に着替えさせてね」
歩夢「仕方ないなぁ」
侑「仕方ないのは私かなぁ」
歩夢「果林先輩が選んでくれた服、どのくらい着てるの?」
侑「しずくちゃんと演劇を観にいったときの一回だけだよ。あんなに気合いの入った格好で出かける用事なんかそうそうないもん」
歩夢「…勝負服みたいになるの、ヤだな」ボソッ
歩夢「…でも、普段着になるのもヤだな。いつも果林先輩色でいることになっちゃうもん」ボソッ
歩夢「…私が勝負服になるのと普段着になるのと両方揃えてあげたらいいのかな。そしたら果林先輩の服どうするんだろう。捨てたりしてほしいわけじゃないけど、あんまり特別に扱われるのも、だからって当たり前の存在になるのもな…」ボソ…
侑 (うーん…)
侑 (歩夢は独り言が大きいなぁ)
215>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:32:31.09ID:mRmwCV7B
歩夢「侑ちゃん、お互いにコーディネートするのもいいけど、今持ってる服を交換っこしてみるのも面白いんじゃない?」
侑「面白いとは思うけど、考え事聞こえちゃってたんだよねぇ…」
侑「歩夢と二人で買い物に行くの久し振りだし、せっかくコーディネートしてくれるって言うんだもん。楽しもうね」
歩夢「ほんと、久し振りだね。一年生の頃はずっと一緒だったのにね」
侑「そ、それはさぁ…」タジ…
歩夢「うふふ、ごめんね。ちょっぴりいじわる言いたくなっちゃっただけ。もう怒ってないよ」ニコッ
侑「それならいいけど」ホッ…
216>>1 ◆1Y9DDrqNbw (茸)2020/12/02(水) 20:37:41.05ID:mRmwCV7B
侑「ただいまだ」
歩夢「お帰りなさい」
侑「歩夢もお帰りなさい」
歩夢「うん、ただいま」
侑「じゃあ、また明後日ね」
歩夢「菜々ちゃんに、よろしくね」ムー…
侑「あはは、伝えとく。うるさくしたらごめんね」
歩夢「うるさくするようなことするの?」
侑「え?いや、そんなことないとは思うんだけどさ」
歩夢「…まあいいや、詮索はしないの。侑ちゃんには侑ちゃんの時間とお付き合いがあるんだもんね」
侑「明日どんな一日だったか、聞かせてね」
歩夢「はーい」
歩夢「またね、侑ちゃん」ノシ
侑「またね」ノシ
…バタン
歩夢と帰りました! ▼
218名無しで叶える物語(茸)2020/12/02(水) 20:39:48.12ID:tihJHUnE
乙
安価すら許さないぽむさあ…
219名無しで叶える物語(たこやき)2020/12/02(水) 20:53:27.91ID:FF8aqnZ8
おつです
安価なしの強制イベント
この幼なじみ強すぎる
220名無しで叶える物語(八つ橋)2020/12/02(水) 20:53:31.16ID:3FLyZYp7
乙です 独壇場でしたね…
221名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/02(水) 21:30:27.17ID:LcOKzG3K
ぽむはやっぱり正妻ですわ……
侑ちゃんのモノローグ的にも、なんていうか、帰る場所って感じが強くて好き
222名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/12/02(水) 23:29:10.08ID:mwAMHXlc
なんだかんだで歩夢ちゃん可愛い