159ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)2018/06/10(日) 14:32:38.45ID:udyFii49
ー某所ー
女性 カチカチ…
女性「新着12通…ヒュウ。相変わらず人気者だな~、先生は」
女性「一時間目を離したら20通は来るんだもんなー。おちおち昼休憩にも入れないって」カチ…カチ…
女性「………………」カチ… カチ… カチ…
女性「…ん?珍しいな」カチカチッ
女性「…………ほっほおう…」ニヤ
女性「せーんせー。メール~!」
パタパタパタ…
??「も~、先生はやめてってばあ」ヒョコ
女性「いいからいいから。ほらこれ、興味深いメール来てるよ」
??「え?お仕事の?」
女性「ノットビジネス。ま、読んでみた方が早いって」
??「えー。どれ… …………」
??「…い、いたずらかなあ?」エヘヘ…
女性「ないでしょー。ここまで設定練ってくるんならいたずらでも感心しちゃわない?どれも確認すればすぐ裏とれちゃうだろうし」
??「うーん…」
女性「とりあえず」トントン
女性「確認しとく?」
??「…うん。私のスマホ使っていいから。お願いしていい?」
女性「はいは~い」
………………
………
166ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:34:26.12ID:jWpHTJrO
ダイヤ「…送信しましたわ」
梨子「ありがとう、ダイヤさん」
善子「ありがと。悪いわね、全文代筆してもらっちゃって…」
ダイヤ「善子さんに任せたら遅々として進まないんですもの。あーとかうーとか唸るだけで」
善子「うう、面目ない…」シュン
梨子「なんにせよ、これでもう待つしかありませんね。これからどうしましょうか?」
善子「これからって?」
梨子「いつまでこっちにいるのか、よ」
善子「へ?別に、もう真姫さんには会えたんだから、帰っていいんじゃないの?」
梨子「でもほら、もしかしたらことりさんが明日会ってくださるって可能性もあるじゃない」
ダイヤ「それを期待して『東京に来ています』と書いたわけですからね。不自然に組み込む形になりましたけれど…」
善子「それはそうだけど…いくらなんでも、今日送った返事で明日会えるなんてことないんじゃないの?普通に考えて」
ダイヤ「いやに冷静というか、シビアな見方をしますわね…」
梨子「よっちゃんが一番期待して舞い上がってくれてもいいのに」
善子「いや、なんていうか…もう一周回って落ち着いちゃったのよ。本物の真姫さんに会ったりしちゃって」
梨子「わからなくはないけど」
167ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:35:24.91ID:jWpHTJrO
ダイヤ「いずれにせよ、どうせ明日のうちには戻らなくてはなりませんからね。学校ですから」
善子「…もし明後日なら会えるって返事だったら?」
ダイヤ「放課後急いでまたこっちに戻りましょう」
梨子「えー?!本気ですか?!」
ダイヤ「当然でしょう」
善子「ダイヤの石頭ーっ!そういうとこあるわよ!」ブー
ダイヤ「わたくしたちは学生であり、学生の本分は勉強です!本分を全うせずして、胸を張ってことりさんに会えるというのですか?!」
梨子「ええええ……そうなることを考えると、今日は戻っておきたいね…」
ダイヤ「宿泊すればその分だけお金が掛かりますからね」
ダイヤ「しかし、現実的には善子さんのおっしゃるよう、明日や明後日会えるなんてことはまずないでしょう。そもそも日本にいらっしゃるのかもわかりませんし、それでなくても快いお返事を頂けるかどうかすら…」
梨子「………」
ダイヤ「ですから…慌ただしく二度手間になるという心配は、おそらく不要なのではないかと」
梨子「…そうですよね」
善子「…」
善子「イヤだ」
168ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:36:17.97ID:jWpHTJrO
梨子「へ?」
ダイヤ「はい?」
梨子「ごめんよっちゃん、今のなにに対しての返事?」
善子「帰りたくないわ。このまま沼津に戻るなんてやっぱりイヤだって言ったの!」
梨子「よ、よっちゃん…」
ダイヤ「善子さん。聞き分けのないことを言わないでください…ここまでですでに望むべくもないほどの結果なのですよ。ここで一つわがままを言ったところで、これ以上望外の好転など…」
善子「そうじゃなくって」
ダイヤ「え?」
善子「その…」
善子「せっかく来たんだし、遊んでいきましょうよ。めったにない組合せなんだから…」モジ
ダイヤ「な…」
ダイりこ ((なるほど大賛成ーーーーっ!))
………………
………
169ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:37:18.79ID:jWpHTJrO
ー翌日昼過ぎ、都内某図書館ー
トコ…
ダイヤ「梨子さん」
梨子「どうですか?」
ダイヤ フルフル
梨子「…ですよね」
ダイヤ「善子さんは?」
梨子「もう少し見ていたいって。こんな機会ないからって。集中したいだろうから、一人にしてきました」
ダイヤ「ふふ。結局、今日は遊ぶどころではなさそうですね」カチ
梨子「せっかくですし、私たちもどこか行きますか?…ほら、近くに賢いビーグル犬ミュージアムなんてあるみたいですよ」
ダイヤ「善子さんをここに置いて?ばかを言わないでください」クス
ダイヤ「梨子さんなら図書館でも充分に楽しめるでしょう」カチ
梨子「ダイヤさんこそ。パソコンに掛かりっきりなんて、らしくないですよ」
ダイヤ「書物なら手前のもので間に合ってますもの。μ's関連なら、それ以上に…ね」
梨子「あら。よっちゃんだって本屋さんや図書館に行くんですよ」
ダイヤ「そうなのですか?それは意外な…」
梨子「黒魔術の本を漁りに、ね」フフ
ダイヤ「視野の狭いことで」フフ
170ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:44:41.44ID:jWpHTJrO
ダイヤ「あちらのブース席だとDVDを観たり音楽を聴いたりすることもできるようですよ」カチ
梨子「そうですね。落ち着いたら教えてあげようかな」
ダイヤ「あれだけわたくしの家に足繁く通っていて、図書館の陳列で目を輝かせるとは思いませんけれどね」フフン
梨子「じゃあ視聴ブースの話振らないでください」
梨子「…どうですか?」
ダイヤ「ええ。予想はしていましたけれど、かなり大手ですね」
『M' used』
ダイヤ「リンク先やら関連ページやらがいちいち外国語なので、まだあまり多くのページは見ることができていませんが…」カチカチッ
梨子「日本での実績みたいなものはあるんですか?」
ダイヤ「ありましたよ。この辺とか」カチ
梨子「…なるほど。美大の文化祭とかアマのコンペとか…か。やっぱり、個人の依頼で動くような規模じゃなさそうですね」
ダイヤ「そうですわね…イタリアだかの個人資産家がリピーターになっているとは、どこかに書いてありましたけれど」
梨子「……黒澤家って確か、」
ダイヤ「お父さまが音楽界では著名な方なのではありませんでしたっけ」カチ
梨子「ごめんなさいなんでもないです」
171ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:45:22.97ID:jWpHTJrO
梨子「………………」
ダイヤ「………………」カチ…カチ…
梨子「どうしたら、いいんでしょう」
ダイヤ「なにがです?」カチ
梨子「ことりさんからよくも悪くもお返事が来なかったら。事態は結局、なにも進展しないまま…ううん、今より希望が薄くなるとさえ言える」
ダイヤ「それは覚悟の上で決行したのでしょう?今さら弱音を吐いてどうにかなるとでも?」カチ
梨子「……っ」グッ…
ダイヤ「………」チラッ
ダイヤ「冗談ですよ。少し意地悪を言っただけですわ」フフ
梨子「ダイヤさん…」ヘナ
ダイヤ「複雑な心中ではありながら、わたくしも賛同したのは事実です。この旅の先、責任は一緒に抱えましょう」
梨子「…はい」
………………
………
172ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:46:06.15ID:jWpHTJrO
善子「すご…」
善子 (スクールアイドルコーナーなんてあるのね…) テクテク
善子 (その中でもμ'sの棚があそこからここまで)
善子「…はぇ~」
善子 ヒョイ
善子 (新聞記事と雑誌の切抜きノート…)
善子 (よほど熱心なファンがいるのね。いくら大図書館とはいえこれはやりすぎだもの…) クス
善子 (あのダイヤたちでさえ新聞記事まで網羅はしてなかったし)
善子 ペラ…ペラ…
『南ことり』『μ's 南ことり』『ことりちゃん』『南さん』
善子「…………っ」ギュウ…
173ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:47:15.32ID:jWpHTJrO
もう、南ことりのことは一生分考えたと思った。
南ことりの歌声も、ダンスも、作った衣装も、考えた歌詞も、笑顔も、情熱も、可愛さも、ひたむきさも、プロフィールも、インタビューも、目標も、経緯も、愛情も、あざとさも、過去も、未来も。
貪欲に求め、聴いて、観て、読んで、知って、惚れて、笑って、泣いて、考えて、考えて、考えて、考えて、考えて。
気が付けば生放送も忘れていたし、睡眠より優先したし、その他の日常を一つだって思い出せないくらいに。
それなのに、
ペラ…
『次のセンターは南ことり!』
ペラ…
『ことりちゃんに5の質問』
ペラ…
『△△書店でμ's 南ことりの握手会』
知ってる、知ってる、これは知らない、こっちは知ってる。
知っていても知らなくても、関係ない。
あなたの名前を探すこの目が憎い。
あなたの名前に弾むこの胸が憎い。
あなたに会えない――この現実が、
善子「つら…すぎるわ……っ」ポロポロ…
………………
………
174ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:48:10.99ID:jWpHTJrO
善子「…」トコトコ…
梨子「あ。よっちゃん」
善子「ん」
ダイヤ「もうよいのですか?」
善子「うん…」コク
善子「おなかすいちゃった」
ダイヤ「そうですね。もう四時間もいましたし」
梨子「帰りのことを考えると、そんなにのんびりしてられるわけでもありませんしね」
ダイヤ「口惜しいでしょうが、借りていくのはナシですわよ。返しにくるのも一苦労なのですから」
善子「わ、わかってるわよ。そこまでばかじゃないわ」
ダイヤ「ふふ…それならよいのですが」チラ
梨子「…」
――ダイヤ『善子さんは、まだ?』
――梨子『はい。あの…もう少し、掛かりそうです…』
――ダイヤ『…なにか?』
――梨子『………泣いてました』
梨子「……」フウ
梨子「よっちゃんがあんまり長居するから、私たちだってお腹ぺこぺこよ!なにか奢ってね」
善子「ええっ?!り、リリーが好きなだけいていいって言ったんじゃないの!」
梨子「限度を超えたのよ」
善子「先に言いなさいよ、そういうのは!」
ダイヤ「わたくしは、とうもろこしの唐揚げが食べたいです」
善子「ダイヤまで!ってかなにそのありそうななさそうなチョイス!」
梨子「私、タコのカルパッチョ」
善子「せめて同じ店で食べられそうなものにしなさいよーーっ!!」
………………
………
175ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:49:07.89ID:jWpHTJrO
ー東京駅近傍ー
善子「まじで奢らされたんだけど…うそでしょ…」
梨子「とうもろこしの唐揚げありませんでしたね」
ダイヤ「タコのカルパッチョも」
善子「居酒屋にでも行かなきゃないでしょ!知らないけど!」
梨子「そんなの行ってみなきゃわからないじゃない」
善子「ここは少なくとも行かなくたってないのわかるわよ!」ビシッ
『100% ChocolateCafe.』
ダイヤ「いやいい店でしたねホントに」ウンウン
梨子「ちょべりぐでしたね」ウンウン
善子「あなたたちの中でチョコってそんなにハイカラなものなの…?」
ダイヤ「さすが、チョコ好きとうそぶくだけのことはありますわね。東京のこんな店を知っているとは」
善子「チョコ好きなのってそんな言い方されること?」
176ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:49:59.59ID:jWpHTJrO
ダイヤ「さて。おやつも済んだことですし、そろそろ」
善子「…」
善子「ダイヤ、」
ダイヤ「メールの返信はありませんわ」
善子「…っ!」
善子「………そうよね」
梨子「よっちゃん」
善子「いいの。わかってるのよ」
善子「無謀なことだって、はじめからわかってたもの」
ダイヤ「……」
梨子「……」
善子「さ、行きましょうか。遅くなっちゃうわね」
ダイヤ「…ええ」
………………
………
177ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:50:42.54ID:jWpHTJrO
10バンセン ドアガ シマリマス
プシュー ガタゴト…
梨子「これで熱海まで行きます」
ダイヤ「ありがとうございます。往路の電車から頼りっ放しになってしまいましたわね」
梨子「いえ。電車は慣れてますし、たいしたことじゃありませんから」
善子「また長旅ねー」ホオヅエ
梨子「そうね」
善子「…」ボーッ
ダイヤ スッ
『新着 0件』
ダイヤ (わかってはいたことだけれど)
ダイヤ (現実になると、結構くるものね…)
ガタゴト… ガタゴト…
そうして私たちは無事に沼津・内浦へと帰り着き――
文字通り何事も無く、短い二日間は幕を閉じた。
***
178ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:55:00.39ID:8E+hq59f
ー翌朝、黒澤邸ー
ルビィ「何事もなくないよ!!!!!!!」ドン!! ←机たたいた
ダイヤ「ひっ?!」ビクッ
黒澤母「ルビィさん?どうかしましたか?」ヒョコ
ルビィ「あっ、うゆ…なんでもない」
黒澤母「そう。あまり騒いではいけませんよ」スッ
ルビィ「はあい、ごめんなさい」
スタスタ…
ダイヤ ドキドキ…
ルビィ「何事もなくないよ!!!!!!!」ヒソ ドンッ! ←壁ドン
ダイヤ「ひぃぃぃっ?!」ビクビク
ルビィ「会ったの?!真姫ちゃんに?!あの西木野真姫ちゃんに?!」
ダイヤ「え、ええ…その、運よく…」
ルビィ「っっっああああああァァァァァ!!」ガァァァッ
ダイヤ「る、ルビィ?!」アセアセ
ルビィ「ついていけばよかった…会いたかった…四つならべるゲームの特訓なんかしてる場合じゃなかった…」ズーン イジイジ
ダイヤ「そ、その…ごめんね…。大所帯で行くものでもないと思って…」オロオロ
180ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:56:18.84ID:jWpHTJrO
ルビィ「…………写真とかないの?」グスッ
ダイヤ「と、特には…」
ルビィ「肉声の目覚ましボイス録ったりは?」
ダイヤ「してないわ…」
ルビィ「髪の毛貰ってきた?」
ダイヤ「あ、あなたは真姫さんをなんだと…」
ルビィ「だあってずるいずるいずるいおねいちゃんだけ真姫ちゃんに会うなんて!!ずっと憧れてきたのはルビィもおんなじなのにぃ!!」ウエーン ジタバタ
ダイヤ「おっ…おおお…」アセアセ オロオロ
ダイヤ「…はっ!」ピーン
ダイヤ「ある!ありますわ!真姫さんから貰ったもの!」
ルビィ「!!」
ルビィ「なに?!なに貰ったの?!ルビィにあげていいもの?!」
ダイヤ「ナチュラルに所有権を欲しないでちょうだい」
ダイヤ「確かお財布に…」ゴソゴソ
ダイヤ「これです」つ名刺
ルビィ「…………??これなに?TDC…?」
ダイヤ「名刺よ。真姫さんの」
ルビィ「ルビィ知ってるよ。こういうのって東京駅に置いてある機械で作れるんでしょ」
ダイヤ「なぜそんな知識を」
ダイヤ「う、疑ってる?!お姉ちゃんのこと疑ってるの?!」
ルビィ「こんなの作ろうと思えば作れるもん!」
ダイヤ「あーいいですー!そんなに言うならもういいですー!せっかくコピーしてあげようと思ったけど、それならお姉ちゃんだけで楽しみます~!」
ルビィ「それはだめ!にせものでもいいから貰う!おねいちゃんがコピー!!」
ダイヤ「ぬぁんでそうなるのーーー!」
コラー カエシナサーイ
ヤダー ルビィガモラウノーッ
黒澤母「遅刻しますよー」ズズ…
………………
………
181ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:57:58.24ID:jWpHTJrO
ー同じ頃、高海家&桜内家ー
カラカラ…
千歌「あ!梨子ちゃん!おはよ!」
梨子「あら千歌ちゃん。おはよう。今日は早いのね?」クス
千歌「梨子ちゃんが起こしてくれないかもしれないと思って。な~んだ…じゃあもう少しゆっくり寝ればよかった」チェーッ
梨子「明日から絶対に目覚まし掛け忘れないことね…」イラッ
千歌「そういえば、昨日どうだったの?東京」
千歌「いいなー、ダイヤさんと善子ちゃんと三人なんて。そんなに仲良しなんだっけ?」
梨子「もちろん、仲良しよ。千歌ちゃんだって果南さんともルビィちゃんとも仲良しでしょう」
千歌「そーだけど。でも三人でお出掛けなんてしたことないよ!しかも東京までなんて!」
梨子「はいはい。だったら誘ってみたらいいじゃない…それに、私たちだって別に遊びにいったわけじゃないのよ」
千歌「へ?そなの?」キョトン
千歌「じゃあなにしに行ったの?」
梨子「真姫さんに会いに」
千歌「まきさん?梨子ちゃんの親戚?」
梨子「ふふ…なに言ってるの。西木野真姫さんよ」
千歌「にしきの…まき………」
千歌「?!」
千歌「えええええええええ~~~~~~っっ?!!」
182ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:58:49.84ID:jWpHTJrO
美渡「千歌ァ!うるさい!」
千歌「ごめんなさーーいっ!」
千歌「えっ?!なに、どゆこと?!真姫さんに会いにいったの?!なんで?!えっ、っていうかどうだったの?!会えたの?!」
梨子「会えたわよ」
千歌「会えたのォ?!」
梨子「なんとかね」
千歌「なんとかねって…すごいことじゃん!」
梨子「真姫さんだって人なのよ?歴史上の偉人でもなければ物語上の英雄でもない。そりゃどうにかすれば会えるじゃない」
千歌「なんでそんなに冷静なの?!」
梨子「さーて、千歌ちゃんが起きてるなら話は早いわ。のんびり朝ごはん食べれるなー」ンーッ
千歌「ちょ!ちょちょ待って待って梨子ちゃん!話はまだ終わってないよ!」
梨子「45分には出るから。間に合わなかったら置いてくからね」スタスタ…
千歌「梨子ちゃん!あ~~~っ、梨子ちゃあ~~~んっ!」
………………
………
183ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 21:59:58.47ID:jWpHTJrO
ー少し遅い頃、沼津駅~浦女間バスー
ピッ
曜「いっちばーん!」タタッ
曜「善子ちゃーん!オハヨーソロー!」ゞ
後部座席 ガラン…
曜「…あれ?」キョロキョロ
運転手「発車します。お座りください」プシュー バタン
曜「あっ、ごめんなさーい」テテテ… ストン
ブゥゥゥン…
曜「…なんでいないんだろ。お休みなのかな…」
………………
………
184ぬし ◆z9ftktNqPQ (大陸鉄道)2018/06/10(日) 22:01:24.27ID:jWpHTJrO
ーかなり早い頃、通学路ー
一人、浦女までの道を行く。
なにも言ってない、曜さんには悪いことしたかな。
でも別に約束してるわけじゃないしな。
部活のときに一言謝ればいいか。
善子「…行きたくな」
呟いてはみるけれど、足は止めない。止まらない。
本当は休んでしまおうかと思った。
数ヶ月前の不登校を思えば、今さら一日や二日のずる休みくらいたいしたことじゃない。
けれど、
――ダイヤ『わたくしたちは学生であり、学生の本分は勉強です!本分を全うせずして、胸を張ってことりさんに会えるというのですか?!』
存外ダイヤのあの言葉がキているらしい。
意識せずとも体は勝手に身支度を済ませ、気付けば一本早いバスを捕まえていた。
朝食はトーストとゆで卵とウインナーと堕天使の黒血(ブラックコーヒー)。
側頭部で髪を強く結い束ねる。
時間以外はなにも変わらない毎朝の風景。
…ああ。
鏡の前に立つ時間が、普段より少しだけ長かったかもしれない。
胸を張ってことりさんに。
善子「会えるわけでもないのに…愚かな肉体ね」
シニカルに独りごちた言葉も冷笑も、朝の波音に消えていった。
***