ちかよしまりで同棲してみた。 3

137名無しで叶える物語(茸)2019/03/25() 19:31:14.40ID:jn2fb5bz

次の内容だかなんだか >>138

 

138名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)2019/03/25() 19:48:42.50ID:pZaxTVaO

チカとマリーが大喧嘩

 

141名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)2019/03/26() 16:36:38.81ID:ZxbQRLh6

142名無しで叶える物語(SB-iPhone)2019/03/26() 18:30:37.43ID:ogjz3aMn

>>141 
この表紙ほんとすこ 
なお中身はちかよしもちかまりもよしまりもないもよう

 

143名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:12:40.83ID:ba0U/QdG

チカとマリーが大喧嘩 


鞠莉「ねえちかっち、炊飯器知らない?ここに置いといたやつ」 

千歌「あ、おはよー鞠莉ちゃん。あの炊飯器ならちゃんと捨てたよ!」 

鞠莉「え?」 

千歌「鞠莉ちゃんが持ってきたやつでしょ。えへへー、チカも炊飯器は粗大ゴミってことくらいちゃんと知ってるんだから!偉いでしょ」エヘン 

鞠莉「うそ、捨てた…?」 

千歌「うん。今朝の回収に」 

鞠莉「待ってよ、冗談でしょ…あれ捨てるやつじゃないわよ。絶対に捨てたくないやつなのよ…?」 

千歌「え…?」

 

144名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:17:39.01ID:ba0U/QdG

千歌「え、うそ、今日が粗大ゴミの日だからそこに置いてたんじゃないの…?」 

鞠莉「違う!片付けようと思って棚から出しといただけよ。季節のものを入れ替えたらまたすぐにしまうつもりだったのに…」 

千歌「えっ、ごめん…」 

鞠莉「ううん、ここに置いといたのがいけないんだものね。私こそ気を遣わせちゃってごめんね」トコトコ… 

千歌「どこ行くの?」 

鞠莉「やあね、持っていかれちゃう前に取ってくるのよ」 

千歌「取ってくるって、え……」 

鞠莉「もう、そんなに怖がらないでよ。ちょっと間違っちゃったからってそんなに怒ったりしないから」 

千歌「いや、ううん…そうじゃなくって…」 

千歌「回収、もう終わった…と、思う…」 

鞠莉「えっ…」

 

145名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:19:54.81ID:ba0U/QdG

鞠莉「うそ…?」 

千歌「や、うん、チカも見たわけじゃないけど、いつも10時くらいには回収されてるし…」 

鞠莉 バッ 

12:39 

鞠莉 サー… 

千歌「…っ!」 

千歌「ま、待ってて!チカすぐ見てくるから!」 

ガチャ バタン タタタタ…

 

146名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:24:46.59ID:ba0U/QdG

鞠莉 ソワソワ… 

ガチャ… 

鞠莉「!」 

鞠莉「ちかっち、炊飯器──」 

千歌「その、鞠莉ちゃん…やっぱり…」 

鞠莉「……そんな…」 

千歌「あの、ごめんね、壊れてたやつだしゴミだって思って、わたし…」 

鞠莉「うん…」 

千歌「あ、で、でもだいじょーぶだよ!炊飯器は今使ってるやつがちゃんと動くし、鞠莉ちゃんのやつだって最初から壊れてて一回も使ったことないじゃん!ごはんの味とかチカよくわかんないけど── 

鞠莉「最初から壊れてなんかない!」 

千歌 ビクッ

 

147名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:30:32.70ID:ba0U/QdG

千歌「ま、まりちゃん…」 

鞠莉「最初から壊れてたはずないじゃない!私がたくさん使ったから壊れたのよ!」 

千歌「そ、そうだよね。ちょっと考えたらわかるよね。でもほら、壊れてるんだからもう取っといても仕方ないし…」 

鞠莉 キッ 

鞠莉「千歌が私の立場だったら、同じように考えられるの?」 

千歌「え…」 

鞠莉「ずっと大切に使ってたものを、壊れたからって勝手に捨てられて、『仕方ない』って思える──?」 

千歌「や、そりゃわたしだってぬいぐるみとか鞄とかだったらヤだけど、炊飯器って家電だし──」 

鞠莉「家電はぬいぐるみより下なの?」 

千歌「下とか、そんな風に言いたいわけじゃないけど…」 

鞠莉「千歌にとってはただの家電かもしれないけど、私にとってはすごく大切なものなの!あなたの価値観でなんでも測らないでよ!」

 

148名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:34:40.00ID:ba0U/QdG

千歌 カチン… 

千歌「っ、じゃあ言うけど!そんな大切なものなんだったらそんなとこにぽんって置いとかないでよ!よりによって粗大ゴミの日に!」 

千歌「そんなんわたしじゃなくたって捨てるやつだと思うじゃん!」 

鞠莉「だから私は捨てちゃったことをいつまでも怒ってなんかいないわよ!あなたが私の大切なものをまるでゴミみたいに言ったことに怒ってるの!」 

千歌「だってゴミじゃん!壊れた炊飯器なんて!」 

鞠莉「──────!」 

千歌「あっ…」 

鞠莉「ああそう…そうね、壊れた炊飯器はゴミよ。だから勝手に捨ててもいいし、そんなもの大切にしてる私の方が変なのね…」 

千歌「や、まりちゃ、ごめん…今のはわたしが言い過ぎたから…」 

鞠莉「出てって」

 

149名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:40:51.57ID:ba0U/QdG

千歌「えっ」 

鞠莉「もう、いい」 

鞠莉「この家から出てって」 

千歌「で、出てってって…ここ三人の家じゃん…」 

鞠莉「手配したのは私だし、名義だって私よ」 

千歌「じょ…冗談だよね?だってここ出ていったら行くとこ、 

鞠莉「内浦にはお母さま達がいるじゃない」 

千歌「………そ、んな…の…」 

鞠莉「価値観を尊重し合えない人となんか、一緒にいられないから。──出てって」 

千歌 フラ… 

千歌 ヨロ… モタ… …ガチャ……… 


…バタン 


鞠莉「………………っ、ぅ…」 

鞠莉「ぅゎあああああああああん………っ」

 

150名無しで叶える物語(茸)2019/03/26() 20:41:41.35ID:ba0U/QdG

キリ悪くなりそうなので一旦ここで。

 

151名無しで叶える物語(笑)2019/03/26() 20:44:12.84ID:Atwy+Oko

続き気になる……

 

152名無しで叶える物語(もんじゃ)2019/03/26() 21:25:11.62ID:0q0N5610

心がひゅってなる展開 
続きがすごく気になる

 

153名無しで叶える物語(SB-iPhone)2019/03/26() 23:55:51.30ID:MEvQPUdL

鞠莉が「千歌」って呼び捨てにしてるの見るだけで胸が痛い……善子はよ……

 

154名無しで叶える物語(やわらか銀行)2019/03/26() 23:59:02.31ID:UTPTPB3g

うーん続きはよ

 

155名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 07:38:43.78ID:XLFv1h2z

チカとマリーが大喧嘩② 


善子「ただいま~」 

善子「いやね、二人が休みの中で自分だけ仕事に出るのって」パタパタ… 

善子「あーでも千歌さんがお弁当作ってくれたから平気だったわよ」ガサゴソ 

善子「急だったのにお願いして悪かったわね。今度は私が作るから」 

善子「…なんで誰も返事しないの?」 

善子 ソッ… 

善子「…鞠莉?」 

鞠莉「よしこ…」グズ… 

善子「えっなにどしたの、泣いてるの?」 

鞠莉「よしこぉぉ…」ギュ… 

善子「ちょ、ほらもう…よしよし。大丈夫、大丈夫よ…」ポン…ポン…

 

156名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 07:45:22.90ID:XLFv1h2z

鞠莉 ズビ… 

善子「少し落ち着いた?」 

鞠莉 コクン… 

善子「話したくなければ無理に話せとは言わないけど──とは、今回は言ってあげられそうにないわね」 

鞠莉「…」 

善子「あなたがこんなになるなんてよっぽどのことだと思うし、それに…」 

善子「千歌さんがいないことにも関係あるのよね、きっと」 

鞠莉 コクン…

 

157名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 07:54:04.38ID:XLFv1h2z

善子「──出ていったァ!?」 

善子「千歌さんが!?この家から!?あなたが『出てけ』って言ったから!?」 

鞠莉「わ、私も…そのときはあんまり冷静になれてなくって…」 

善子「冷静になれてないどころの話じゃないでしょうが!過去最高級に取り乱してんじゃないのよ!」 

鞠莉「だ、だってえ…」 

善子「だってじゃない!」 

鞠莉「ひーーんっ!」

 

158名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 07:58:04.15ID:XLFv1h2z

善子「ったく…それで?なにがあったのよ」 

善子「千歌さんが真に受けたってことは、冗談めかして言う余裕なんかなかったってことでしょ?千歌さんにイヤなことでもされた?」 

善子「って言っても、あの人が自分からそんなことするとは思えないし、それがわからないあなたでもないでしょうに…」 

鞠莉「…」 

善子「鞠莉」 

鞠莉「…炊飯器を、捨てられたの」 

善子「は?炊飯器?あれのこと? ──じゃないとしたら、まさか…」 

鞠莉「ウン…」 

善子「あああああ~~~~~………」

 

159名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:03:40.93ID:XLFv1h2z

善子「ここに住み始めるとき持ってきたアレね…ああ、そういえば昨日出てたわねそこに……あーーー、今日粗大ゴミ…千歌さんが……」 

善子「………なるほどね…色々と噛み合っちゃったわけね、余計なこと同士が」 

善子「それで、千歌さんが良かれと思ってあの炊飯器をゴミに出しちゃったのね。で、あなたは怒っちゃった、と」 

鞠莉「ち、違うもん…!」 

鞠莉「捨てられちゃったことも悲しかったけど、確かに使い道はないし、いつかは捨てなきゃいけないものだってわかってたから、それ自体は我慢しようとしたもの…」 

善子「じゃあ、なによ。それなら充分に話し合って解決する余地があったでしょ」 

鞠莉「…千歌が、全然価値がないものみたいに…捨てられて当然みたいに言うから…」 

善子「我慢ならなくて、『出てけ』って」 

鞠莉「そんな強い言い方してないわよ、『出てって』くらいの…」 

善子「同じよ、ばかちん」ポコ 

鞠莉「あぅ」

 

160名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:11:45.47ID:XLFv1h2z

善子「まったく、よりによってどうして今日そんなことをするのよ…」ハァ 

鞠莉「…ゴミ捨て担当が休日出勤なんかしなかったらこんなこと起こらなかったのに」ボソ 

善子 ブチッ 

善子「だぁぁぁぁれのせいにしようとしてんのよあんたはぁぁぁぁ!!」グリグリグリ 

鞠莉「あああああああん痛い痛い痛いよう善子ぉぉぉ!」 

善子「そんだけ軽口を叩けるなら、千歌さんに謝る余裕も出てきたわね?」 

鞠莉「うん、謝れるよ。千歌が謝れば」 

善子 ガッ 

善子「私はどっちが悪かったとか決める気はないのよ、それはあなた達が勝手にやりなさい。ただ、今日この後の予定を三人で楽しく過ごしたいだけなの」 

善子「わかるわね?」 

鞠莉「よひこ、いひゃい」

 

161名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:15:29.27ID:XLFv1h2z

善子「それで、千歌さんがいるところの見当はある?」 

善子「ここから気軽に行けるとしたら、リリーのところくらいかしら…」 

鞠莉「ン~……」モジ… 

善子「…なによ」 

鞠莉「ご実家、とか…じゃない?」 

善子「実家って、内浦の?まさか。喧嘩の家出でそんな遠くまで──」 

鞠莉 モジモジ… ……エヘッ 

善子「…」 


善子「どうしてあなたは冷静さを欠くとそう余計なことばっかり言うのよ」 

鞠莉「またぶったぁ…」ジンジン

 

162名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:20:40.13ID:XLFv1h2z

善子「私は千歌さんに電話するから、鞠莉は十千万に電話して」 

鞠莉「はぁい…」 

鞠莉「事情を訊かれたら、なんて言えばいいの?」 

善子「訊かれる前にまず謝りなさい。喧嘩して家を追い出しちゃいました、そっちに行ってませんか、って言うのよ」 

鞠莉「えー!そんなのまるでマリーが千歌を一方的にいじめたみたい── 

善子「千歌さんに会うまでに」 

善子「普段通りの間抜けな呼び方に戻しなさい。いいわね?」ニコッ 

鞠莉「…ちか、っち」

 

163無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:21:33.04ID:XLFv1h2z

随分長くなる… 
次で終わると思います

 

164名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 08:59:39.36ID:rySzY+X5

心苦しい 
でもだからこその良さみに溢れてる 
おうえんしてます

 

165名無しで叶える物語(茸)2019/03/27() 09:50:59.54ID:pDizwbTp

そういやなんで千歌だけさんづけなんだ

 

166名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 21:33:33.12ID:jYMczT5J

チカとマリーが大喧嘩③ 


善子「…そう、ありがとう。改めて連絡するわ」 

鞠莉「善子…」 

善子 フルフル… 

善子「ああもう、どこに行ったっていうのよ!あの人は!しかもスマホも携帯も置いていっちゃって…!」 

鞠莉「お財布がないんじゃ、ご実家にだって辿り着けるはずないよね…」 

善子「リリーのところだって厳しいくらいでしょ──と言いたいけど、千歌さんのことだからヒッチハイクとか変なことしてる可能性もあるわよね…」 

鞠莉「悪い人に連れていかれちゃったりしたんじゃ…」ガクガク… 

善子「………っ」

 

167名無しで叶える物語(笑)2019/03/27() 21:34:57.44ID:ufVC33XS

ヴォクシードゥンドゥン

 

168名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 21:41:08.22ID:jYMczT5J

善子「そんな…こと、ないわよ…」 

鞠莉「絶対ないなんて言えないでしょ!」 

鞠莉「優しそうなカオで『泊めてあげる』って言われたら、それが誰だかわからない相手でも…ああ──だって、帰りたくても帰る場所がないんだもの…」 

鞠莉「私が…私が追い出すような真似しちゃったから……もしものことがあったら、私…どうしたら…っ」カタカタ… 

善子「お──落ち着きなさいってば!」 

善子「出ていったのが昼過ぎだとして、ここから内浦まで車でどのくらいかしら…とりあえず鞠莉はうちに残って、知り合いに片っ端から電話して!」 

鞠莉「よ、善子は…?」 

善子「…捜してくる」

 

169名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 21:46:46.38ID:jYMczT5J

鞠莉「捜すって、どこを…」 

善子「どこでも!」 

善子「千歌さんが徒歩でしか移動してないんだとすれば、徒歩で回れる範囲を片っ端から捜せば見付けられるかもしれないじゃない」 

鞠莉「そんな、無茶な── 

善子「無茶でもやるのよ!」 

善子「千歌さんが危険な目に遭うことも、あなたにその罪を一生背負わせることも、なにより──三人の笑顔がないこの家に居続けることが、私には耐えられそうにないんだもの…!」 

鞠莉「善子…」 

鞠莉「ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ…

 

170名無しで叶える物(プーアル茶)2019/03/27() 21:52:55.38ID:jYMczT5J

善子「泣くのも怒るのも謝るのも、千歌さんを見付けてから三人でたくさんやるから。…千歌さんが家を出てから、軽く見積もっても四時間ってところね…走るわ」 

鞠莉「気を付けて、善子。あなたまでいなくなったら、もう…私は……」 

善子「大丈夫よ、必ず連れて帰るから。それより、ちゃんと名前を呼ぶ準備しておきなさいよね」 

鞠莉「ウン…」 

善子「やっとランニングシューズの出番が来たわね。長いこと放ったらかしてたからって意地悪しないで、ちゃんと千歌さんのとこまで連れてってよね…」ギュ… 

善子「っし!行ってくるわ!些細なことでも連絡取り合いましょうね── 

ガチャ… 

よしまり「「えっ…」」 

千歌「え、あ、善子ちゃん…それに鞠莉ちゃんも…」 

善子「千歌さん!」 鞠莉「ちか…っ!」 

千歌 ビクッ

 

171名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 21:57:16.27ID:jYMczT5J

千歌「あ、えと、善子ちゃん…出かけるの…?」 

善子「…で」 

善子「出かけないわよ!あなたを捜しにいくところだったんだから!」 

千歌「ぅえ、千歌を…?」 

善子「ちょっと喧嘩したからってスマホも持たずに飛び出したって!?ばかも大概にしてよ、私達がどれだけ心配したと思ってるの!?」 

千歌「あぅ、や…その、ごめんなさい…私、必死で…」 

善子「誰のところに連絡しても知らないって言うし、だいたい── 

鞠莉「善子」ポン 

善子「──……っ、………あーもう…」 

千歌「鞠莉ちゃん…」

 

172名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:02:14.81ID:jYMczT5J

鞠莉「…」 

千歌「…」 

善子「…とりあえず玄関もなんだし、リビングに集合しましょ」 

鞠莉「うん…」 

千歌「鞠莉ちゃん!」 

鞠莉「え…?」 

千歌「これ…」つ炊飯器 オズ… 

鞠莉「…!それ、私の炊飯器…!なんで?ゴミに持っていかれちゃったんじゃなかったの!?」 

千歌「うん。だからね、ゴミが持っていかれちゃうところに行ってきたの…」 

善子「西部クリーンセンターのこと…!?」 

千歌「あ、うん、そこ。どこに行くのかわかんなかったから、色んな人に聞いて回ってたら遅くなっちゃったけど…でも、なんとか、ほら。ちゃんと返してもらえたよ」

 

173名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:12:36.57ID:jYMczT5J

鞠莉「ち、か…」 

千歌「鞠莉ちゃん、ごめんなさい!」バッ 

千歌「確認せずに捨てちゃったこともそうだけど、自分には価値がわからないものだからって、それが当然みたいに思ってて…鞠莉ちゃんの大切な気持ちを傷付けちゃったこと」 

千歌「本当に──ごめんなさい…っ!」 

鞠莉「そんなの──そんなの──……」 

鞠莉「…ば、かぁ……っ」 

千歌「ごめんなさい…」 

鞠莉「違うわよ!ばか!炊飯器を捨てたこともその後のこともどうだっていいの!」タタタタッ 

鞠莉 ギュウ…ッ 

千歌「ま、まりちゃん…!?」 

鞠莉「あなたに、あなたになにかあったらどうしようって、悪い人に連れていかれちゃったり、危ない目に遭ってたりしたらどうしようって、わたしっ、出ていけなんてひどいこと言って、うっ、ぅあっ、 

鞠莉「ごめんなさい!ごめんなさいちかっち!よかった…!何事もなくてよかった!あなたが無事に戻ってきてくれてっ、本当によかったぁ…っ!」ギュッ… 

千歌「鞠莉ちゃん…心配かけて、ごめんね…」ギュウッ…

 

174名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:15:01.33ID:jYMczT5J

十分後… 


善子「二人とも正座」 

鞠莉「善子、あの、マリー正座あんまり得意じゃないんだけど…」 

善子「あなたは絶対に正座」 

鞠莉「は、ハイ…」 

善子「千歌さんも、座って」 

千歌「はい…」

 

175名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:19:59.73ID:jYMczT5J

善子「まず誰のなにから叱ればいいのかしらね…」 

鞠莉「責任の追及には関与しないって言ったじゃない」ボソ 

善子「大切なものを出しっ放しにしてた鞠莉が悪いわね」 

鞠莉「あー!今善子感情で矛先をマリーに向けたわね!?」 

善子「感情で矛先を向けられるに思い当たる節があるのね」 

鞠莉「」 

善子「その炊飯器が大切なものだって、あなた自身はもちろん知ってる。それに私も一度話したから知ってるけど、千歌さんはあのときいなかったんだから知らないのは当然よね」 

善子「あなたの想いがどうあれ、壊れてるのは事実。たまたま粗大ゴミの日だったのは運が悪いとしか言えないけど、ポンと置いてあったらゴミに見えることくらいは理解できるでしょ?」 

鞠莉「はーい…」

 

176名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:29:41.38ID:jYMczT5J

千歌「そもそも、この炊飯器ちゃんって…」 

善子「それね、鞠莉がお母さんに買ってもらったものなのよ」 

千歌「!」 

鞠莉「高校三年生のとき、ママが止めるのを振り切って日本に戻ってきたっていうのは話したことがあるでしょ?卒業した後も結局ママが願ってた進路には進まなかったんだけどね」 

鞠莉「だから、卒業から今までもあんまりいい顔はされてないんだけど──内浦を出て一人暮らしを始めたときに、ママから送られてきたのが、その炊飯器だったの」 

鞠莉「『ごはんは食べなさい』って、それだけ書いた付箋を貼ってね」 

鞠莉「だからね、ここで三人で暮らし始めるまでの数年間、毎日毎日その炊飯器でご飯を炊いたのよ。わがまま言いっ放しだけど、一つくらいは言うこと聞かなきゃって」 

鞠莉「それで、前の家を出るちょうど前の日の晩にご飯が炊き上がると同時に壊れて、動かなくなっちゃったのよ」 

鞠莉「三人用に大きなやつ買ったから、どっちみちもう使わないものだったんだけど…どうしても、捨てられなくって」 

千歌「…そっか、そうだったんだ…」

 

177名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:35:46.36ID:jYMczT5J

鞠莉「だから、つい感情的になっちゃったのよ。本当にごめんね…」 

千歌「ううん、チカこそ。そんなこと知らなかったから、ひどいこと言っちゃった…」 

善子「はいはい。これで捨てちゃった問題は解決ってことでいいわね」パンパン 

千歌 チラッ 

鞠莉「もう平気よ。ちかっちに悪気がなかったことくらい、最初からわかってたもの」 

千歌 ホッ… 

善子「じゃあ次は追い出しと飛び出しの問題ね」 

鞠莉「うっ…」 千歌「ううっ…」

 

178名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:41:22.63ID:jYMczT5J

善子「まず、鞠莉。カッとなったのはわかるけど、言い過ぎ」 

鞠莉「はい…」 

善子「家の名義の話を持ち出したかと思えば、挙げ句『実家があるでしょ』なんて…強く反省しなさいよ」 

鞠莉「はい…」シュン 

善子「千歌さんも。まず、目的を持って出ていったのならちゃんとその旨を告げていきなさい」 

千歌「はい…」 

善子「あとスマホくらいは持っていきなさい。いくら急いで飛び出したからって、たとえ家出じゃなかったにしてもこの時代絶対に必要なアイテムであることくらいわかるでしょ」 

千歌「はい…」シュン

 

179名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:45:24.73ID:jYMczT5J

善子「…っていうか、ここからクリーンセンターまで歩いて行ったわけ?」 

千歌「うん。人に聞きながらだったから遠回りになっちゃったけど、二時間くらいで着いたよ。それで受付の人とかに話して、炊飯器ちゃんを探してもらって、一時間くらい歩いて帰ってきたの」 

善子「あなたねえ…どうしてそんな無茶なことするのよ。電話でも掛ければ済んだことでしょ」 

千歌「あっ…!」 

善子「『あっ』て。」 

千歌「あのときは『早くしないと処分されちゃう』って頭がいっぱいで、とにかく炊飯器ちゃんを取り戻さないと鞠莉ちゃんに謝ることもできないって思って…」 

鞠莉「ありがとう、ちかっち。本当に嬉しいよ」 

善子「はあもう、まったく…」

 

180名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:51:59.35ID:jYMczT5J

善子「二人とも、今回のことはそれぞれきちんと反省しなさいよね。次からは喧嘩したときも一旦落ち着いて、誰かに相談して、冷静に行動すること」 

鞠莉「それができたらそもそも苦労は…」 

善子「い、い、わ、ね?」 

千歌「はいっ」 

鞠莉「はーい」 

善子「さてと、ほらもうこんな時間よ。ぎりぎり間に合うからいいけど、鞠莉は涙でぐしゃぐしゃだし千歌さんは汗でべとべとじゃないの」 

千歌「そういう善子ちゃんだって涙と汗でひどい有り様だよ」 

善子「誰のせいだと思ってんのよ」

 

181名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:57:13.53ID:jYMczT5J

善子「どうする?三人ともシャワー浴びてたら絶対に間に合わないけど」 

千歌「このまま行く!」 

鞠莉「賛成!」 

善子「女としてのプライドはないの…?まあ、そう言うと思ってたけどね。まったく、こんなぐちゃぐちゃの三人組が入っていいレストランじゃないはずよ?」クスッ 

鞠莉「いーの!この涙も汗も、友情の証なんだもの!」 

千歌「そうと決まれば行こー!」 

善子「あっこら、言ったそばからスマホ置いていくんじゃないわよ!」 

鞠莉「マリーはお財布置いていこーっと」 

善子「ちゃんと持ってけ!なにを支払い逃れようとしてんのよ!」 

千歌「ねー、鞠莉ちゃん。善子ちゃん」 

千歌「三ヶ月、ありがとう。これからもよろしくね!」ニパッ 

鞠莉「こちらこそ!」ニカッ 

善子「これ以上迷惑かけないでよね!」ニッ 


『千歌・善子・鞠莉 祝!三人暮らし三ヶ月』 


この後、心配するだけさせられて顛末の報告を受けていなかった方々から鬼のように叱られたのだった。

 

182名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 22:58:43.21ID:jYMczT5J

冗長な割にベタだったかな 
ちなみに善子が「千歌さん」呼びなのに深い意味はないです 
単純におれの中で善子はそんな風に呼んでるイメージというだけで

 

183名無しで叶える物語(たこやき)2019/03/27() 22:59:14.99ID:s1GljYUZ

素晴らしい 
素晴らしいのでこのまま続けてほしい

 

184名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)2019/03/27() 23:07:51.28ID:u8xJfnas

安価取った者です 
こんなに長くありがとう、最初嫌がってた善子がこの生活のために動くのが見たかったからイメージ通りでした

 

185名無しで叶える物語(プーアル茶)2019/03/27() 23:22:05.80ID:hBeUP/sd

永遠に続け

 

186名無しで叶える物語(もんじゃ)2019/03/28() 00:16:41.74ID:E0an5UNn

神はここにいたのですね…

 

187名無しで叶える物語(笑)2019/03/28() 00:23:43.76ID:2UYY3m9c

最高すぎますね……

 

188名無しで叶える物語(茸)2019/03/28() 06:53:44.12ID:T+QKsRQi

お気に召したようでよかった! 

次の内容だかなんだか 
>>189

 

189名無しで叶える物語(やわらか銀行)2019/03/28() 07:36:29.11ID:Vu9QQsWk

酔っ払ったようりこ襲来

 

191名無しで叶える物語(茸)2019/03/28() 08:50:11.85ID:E10Mi26D

乙! 最高でした!

 

193>>1(茸)2019/03/28() 21:17:57.13ID:Z71cz/eE

酔っ払ったようりこ襲来 


千歌「善子ちゃん!早く早く!」 

善子「髪乾かしてるからむり~」ブオオオオ 

千歌「なにー!?なんて言ったのー!?」 

鞠莉「善子!早くしないと始まっちゃうでしょ!」 

善子「私はそんなに観たいわけじゃないから~」ブオオオオ 

鞠莉「なに!?なんて言ったの!?」 

『金曜ロードショー 魔女の宅急便』 

千歌「うおおおおおおっ、始まったァ!」 

鞠莉「マリーこれ初めて観るわ!楽しみ!」 

千歌「えっ鞠莉ちゃん魔女宅観たことないの!?やばいよ、今夜鞠莉ちゃんの中で革命が起こるよ…!よーしーこーちゃーーーん早くーーー!」 

鞠莉「善子早くーーー!」 

善子「うるさ」ブオオオオ

 

194>>1(茸)2019/03/28() 21:23:45.25ID:Z71cz/eE

『ここが今日から私が暮らす街…!』(うろ覚え

千歌「すご~い!キレイな街だね~!」 

鞠莉「ちょっぴり Stockholm っぽい町並みねえ」 

千歌「どうしよう鞠莉ちゃん、もしかしたらチカ達の周りにも魔女が修行にきてるかもよ!?」 

鞠莉「そっ、それは大変だわ…!寝てるうちにお尻にタヌキの尻尾を生やされちゃうわよ!」 

千歌「きゃー、こわいよ~っ!」 

キャッキャッ 

ブオオオオ… カチッ 

善子「どういう会話してんのよ…」トコトコ 

千歌「あっ善子ちゃん遅いよ!始まってるよ!」 

善子「知ってる」 

鞠莉「マリーがここまでの流れ説明したげる!あのね、キキって魔女の子がシュギョーのために人間の街にね、」 

善子「だから知ってるんだってば」 

鞠莉「それでパン屋さんの  ピンポーン 

善子「ん?」

 

195>>1(茸)2019/03/28() 21:27:36.01ID:Z71cz/eE

鞠莉「こんな時間にお客さん…?」 

善子「いやいや、怪し過ぎでしょ。ちょっと待ってて、見てくるから」 

千歌「んん?今なんでチャイム鳴ったの?」ムム

鞠莉「ちかっち。今のは real よ」 


善子「ったく誰よ…」 

ピンポーン 

善子 イラッ 

善子「こんな時間に来ておいて催促とか、常識疑うわ…」 

ピンポーン ピンポンピンポンポピピピピ 

善子 ブチッ 

善子「誰だっての…!!」 

「んおお~~~い、いるでしょ~~~ん」 

「いるのはぁ、わかってるのよぉ!早く出てきなさぁい!」 

善子「………うっそでしょ」