寝かせたい璃奈と眠りたい彼方

彼方ちゃんの奮闘記 へ(微妙に左作の続き物です)

 

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1ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:24:37.30ID:YSAtf9DJ

せつ菜「お疲れ様でーす」ガチャ


璃奈「ムムムム………」璃奈ちゃんボード『とんがり口』

彼方「むむむむ………」

バチバチバチ…


せつ菜「んん!?これは一体どういう状況ですか!?」

 

2ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:25:09.90ID:YSAtf9DJ

歩夢「せつ菜ちゃん、こっちこっち」コソ

せつ菜「歩夢さん。どうしてそんな物陰に」

歩夢「二人が喧嘩しちゃっておっかないから、目立たないところでアイマスク着けてお昼寝してたんだよ」歩夢ちゃんアイマスク『(´・ω・)

せつ菜「なんですかその前代未聞の煽り方は」

 

3ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:25:35.79ID:YSAtf9DJ

愛「チッス、せっつー」ヒソ

せつ菜「愛さんまで」

愛「いやいや、アタシは別だよ。この状況をダジャレにできないかと思って目立たないところで観察してたんだよねー」

せつ菜「なんでだよ。なにか思い付きましたか?」

愛「相容れない二人を観察、愛だけに…」

せつ菜「結局素材愛さんじゃないですか」

 

4ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:26:03.94ID:YSAtf9DJ

歩夢「あんまり上手いこと言えてない自覚があるからか、いつもの勢いがないの…」

せつ菜「そうですか…」

愛「まったく二人とも喧嘩してたら愛せないよね。愛だけにっ☆」

せつ菜「易きに逃げないでくださいよ」

歩夢「前フリが長いのもちょっとノーグッドだよね…」

せつ菜「いやもうダジャレの話はいいですから」

 

5ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:26:31.42ID:YSAtf9DJ

せつ菜「そんなことより、なんですか?あれ。あの二人が衝突する理由なんて全く想像できないのですが」ヒソ

愛「アタシから話しても平気?」

せつ菜「は、はい」

愛「アタシが部室に来たとき、実はもう二人ともこんな状況でさ………………」


愛「…ずっと見てたけど、『むむむむ』しか言わないからなんにもわかんないんだよ」

 

6ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:26:56.19ID:YSAtf9DJ

せつ菜「………」

愛「………」

せつ菜「………え?」

愛「困ったもんだよね」

せつ菜「終わりですか!?長くならないの!?」

愛「簡潔に完結!ってね」

せつ菜「だったら回想に入りそうな雰囲気出すのやめてくださいよ!」

 

7ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:27:25.28ID:YSAtf9DJ

愛「アタシより先に来てた歩夢の方がよく知ってると思うんだ」

せつ菜「よく知らないならしゃしゃり出てこないでください」

愛「ね、歩夢」

歩夢「うん。私はあの二人より先に部室に来たけど、来るなりお昼寝し始めちゃったからよく見てないの。起きたらあんなだったし愛ちゃんもいたから」

せつ菜「そんなことだろうと思いましたよ。一人で勝手にお昼寝してただけじゃないですか」

 

9ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:27:51.38ID:YSAtf9DJ

せつ菜「まったく、これじゃなにもわからないままじゃないですか──」ハタ…

彼方 ジッ

璃奈 ジッ

愛「やばっ、こっち見てるよ」

歩夢「気づかれちゃったんだ」(受身表現)

せつ菜「そもそも気づかれてはいたと思いますが…」(尊敬表現)

 

10ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:28:19.64ID:YSAtf9DJ

璃奈「歩夢さん」

歩夢「は、はい」

彼方「せつ菜ちゃんに、愛ちゃんも」

愛「はい…」

璃奈「なにがあったのか早く訊いてほしい」

彼方「そうしないと物語が進まないじゃん」

せつ菜「待っていらしたんですか!?」

 

11ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:28:47.44ID:YSAtf9DJ

彼方「さすがの彼方ちゃんもずっと『むむむむ』だけ言い続けるのは疲れたよ~」

愛「あはは、ごめんごめん」タハー

せつ菜「なら言わなくてよかったのでは…」

璃奈「私は途中から合成音声に任せてた。どちらかというと姿勢を変えられないことの方がきつかった」カチ

『ムムムム………』

彼方「璃奈ちゃんずるいっ!?」ガーンッ

璃奈「叡智の勝利」

 

12ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:29:19.94ID:YSAtf9DJ

歩夢「待って、二人とも」

歩夢「ってことは喧嘩は演技で、二人はいつも通りの仲良しさんなの?」

かなりな ハッ…

彼方「……ううん、彼方ちゃんは怒ってます」プイ

璃奈「私も」璃奈ちゃんボード『はらわたグツグツ』

せつ菜「そんな…一体なにがあったって言うんですか」

 

13ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:29:52.58ID:YSAtf9DJ

彼方「原因はあれだよ」ス

せつ菜「あれ…?」


ひつじ スヤァ…


愛「ひつじ?」

璃奈「睡眠誘導波発生装置、その名も『夢見るシープくん2号』」

せつ菜「なんだか見覚えありますが!!?」

 

14ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:30:32.74ID:YSAtf9DJ

歩夢「私も知ってるよ。偶蹄目ウシ科の哺乳類でヤギに似てるけど、渦巻形の角が特徴的だよね。毛に毛皮、肉、乳…って日常に利用できる部分が多いから、古くから世界各地で飼われてるんだって。品種も多いんだよ」

せつ菜「それまじの羊じゃないですか」

歩夢「? 違うの…?」

彼方「歩くひつじ図鑑、その名も歩夢ちゃんだね~」

愛「牛の仲間なんだ~。詳しくなってウッシッシ、ってね☆」

璃奈「これはひつじを模して作った機械。璃奈ちゃんの最高傑作」璃奈ちゃんボード『得意気』

 

16ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:31:11.14ID:YSAtf9DJ

愛「確か前にも似たようなの作ってたよね、りなりー」ツンツン

璃奈「うん。そのときの改良型として作り直したのがこの『夢見るシープくん2号』なの」

せつ菜「私は1号を実際には見てませんが、校内の出来事として報告書が上がってきたのを覚えています。約二十人の生徒がまるでその場で意識を失ったかのように眠ってしまった事件──の、原因になった機械でしたっけ」

璃奈「その節は反省してる」

せつ菜「過ぎたことなので今さらとやかく言う気はありませんが、」

璃奈「でも今回は改良を加えて、どんな人も絶対に眠らせることができるようにした」

せつ菜「…うん?」

 

17ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:31:43.14ID:YSAtf9DJ

彼方「…どんな人も眠らせるなんて嘘だよ。彼方ちゃんには効かないもんね」ボソッ

璃奈「!」

璃奈「そんなことない、彼方さんだって『夢見るシープくん2号』の力で眠りに就いた」

彼方「関係ないもん。彼方ちゃんは自分が寝ようと思って寝たの」

璃奈「『夢見るシープくん2号』の力」

彼方「自分の意思だってば~」

せつ菜「すみません、その張り合いいります?」


せつ菜「…っていうか璃奈さんは反省してくださいよ!!」

 

18ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:32:10.02ID:YSAtf9DJ

愛「事情聴取の時間だよ」カンカン

歩夢「お互いの主張をきちんと聞いてみないとね」

彼方「いいよ~」

璃奈「私も望むところ」

愛「じゃあまずはかなちゃんからね」

せつ菜 (早く果林さんたち来ないかなあ)

 

19ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:32:45.70ID:YSAtf9DJ

彼方の証言


彼方「彼方ちゃんはいつも通り始めから眠かったんだよ」

彼方「今日は少し早く授業が終わったから、みんなが来るまでお昼寝できるな~と思ってうきうきで部室に来たんだ~」

彼方「そしたらなんともふもふ羊の抱き枕があったから、これは彼方ちゃんじゃなくても思わず抱き締めちゃうよね」

彼方「そうして気づいたときには夢の中…」

彼方「視線を感じて目をあけたら璃奈ちゃんがじっと見てて、嬉しそうに言ったんだよ」

彼方「『彼方さんにも効き目があった』って。」


以上

 

21ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:33:49.86ID:YSAtf9DJ

璃奈の証言


璃奈「私、前の『夢見るシープくん1号』が彼方さんに対して効果を発揮しなかったことが悔しかった」

璃奈「だから次こそは彼方さんをも眠らせられるように改良を施して、それが昨日完成した」

璃奈「午前中はばたばたしてたから『夢見るシープくん2号』は私が連れ回してたけど、お昼休みに部室へ連れてきて休ませておいた」

璃奈「ディープスリープモードにしておいたから誘導波は振り撒かないけど、盗難対策に決められた以外の持ち方をしたら強い誘導波が出るようになってる」

璃奈「それで放課後になって部室に来たら彼方さんが『夢見るシープくん2号』を抱き締めて眠ってたから、私、嬉しくなって彼方さんの寝顔を眺めてたの」

璃奈「そしたら彼方さんが目を覚まして、私は言った」

璃奈「『彼方さんにも効き目があった』って。」


以上

 

22ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:34:19.17ID:YSAtf9DJ

せつ菜「…だそうですけど」

愛「二人の発言に矛盾がない…!?」

歩夢「どうしよう愛ちゃん、指摘する部分がないよ」

せつ菜「どうしてどちらかが嘘をついている前提でいたんですか」

愛「これじゃ『異議あり』って言えないじゃん!」

歩夢「困ったね…」

せつ菜「もうずっと困ってたらいいと思います」

 

23ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:34:52.38ID:YSAtf9DJ

彼方「ねえねえせつ菜ちゃん、彼方ちゃんは自分の意思で眠ったよね?」

璃奈「『夢見るシープくん2号』の防衛機能で眠ったに決まってる」

せつ菜「え、ええ~…」

せつ菜「よくわかりませんけど、まずその防衛機能がきちんと作動したかどうかを調べてみればいいんじゃないですか?」

かなりな「「!」」

 

24ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:35:22.01ID:YSAtf9DJ

彼方「それだ~、さすがせつ菜ちゃん」

璃奈「もちろんログも確認できるようになってる」璃奈ちゃんボード『むふー』

歩夢「防衛機能がはたらいて眠いやつが出てたことがわかったら、璃奈ちゃんの証言が少し優位になるってことだね。私もいい一手だと思う」ウンウン

愛「でもその確認を止めないってことは、かなちゃんも虚勢張ってるわけじゃないんだろうからね。にしてもいい一手だよ」ウンウン

せつ菜「ここぞとばかりに乗っかってくる」

 

25ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:35:51.97ID:YSAtf9DJ

璃奈「貸して」

彼方「?」

璃奈「『夢見るシープくん2号』。ログの確認するから」

彼方「…」つ羊と ギュ

彼方「もふもふしてて気持ちいいから」

彼方「放したくない」ム

璃奈「!?」

 

26ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:36:29.85ID:YSAtf9DJ

愛「おっと!?ここでかなちゃんが想定外の反撃だーっ!」

歩夢「このカウンターを誰が予想したでしょうか」ハラハラ

せつ菜「なに楽しんでるんですか」

璃奈「貸してくれないと、ログの確認ができない」

彼方「でも彼方ちゃんはもふもふを手放したくないもん。遠隔操作でログの確認とやらはできないの?」

璃奈「!?」

 

27ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:36:58.31ID:YSAtf9DJ

愛「こ、これは…技術屋を刺激する一言だよ!」

歩夢「それに対して璃奈ちゃんは、」

璃奈「できるに決まってる」璃奈ちゃんボード『なめんな』

歩夢「乗っちゃった。安易に挑発に乗っちゃったよ」

せつ菜「挑発ですかね?」

愛「言ってるのがかなちゃんだけに、本当にもふもふを手放したくないだけって可能性が十二分にあるからね…」

 

28ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:37:33.85ID:YSAtf9DJ

璃奈「でも遠隔で確認するより本体のログを確認する方が正確。一片の間違いも許されない今、チェックは万全を期すべき」

歩夢「うまい!この緊迫した状況を利用して切り抜けたよ」

璃奈「本当にできる!!!!!」

歩夢「ひいっ!」

愛「技術屋を無闇に刺激するようなこと言っちゃだめだよ、あゆむん」

せつ菜「あんな大きな声出るんですね璃奈さん」

 

29ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:38:26.33ID:YSAtf9DJ

せつ菜「ふと思ったのですが、そうやって抱きかかえていられるということは防衛機能は作動していないのではないですか?」

彼方「!」つ羊と

──璃奈『盗難対策に決められた以外の持ち方をしたら誘導波が出るようになってる』

歩夢「こっ、これは……!反論の余地がないくらいの論理的な指摘が出てきたよ」

璃奈「彼方さんのその持ち方は、唯一の誘導波が出ない『決められた持ち方』」

愛「と思ったらかなちゃんがとんでもない奇跡を引いてたーーーっ!!」

せつ菜「そんなオーソドックスな持ち方に設定してたら防衛機能の意味なくないですか」

 

30ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:38:57.06ID:YSAtf9DJ

璃奈「代わりのもふもふを渡すから、『夢見るシープくん2号』を渡してほしい」

彼方「仕方ない。よりもふもふでより気持ちいいのにしてね」

璃奈「任せて」

愛「アタシはもふもふよりりなりー抱っこする方がいいなー」ムギュ

璃奈「愛さん動きづらい」


もふもふ交換中…

 

31ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:39:30.05ID:YSAtf9DJ

璃奈「『夢見るシープくん2号』が手元に戻ってきた。これよりログの確認を開始する」

愛「おっ、システム屋っぽいね」

璃奈「開始点から行う行動を明言して定義するのは当然の仕様」

歩夢「その可愛いもふもふ羊さんも内部ではそうやって丁寧に作られてるんだね」

せつ菜「技術屋さんってすごいですね」

歩夢「システム屋さんと技術屋さんって別なのかな…」

 

32ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:40:02.32ID:YSAtf9DJ

ログ確認中…


愛「かなちゃ~ん。作動してたって確認できたらどうするよ~?」ウリウリ

歩夢「陽性反応が出たら不利になっちゃいますよね」

彼方「別に、煙が出てたからって彼方ちゃんがそれで眠ったことには直結しないもん~」

愛「おお、まだまだ強気だね」

せつ菜「陽性反応」

璃奈「…確認が済んだ」

 

34ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:40:39.24ID:YSAtf9DJ

愛「りなりー、どうだった?」

せつ菜「先ほど奇跡の持ち方をしていたところを見ると、作動していなかった可能性も充分にあると思いますが」

璃奈「防衛機能は──」


璃奈「作動してた」


彼方「!」

璃奈「作動時刻は1432分、作動要因は『盗難対策』、つまり不適切な持ち方をしたから。誘導波の発生時間は設定通りの十五秒間」

 

35ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:41:08.80ID:YSAtf9DJ

愛「1432分だって」

彼方「詳しい時刻は覚えてないけど、まあ…彼方ちゃんが部室に来たのはそれくらいだったと思う」

せつ菜「そのとき、他に誰かいましたか?」

彼方「ううん」フルフル

愛「ってことは、かなちゃんが抱き締めたのが原因で作動したのは間違いなさそうだね」

せつ菜「そういうことに、なりますね」

彼方「むぅ~」

 

36ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:41:40.88ID:YSAtf9DJ

璃奈「ということは、」

歩夢「待って璃奈ちゃん」

璃奈「歩夢さん?」

歩夢「私ね、気になったことがあって。一つ確認してもいい?」

璃奈「なんなりと」璃奈ちゃんボード『聞こう』

愛「りなだけにっ☆」

せつ菜「いけてるようでいけてなくないですか、それ」

 

37ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:42:23.11ID:YSAtf9DJ

歩夢「その眠いのが発生したら、どのくらいで眠っちゃうものなの?」

璃奈「もちろん人によるけど、長くても五秒はかからない。盗難対策だからかなり即効性を高めてる。十五秒間発生し続けるのは保険」

歩夢「五秒か…」フム

璃奈「?」

愛「なんか、あゆむんがマジになって考えてるね」

彼方「歩夢ちゃん…彼方ちゃんのために…!」ジーン

 

38ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:43:01.48ID:YSAtf9DJ

歩夢「予期せず作動したはずの防衛機能で、眠っちゃうまでの時間は長くても五秒」

歩夢「わかんないけど、どうなんだろう」

歩夢「その状況で、『煙』が発生したって認識できるものなのかな──?」


──彼方『別に、煙が出てたからって彼方ちゃんがそれで眠ったことには直結しないもん~』


璃奈「………!?」

あいせつ「「おお…っ!?」」

 

39ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:43:45.04ID:YSAtf9DJ

歩夢「璃奈ちゃんはこの話が始まってから、ずっと…なんだっけ、あの、」

璃奈「………睡眠誘導波」

歩夢「そう。眠いのをその正しい名前でしか呼ばなかったけど、彼方さんはそれが『煙』だって認識してますよね。『誘導波』が煙の形をしてるって、私だったら想像しません」

歩夢「彼方さんは『煙』が発生したのをしっかりと見ていたんじゃないですか?」

愛「う、おおお…!あゆむんがものすごく的確な推理を!」

せつ菜「まーたどうせ的外れなことを言い出して乾いた笑いを取りにくるつもりだろうと穿ってました、ごめんなさい!」

歩夢「せつ菜ちゃんは後で校舎裏ね」

 

40ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:44:14.48ID:YSAtf9DJ

璃奈「…………っ」

愛「これは…」

せつ菜「結果が出たようですね…」

歩夢「前のときもそうだったって言ってたけど、なぜか彼方さんにはその羊の眠いのが効かないってことみたいだね」

歩夢「でも勘違いしないで璃奈ちゃん。私たち、どっちが正しくあってほしかったとかそんなつもりじゃなかったんだよ。ただ二人が喧嘩してるのはイヤだったから、本当のことをはっきりさせたかっただけで、」

彼方「歩夢ちゃん」

 

41ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:44:43.91ID:YSAtf9DJ

彼方「彼方ちゃんの言い分を裏付けする部分を見つけてくれたのは嬉しい」

歩夢「そんな、私はただ気になったことを確認しただけで、」

彼方「でも、今の理屈は通らないんだ」

歩夢「えっ?」

せつ菜「彼方さん…?」

彼方「彼方ちゃんはね、知ってたんだよ。今日その羊を抱き締めるより前に、『催眠誘導波』とやらが煙の形をしてること」

 

42ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:45:27.44ID:YSAtf9DJ

愛「えっ、そうなの!?」

歩夢「どうして、だって『夢見るシープくん2号』は昨日完成して、午前中は璃奈ちゃんがずっと連れ回してて…………」ハッ

彼方「そう。そうなんだよ。その羊は『2号』なの」


彼方「彼方ちゃんはね、『1号』が煙を噴き出して人が眠っちゃう様子を前に見たことがあるんだよ」


璃奈「そっか、そうだった」

せつ菜「そうだ…!報告書にも確かにありました。発生した事件のうち二件の現場には、璃奈さんと──彼方さんが立ち会っていたと!」

 

43ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:45:54.80ID:YSAtf9DJ

彼方「彼方ちゃんだってこんなこと言いたくなかったよ。このまま黙ってれば彼方ちゃんが正しいって結論になったわけだし~」

彼方「でも、すっきりしないじゃん。本当に白黒つけないと」

彼方「ね、璃奈ちゃん」

璃奈「彼方さん…」

愛「かなちゃん、自分の有利を捨ててまで…!さすが、男だね!」

せつ菜「女ですよ」

 

44ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:46:24.86ID:YSAtf9DJ

彼方「歩夢ちゃん、」

歩夢「いいんです。言ったじゃないですか、どっちが正しくあってほしいとかそういうことじゃないって。やり合いましょうよ、とことん!」

彼方「…うんっ!璃奈ちゃんもね」

璃奈「もちろん」璃奈ちゃんボード『まだだ、まだ終わらんよ』

愛「しのぎを削り合い、絆を深め合う。熱い、熱いよ…!」

せつ菜「くうっ、私も燃えてきました」

せつ菜 (あれ、なんでこんなクソどうでもいいことで熱くなってるんだっけ)

 

45ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:46:53.08ID:YSAtf9DJ

愛「次は!?次はなにを検証すればいいんだろ!?」

歩夢「防衛機能が作動して煙が出たところまでは確定したんだよね。だから、」

せつ菜「改めて煙を出して、彼方さんが眠るかどうかを確認してみるというのはどうですか?」

かなりな「「!!」」

あいぽむ「「!!」」

 

46ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:47:20.07ID:YSAtf9DJ

彼方「確かにそれなら、他のことを検証するまでもなく…」

璃奈「一発で答えがわかる」

せつ菜「ですよね?ですよね!?」

歩夢「…うん、そうだね」

「「「………」」」

せつ菜「…?皆さん…?」

 

47ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:47:51.54ID:YSAtf9DJ

愛「いやね、せっつー。ナイスアイディア、ナイス愛ディアなんだよメッチャ」

せつ菜「しれっと自分の手柄みたいにしないでくださいよ」

愛「でもそれ、もう検証とかいう話じゃなくて完膚なきまでに答え出るじゃん?」

せつ菜「はい。誰もが望んでいることなのでは…」

歩夢「……終わっちゃうんだね、この時間が」ポツリ

せつ菜 (真偽を追っかけること自体が楽しくなっちゃってるゥーーー!!)

「「「………」」」

せつ菜 (しかも全員んんんーーー!!)

 

48ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:48:31.93ID:YSAtf9DJ

せつ菜「いっいや、わかります。わかりますよ。正直初めは乗り気じゃなくて早く終われ誰か来て流れ変えろって思ってましたけど、あの裁判ゲームみたいで楽しかったのは紛れもない事実です!」

せつ菜「でも忘れないでください、私たちが本当に求めているのは真実を明らかにすること。そうではないですか!?」

一同 ハッ…!!

せつ菜「ずっと真実が明らかにならなければ、それは同時に彼方さんと璃奈さんがずっと仲違いをしたままになるということですよ!」

かなりな チラチラ…

かなりな テレテレ…//

せつ菜「なあなあで仲直りをするな!!!」

 

49ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:49:02.49ID:YSAtf9DJ

せつ菜「楽しい時間はいつか終わります。終わらないパーティなんて存在しない。ワチャドゥ」

歩夢「関係ないのがくっついてるよ」

せつ菜「でもだからこそ、また次の楽しみを求めて走り出せる──そうじゃないでしょうか」

愛「…せっつーの言う通りだね」

彼方「そうだね~」

璃奈「大切なことを見失ってた」璃奈ちゃんボード『命中率-6

 

50ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:49:30.54ID:YSAtf9DJ

彼方「璃奈ちゃん、やってよ。私に煙を浴びせて」

璃奈「わかった」コク


ひつじ「…」


あいぽむ ゴクリ…

せつ菜 ドキドキ…

 

51ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:50:07.86ID:YSAtf9DJ

璃奈「それじゃ出す」

彼方「彼方ちゃん、今は全く眠くないんだ~」

彼方「眠っちゃってもそうじゃなくても、お互いに恨みっこなしだよ」

璃奈「わかってる」

璃奈「彼方さん以外は口を塞いで。防衛機能──作動」ムギュ


ひつじ プシュープシュー


「「「…………!」」」

…………

……

 

52ぬし ◆z9ftktNqPQ (星の眠る深淵)2020/01/28() 00:51:02.73ID:YSAtf9DJ

果林「遅くなってごめんなさい、エマもすぐに来るわ」ガチャ

果林「…あら…?」

彼方、歩夢、愛、せつ菜「「「「………」」」」

果林「璃奈ちゃんも先に行ってるって聞いた気がしたんだけど…みんなどうしたの?」

彼方「璃奈ちゃんね、今日は急用で帰っちゃったよ」

愛「ああ言ってはいても、りなりーはやっぱり技術屋さんなんだね」ウンウン

果林「?? はあ…そう……」



終わり