32名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:47:54.82ID:Nyfo/1nj
善子「――ってえ、ガチ練習だったじゃないのよ!!」
花丸「練習の時間なんだから、当たり前ずら」
善子「私がAZALEAの練習コーチしただけじゃないの!」
花丸「それのなにが不満なの…」
善子「わ、私はてっきり昨日みたいにダイヤたちともふざけ合うものかと思って…」
花丸「それはユニット特性の違いずら。AZALEAはMC考えるとき以外はだいたいあんな感じで黙々と曲をやるから」
ルビィ「よしこちゃん、はなまるちゃん。おつかれさま~」トテテ
ルビィ「あのね、今日は鞠莉ちゃんと梨子ちゃんと一緒でね、五人でCYaRon!のポーズやったんだよ!」
善子「そっちは相変わらずそんな感じだったのね…」
ルビィ「よしこちゃんは?おねいちゃんたちと仲良くなれた?」
善子「どうなのかしら。いつもと違った時間は過ごしたけど…ねえずら丸、どう思う?」
花丸「さあ」
善子「さあってあんた」
花丸「ダイヤさんも果南ちゃんも、別に今日に限らず善子ちゃんを一人の仲間として信頼してるずら。だから、善子ちゃんが二人をどういう風に見て、接するか。それだけだもん」
善子「う…」
善子 (聖良さんと同じことを…)
33名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:48:35.09ID:Nyfo/1nj
善子「…でも、二人ともそう言うってことは、つまりそれが大正解でその通りってことなのよね」ハア
花丸「二人?まるとルビィちゃん?」
ルビィ「ぴ?」
善子「え?あー、うん。そうよ、あんたたちのこと」
花丸「………」ジッ
善子「な、なによ」
花丸「なーんか善子ちゃん、まるたちには言ってないことがありそうなんだよねえ…」
善子「な…ん、のことよ…」タジ
花丸「まあ別にいいんだけど。とにかく、話はほぼほぼ善子ちゃんしだいなんだから。まるが場を設けることくらいはできても、あとは自分で頑張らなきゃいけないよ」
善子「…わかってるわよ。ありがと」
………………
………
34名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:49:35.53ID:Nyfo/1nj
善子 ゴロゴロ…
善子 (ダイヤも、センパイも、いいひと)
善子 (千歌さんと曜さんもいいひと。マリとリリーも。ずら丸とルビィも)
善子 (みんないいひとで、差はなくって)
善子 (あるのは、私の気持ちの違いだけ)
善子 (千歌さんたちがダイヤたちよりも少しだけ近く感じてたのは、どうしてだろう)
善子 (…千歌さんたち自身も後輩だから、かな)
善子 (『上級生への接し方』を目の前で見せてくれるから、ある程度はそれに倣っていればいいわけで)
善子 (でも、ダイヤたちは違う)
善子 (彼女らは自分たちが最上級生だから、倣いようがない。ラインが見えない)
善子 (千歌さんたちの『上級生への接し方』を倣ってしまっていいのか、わからない)
善子「…ああ、もう。面倒ね」ゴロ
善子「ずら丸はなんだか図太いし、ルビィは末っ子気質だし。参考にならないわ」
♪
善子「ん?誰よ…………え?!なんで…」
善子「……………ああだめ意味わかんない。聖良さんに電話しよ…」
***
35名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:50:12.84ID:Nyfo/1nj
果南「よ!おはよう善子」
ダイヤ「おはようございます、善子さん」
善子「お、おは、ハヨザマス…」
果南「んー、すっきり晴れて気持ちがいいね~」ノビーッ
ダイヤ「本当に。風は少し冷たいですけれどね」
果南「あはは。このくらい、なんてことないよ。ねっ、善子」
善子「え?!うん、あの、私は…少し寒い、かも…」
果南「えー?だらしないなあ、二人とも。じゃあ走る?」
ダイヤ「走りません」 善子「走らない」
果南「つれないな~」
ダイヤ「それより、まずは用事を済ませましょうか」
果南「走るのはそれからだね」
善子「走らないってば」
………………
………
36名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:51:18.34ID:Nyfo/1nj
果南「だからね、そこで鞠莉が盗塁してればよかったんだよ。そしたらハットトリックが決まってたの」
ダイヤ「なにか色んな話が混ざっていませんか?」
果南「今度は善子も一緒にやろうね」
善子「は?!なんの話…いや、スポーツは遠慮しとく…」
果南「家の中で遊んでばっかりだといい女になれないぞ~」アハハ
ダイヤ「まるで自分がいい女だと言わんばかりですわね?」
果南「Aqoursの中でなら負けないよ!」
ダイヤ「中途半端な自尊心ですわ」
善子 (うう…なんでよりによって今この人たちと出掛けることに…)
善子 (………………) モンモン
善子 (………いや、だめだ!)
善子 (聖良さんに教わったこと。ずら丸に言われたこと)
善子 (私からこの二人に対する意識を変えていかなきゃ始まらない。そしてなにより、この状況そのものを楽しむ)
善子 (そのためにはどうすればいい?少なくとも、こんな風に下を向いて二人の後ろをついていくだけじゃだめ)
善子 (…私は堕天使ヨハネ。できないことなど、なにも…ない!)
善子「く…ククク」
果南「善子?」
ダイヤ「善子さん?」
善子「貴女がAqoursで一番いい女とは、片腹痛い。妖しき闇を纏うこのヨハネに美貌で勝るつもりかしら」ギラリ
果南「………………」
ダイヤ「………………」
善子「………………………………」ドキドキドキドキ
37名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:52:23.38ID:Nyfo/1nj
果南「……くくっ」
善子「!」
果南「言うじゃない、善子…いやヨハネ。まだまだおっぱい吸いたての一年子ちゃんに負ける気はさらさらないよ!」
善子「笑止!永遠の闇を生きるこの堕天使を、人間と同じ次元で語るなど愚の骨頂よ。私から見れば貴女もまだまだお子様ね」
果南「へ~え、面白い!じゃあどっちがいい女か勝負だよ!」
善子「望むところです!」バサッ! ←不可視の翼
ダイヤ「…………。…ふふふ、お二人とも。最も強力なライバルをお忘れではありませんか?」クネ
果南「あ、そうだよね。鞠莉は手強いよね。声掛けよっか」
善子「ええ、そうね。マリはかなりギルティだわ。声を掛けましょう」
ダイヤ「お二人とも?鞠莉さんもいいですが、もっと近くに最強の候補がいるんじゃありませんか?」クネクネ
果南「あれ、どうしたのダイヤ。お腹でも痛いの?よしよし。飛んでけ~」サスサス
善子「内よりの痛みは抗えぬ慟哭にも等しい…この堕天絆創膏をあげましょう」スッ
ダイヤ「な…なんですの、二人してーーーーっ!」
果南「うわ、ダイヤが怒った!逃げようヨハネ!」タタッ
善子「興奮した獄獣には触れぬが吉。無差別格闘堕天流――敵前大逆走!」シュタタタ
ダイヤ「こらーーっ、お待ちなさ~~~いっ!!」ムキーッ
………………
………
38名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:53:14.09ID:Nyfo/1nj
善子『…って感じでした』
聖良「ふふ…」
善子『な、なんですか?』
聖良「いえ。語る口調を聞くに、もう大丈夫そうだと思いまして」
善子『口調…変でしたか?』
聖良「まさか。清々しいとでも言いましょうか、先日初めてお電話くださったときの面影は全く残っていませんね」
善子『少しは…みんなに歩み寄れたんでしょうか』
聖良「それは善子さんご自身が一番わかる…いえ、善子さんしかわからないことです」
善子『そう…ですよね』
聖良「でも、個人的な私見を言わせてもらえば、もう悩みは解決しているように見えますよ」
善子『本当ですか?』
聖良「はい。試しに、そうですね…部室で果南さんと二人きりになったことを想像してみてください。そわそわして、落ち着かない感じがしますか?」
善子『……………………いえ。照れ臭くてごまかしちゃうかもしれないけど、笑って話せると思います』
聖良「ほらね。それが答えですよ」
善子『う…ぅえへへ…』
聖良「………。これで、一件落着ですね」
善子『あ…はい、そうですね…あの、聖良さん』
聖良「はい」
39名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:54:20.19ID:Nyfo/1nj
善子『ありがとうございましたっ。私、ふと考えて悩み始めちゃって…あんまりお話ししたこともないのに聖良さんに電話まで掛けちゃって、毎日みたいに何時間もご相談に乗ってもらって、本当に…ありがとうございました』
聖良「いえいえ。これからのスクールアイドル界を背負って立つエースの悩み、私なんかで力になれたのであれば、これに勝る喜びはありませんから」
善子『エースだなんて、そんな…まだ目の前のラブライブ!も終わってないのに…』
聖良「大丈夫ですよ。Aqoursの皆さんなら、きっと。なんと言っても、私と理亞が直々に特訓を行なったのですからね!」
善子『…ふ……うふふっ。なにそれ。やっぱり聖良さんって自信家ですね』
聖良「ふふふ…もちろんです。自信がなければスクールアイドルは務まりませんよ」
善子『ああ――本当に、聖良さんにご相談して正解でした』
聖良「恐縮です。でも、悩みが解決したのは善子さん自身の力。私はただ少しだけ話を聞いて、少しだけ意見を述べたに過ぎませんよ」
善子『当たり前みたいに、そんなことが言えるんですね。格好いい』
聖良「か、格好いい?ですか?」//
善子『あははっ、照れてる』
聖良「は?!誰が照れてると言うんですか!もうっ、用件が済んだのならこれで失礼しますからね!」
善子『………………』
聖良「よ、善子さん?」
善子『ご相談したかったこと、みんな終わっちゃいました』
聖良「え?ええ、それはよかった…」
善子『もう、聖良さんに電話を掛ける用事がなくなっちゃいました』
聖良「………!」
善子『一週間前まで、夜をどんな風に過ごしてたのか。もう思い出せないな…』
40名無しで叶える物語(公衆)2018/05/06(日) 14:55:17.18ID:Nyfo/1nj
聖良「………コホン。善子さん」
善子『はい』
聖良「聞いたところによると、数学があまり得意ではないとか」
善子『…堕天使たるヨハネの前には1も0もその意義を違えず、』
聖良「コホン。あー…スクールアイドルたるもの、勉学も疎かにしてはいけませんよ。本文を全うして初めて、その上に立つことができるのですから」
善子『へ、平気です。いざとなれば数学の先生に堕天精神支配術を施して内申点を』
聖良「コホン、コホン。そのー…私の復習にもなりますし、その、いいですよ」
善子『…いいですよとは』
聖良「明日からは、勉強を見てあげても…いいですよ。善子さんがお困りなのだとすればですけどね」
善子『…あ、あっあっ、見たい!見たいじゃないわ、見てほしいです!数学…そう、数学に困っているの。とっても!』
聖良「そうですか、それなら仕方がありませんね…毎日一時間だけですよ。勉強を見てあげましょう」
聖良「まったく、手の掛かる堕天使さんですね」
終わり
43名無しで叶える物語(茸)2018/05/06(日) 15:18:07.44ID:nU0UWBHS
おまけ
聖良「理亞。時間を教えてもらえますか?」
理亞「もうすぐで8時半になるよ」
聖良「まだ8時半でしたか」ホッ
聖良「理亞。今は何時ですか?」
理亞「9時半だよ、姉さま」
聖良「そうですか」ソワソワ
理亞「うん」
聖良「…理亞。今が何時かわかりますか?」
理亞「10時過ぎたとこだよ」
聖良「10時過ぎですか…」シュン
理亞「…………姉さま。別に自分から電話してもいいと思うけど」
聖良「は、はあ?!電話ァ?!なにを言っているんですか、理亞!いいい意味がわかりません!あ~~~、もう寝ようかなー」
理亞「お休みなさい、姉さま」
聖良「ま、まだ寝ませんけどね!部屋に引っ込むだけですよ!」
理亞「うん、わかった」
聖良「部屋に戻るときは電気とテレビを消すんですよ!」
理亞「うん、わかった」
聖良「お休みなさい、理亞」
理亞「お休みなさい」
聖良「…まだ寝ないので、しばらくはゴソゴソとか、もしかしたらもしもしとか聞こえるかもしれませんが、気にしないでいいから――」
理亞「早く部屋行きなよ、姉さま」
おまけ 終わり
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