果南「私のチカと」梨子「私の千歌ちゃん」 1

1名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:35:11.19ID:69Tt2tQH

「チカ。好きだよ」 

「チカも…好きだよ、果南ちゃん」 


「千歌ちゃん、好きよ」 

「梨子ちゃん。チカも好きだよ!」 


「チカ…」 

「果南ちゃん…」 

「千歌ちゃん…」 

「梨子ちゃん…」 


「「好き」」 

***

 

2名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:35:55.51ID:69Tt2tQH

♪♪♪ 

私は桜内梨子。 

静岡県の沼津は内浦で、スクールアイドルをやっています。 

発起人は同級生の高海千歌ちゃん。 

同じく同級生の渡辺曜ちゃんと共に三人で立ち上げ、今では一年生と三年生がそれぞれ三人ずつ加わって九人もの大所帯となりました。 

控えめで目立つことなんてほとんどなかった私がスクールアイドルなんて、と当初は戸惑ったものだけれど。 


――梨子ちゃん! 

――梨子ちゃんと一緒がいいの 

――梨子ちゃんのピアノ好きだな~。 

――梨子ちゃん、行こっ! 


とっても強引な誰かさんに振り回されているうちに、やがてそんな気持ちは少しずつなくなっていきました。 

今、私の胸の中に強くある想いは、純粋にたった二つだけ。 

一つ、スクールアイドル『Aqours』として、この九人で目指せる限りの高みへと到達したい。 

そしてもう一つ、私は――千歌ちゃん、あなたのことが―― 

♪♪♪

 

3名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:36:39.39ID:69Tt2tQH

♪♪♪ 

果南「よ~し、今日の練習はここまでにしよっか。各自クールダウンして解散~」パンパン 

善子「はーー、つっかれた~」バタ 

ルビィ「うゆ…」バタ 

花丸「水分が…足りないずらあ…」バタ 

善子「水分不足は危険よ…ほら、余ってるから飲みなさい」 

花丸「ありがとう善子ちゃん!」ゴク 

善子「ヨハネ!」 

果南「あはは、一年生はまだ体力が足りないな~」 

ダイヤ「果南さんがバケモノなだけで、私たちも結構ヘロヘロですわよ…」 

鞠莉「果南は七つの心臓と筋肉でできてるから。体力についてなにを言ったって暖簾に hyper push だよ」 

果南「ちょっと、人をバケモノみたいに」 

ダイヤ「いえ、みたいじゃなくてはっきり言いましたわよ?」聞いてなかった?

 

4名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:37:14.23ID:69Tt2tQH

言ったなー?! 

ちょっ…追いかけっこには付き合いませんわよ! 

GO
GO!カナ~ン! 

鞠莉さん!煽るのはおやめなさい! 


梨子「んっ…くう、疲れたなあ」ノビー 

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん!」ドシンッ 

梨子「きゃっ?!もう、千歌ちゃん!そんな風にしたら危ないわよ」 

曜「えへへ…ごめんごめん。それより、明日ね、よーちゃんと遊びにいくんだけど、梨子ちゃんも行くでしょ?」 

梨子「ええ…なに、もう。突然ね」 

千歌「ねーねー梨子ちゃん、いいでしょー行こうよー」グイグイ 

梨子「あっこら伸びるから…わかったわかった、私も行くわよ」 

千歌「ほんとに?!やったー!よーちゃーん、梨子ちゃんも行くってー!」 

曜「やりい!ナイス千歌ちゃん!」 

千歌「じゃあ10時に出て一緒に行こうね、梨子ちゃん」 

梨子「はいはい、わかったわよ。千歌ちゃんから誘ったからには寝坊なんて許さないからね。10時になっても出てこなかったら置いていくわよ」 

千歌「え?起こしてくれないの?」クビカシゲッ 

梨子「起こしません!」

 

5名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:37:47.56ID:69Tt2tQH

そんなあー!りーこーちゃーん! 

肩をがしりと、ぐいぐい揺すられるけれど頷かない。 

だめだめ、甘やかしたらすぐ調子に乗っちゃうんだから。 

歌詞作りだって、いつもこんな風に甘えてきては引き延ばそうとするんだもの。 

たまには毅然とした態度でわからせてあげなきゃね。 


千歌「ぶー…梨子ちゃんのいじわるー。いいもん、よーちゃんに起こしてもらおーっと」 

梨子「え?」 

千歌「よーちゃーん、明日8時に起こしてー!」 

梨子「ちょ、ちょっと!それじゃ意味ない…」 

曜「えー、またあ?まあ待ち合わせ時刻から待たされるよりはいいけどね」 

梨子「曜ちゃん!千歌ちゃんを甘やかさないで!」 

千歌「やばっ、梨子ちゃんが怒った!」 

曜「逃げろー!」 

梨子「こら、待ちなさーーい!」 


善子「…あの人たち、いつも元気ね」 

花丸「ずらあ…」 

♪♪♪

 

6名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:38:27.67ID:69Tt2tQH

♪♪♪ 

千歌「おはよー梨子ちゃん!」 

梨子「おはよう。ちゃんと起きたわね」 

千歌「必死だったよー…美渡姉と志満姉の目覚まし時計借りてやっとだったんだから」 

梨子「それでも10分くらい鳴りっ放しだったものね」 

千歌「梨子ちゃんが起こしてくれないからだよ!」 

梨子「人のせいにしないで。学校の日はちゃんと起きてるじゃない」 

千歌「学校の日はほら、起きないとだめだから…」 

梨子「友達と約束した日だって起きないとだめよ」 

千歌「心の広~い梨子ちゃんと曜ちゃんのこと、チカがちょっと寝坊しちゃったくらいで怒ったり見捨てたりしないって信じてるから…」 

梨子「バス来ちゃうわ。行きましょう」 

千歌「あー!聞いてよー!」 

………………

………

 

7名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:39:08.31ID:69Tt2tQH

千歌「おはよーよーちゃん!」 

梨子「おはよう、曜ちゃん」 

曜「千歌ちゃん、梨子ちゃん、おはヨーソロー!」ビシッ 

千歌「チカちゃんと起きたよ!どう?えらい?!」 

曜「よーしよし、偉いぞーちかちゃん」ナデナデ 

千歌「えへへー」 

梨子「また甘やかして。待ち合わせ時刻に間に合うように起きたことのどこが偉いのよ…」 

曜「まあまあ梨子ちゃん。ここは私の顔に免じて」 

梨子「まさか曜ちゃん、こっそり起こしたんじゃないでしょうね」 

曜「あ、あらぬ疑いだよ!ほら、電話の履歴見る?!いや見て!!」 

梨子「うーん…ほんとね。連絡した形跡はないわ…」 

千歌「もーっ!どれだけチカのこと信頼してないのーーっ!」 

………………

………

 

8名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:46:05.12ID:69Tt2tQH

千歌「よーちゃん!これ被ってみて!」 

曜「おっ、いいガラだね!…どうかな?」 

千歌「おお~っ、やっぱり似合う~!ね、梨子ちゃん」 

梨子「ええ。その柄、すごく曜ちゃんらしくていいわね」 

曜「ほんとに?へへへ…じゃあ買っちゃおっと」 

千歌「よーちゃんお買い上げー!」 

曜「…ちかちゃん、このお店の回し者とかじゃないよね?」 

梨子「千歌ちゃんなら有り得なくないわね…」 

………………

………

 

9名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:46:32.94ID:69Tt2tQH

千歌「梨子ちゃん右!右!あっあっ行き過ぎ行き過ぎ!」 

梨子「ち、千歌ちゃんうるさい!私だってこのくらい取れるんだから…」 


ヒョイ ウィィン… ポロッ 


「あああ~~~!」 

梨子「もーーっ!千歌ちゃんのせいよ!」 

千歌「えーー?!チカ応援してただけなのに!」 

曜「惜しかったよ、梨子ちゃん。次は取れるって」ドンマイ! 

梨子「そう言いながらもう800円よ。もしかして曜ちゃんはここの回し者…って、なにその量」 

曜「いやあ~、やるやつやるやつみんな取れちゃって」こんもり 

梨子「私もうゲームやめるーーーっ!」エーン 

千歌「あー、よーちゃんが梨子ちゃん泣かせたー」 

曜「えー」 

………………

………

 

10名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:47:07.67ID:69Tt2tQH

千歌「梨子ちゃんなに見てるの?」ヒョコ 

梨子「五線譜ノートよ。作曲に使うの」 

千歌「へ~!チカ音符だめだからなあ」 

梨子「千歌ちゃんは作詞担当なんだから、音符はそんなに強くなくていいでしょ?」 

千歌「でも、音符がわかったら少しは梨子ちゃんのお手伝いできるかもなーって、たまに思うの」 

梨子「千歌ちゃん…」 

千歌「梨子ちゃん…」 

梨子「…その気持ちは嬉しいけど、早く次の歌詞もらえる?」ジト目 

千歌「あーっ、だめだー!ごまかせなかったー!」アウチッ 

梨子「そんなことだと思った。まったく…あんまり遅くなると、また歌の練習ばっかりの日々が来るわよ」 

千歌「やだー…喉もたないよー…」 

梨子「だったら早く上げてちょうだい」 

千歌「ぶー」 

………………

………

 

11名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/04/19() 05:47:43.11ID:69Tt2tQH

曜「…ふう。疲れたねー」 

梨子「そうね。アイスの冷たさが心地いい」 

曜「ちかちゃんは相変わらずパワフルだよね」 

梨子「今はなにしてるのかしら」 

曜「駄菓子屋さん覗いてくるって走ってったよ」 

梨子「アイス食べてからでもいいのに」 

曜「だよね」 


千歌「おーーーい、よーちゃーん!りこちゃーん!」 


曜「あはは…呼ばれたね」 

梨子「ゆっくりアイスも食べられないのね」 

曜「行こっか」 

梨子「うん」 

♪♪♪

 

12名無しで叶える物語()2018/04/19() 05:49:37.26ID:XSrJx0bo

∬∬∬ 

果南「あ~あ…」 

ダイヤ「大きな溜め息ですわね。どうかなさいましたの?」 

果南「最近、チカが遊んでくれないなーってさー」 

ダイヤ「ふふ。私から見ても、千歌さんは曜さんと梨子さんにべったりですものね」 

果南「小学生の頃はさー、曜と二人揃って『果南ちゃん果南ちゃん』って、そりゃあ可愛かったんだよ」 

ダイヤ「はいはい、何度同じ話を聞かせますの?もう、一言一句たがわず暗唱できてしまいますわ」 

果南「だあってさー」 

ダイヤ「わかってますわよ、」 

ダイかな「「お姉ちゃんは寂しいよー」」 

ダイヤ「…ほら、ね」 

果南「ほらねじゃないよー。そこまでわかってるんだったら、なんとかする方法一緒に考えてよ」 

ダイヤ「次は何度同じ話をさせますの?一言一句たがわず暗唱できるでしょうに」 

果南「わかってるけどさ、」 

ダイかな「「だったら自分から誘えばいいんですのよ」」 

果南「ほーら」 

ダイヤ「ほーらじゃありませんわ。マニュアルを覚えたのなら実行なさいな」 

果南「…ダイヤのスパルタ」 

ダイヤ「愛する子には旅をさせよ、ですわ」 

………………

………

 

13名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:50:28.20ID:XSrJx0bo

果南「………」 


『チカ』の文字を見詰めて、ダイヤの言葉を思い出す。 

――だったら自分から誘えばいいんですのよ。 

いや、思い出すまでもない。 

本人が言うように、それこそもう何十回、何百回言われたか知れない。 

思い出すまでもないし、言われるまでもない。 

たった四文字、『遊ぼう』と打って送信ボタンを押してスマートフォンを放り投げるだけ。 

それだけのことで、きっと明日にはチカと楽しい休日を過ごせるのだ。 

だけど。 


『チカ明日あそぼー』 


果南「…それができるなら苦労してないって」 


溜め息と一緒に削除ボタンを連打する。 

いつからこんな風だっただろうか。

 

14名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:51:14.29ID:XSrJx0bo

昔は、チカに会いたいと思うことなんてなかった。 

会いたいと思わなくても、会おうとしなくても、ほうっておけば自然に会う相手だったから。 

それにあの頃は、チカは曜と同じ。 

可愛い可愛いただの妹だった。 

それがいつからか、そうではなくなった。 


――果南ちゃん! 

――すっごい果南ちゃん!今のどうやるの?! 

――果南ちゃんのダンス格好いいよね~。 

――がんばろうね!果南ちゃん! 


中学に上がって一年離れ。 

高校に入って一年離れ。 

休学し始めて一年離れ。 

やがて再会したときには、もうチカはチカではなくなっていた。

 

15名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:52:06.83ID:XSrJx0bo

それは高海千歌の変化だったし、松浦果南自身の変化だった。 

何年ぶりかに真っ正面に立ったとき、チカの変化を感じた。 

なにをするにも誰かの後ろで、周りの様子を窺って、だめだと感じたらすぐに手を引いて。 

そんなチカはもうどこにもいなかった。 

瞳に強い光を宿して、目指す方をただまっすぐに。 

先頭切って、胸を張って、仲間の手を引いて。 

そんなチカに出逢ったときからかもしれない。 

私にとってのチカが、ただの妹ではなくなったのは。

 

16名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:53:01.12ID:XSrJx0bo

果南「…おまえが悪いんだぞ」 


新品のようにぴかぴかのスマートフォンに悪態をつく。 


果南「打って、送信して、返事待ってなんて、ややこしいんだよ。昔だったら『明日遊びにいこう』って言って『うん』で済んだのにさ」 


ぽいと放り投げて、ごろりと仰向けに。 

チカの笑顔と、ダイヤの言葉と。 

ぐるぐる、ぐるぐる。 

回って止まないこんな気持ちには、もう飽き飽きだ。 


果南「あーーー、もう!走ってこよ!」 


髪をぎゅっと縛って、夜の内浦へと飛び出した。 

∬∬∬

 

17名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:53:58.72ID:XSrJx0bo

∬∬∬ 

千歌「果南ちゃーんっ、明日どこか遊びにいこっ」ギュ 

果南「チカ。どうしたの突然」 

千歌「起きたら迎えにいくから準備しといてね!じゃね!」タタタ… 

果南「お、起きたら?!チカしだい過ぎない?!…って、行っちゃったし…」 


「じゃあこの問題を…松浦」 

果南「わかりません」 

「よし。黒澤、答えてみろ」 


果南「イチ ニッ サン シッ ヨン ゴー ロク ナナッ」パンパン 

果南「梨子、少し走ってるよ。鞠莉は曜の方に寄り過ぎ!」 


鞠莉「またね~、果南」 

ダイヤ「お疲れ様でしたわ、果南さん」 

果南「うん。二人とも気を付けて帰りなねー」 


果南「~♪ ~~~♪」カポーン 


果南「ふわ…そろそろ寝ようかな…」モゾモゾ 

果南「お休みなさーい」パチッ 


果南「………………………えっ?!私、チカに誘われた?!」ガバッ 

∬∬∬

 

19名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:54:42.09ID:XSrJx0bo

∬∬∬ 

千歌「果南ちゃん、おはよー!…寝不足?」 

果南「い、いや…ほら、チカが何時に来るかわからなかったから、早くから起きて待ってたんだよ」目ギンギン 

千歌「そっかー。ごめんね、遅くなっちゃった」 

果南「平気だよ。今に始まったことじゃないからね」 

千歌「えへへー」テレテレ 

果南「誉めてないぞー?」 

千歌「それじゃ行こっか!」 

果南「ところで、どこ行くの?」 

千歌「決めてな~い」 

果南「えっ」 

千歌「最近、全然果南ちゃんと二人の時間ってなかったでしょ。だから、なんでもいいから一緒に過ごしたかったの」 

果南「チカ…」 

千歌「ね、行こっ。お散歩だけでもいいから」 

果南「…うん、行こうか」 

………………

………

 

20名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:55:39.92ID:XSrJx0bo

テクテク… 


千歌「果南ちゃんってすごいよね」 

果南「へ?なに、突然」 

千歌「果南ちゃんって、ダンスのリズムとるとき七拍子でしょ?」 

果南「そうだっけ」 

千歌「うん。でね、チカいっつも思うんだ。私だったら七拍子でこんなに上手にリズム取れないなーって」 

果南「そう?たいしたことしてないよ。普通、普通」 

千歌「そんなことないもん、すごいもん!」 

果南「誉めたって練習メニュー減らしたりしないぞ~」 

千歌「ちぇー………って、そんなつもりなかったよ!」 

果南「ほんとに~?」 

千歌「ほんとだもん。ねね、リズム取るのやってやって!」 

果南「ここで?!」キョロキョロ 

千歌「聞きたいのー!」 

果南「意味わかんないよ…まあいいけど。やるよ」 

千歌「うん!」 

果南「イチ ニッ サン シッ ヨン ゴー ロク ナナッ」パンパン 

千歌「うんうん、これこれ。やっぱりすごいなー…チカにはできないなー」 

果南「ふふ。こんなので喜ぶなんて、変なの」パンパン 

………………

………

 

21名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:56:36.42ID:XSrJx0bo

ザァァァ… 


千歌「果南ちゃんって、海みたい」 

果南「へ?私が?」 

千歌「うん。あ、でも逆なのかな。海が果南ちゃんみたいなのかも」 

果南「それは随分荷が重いな~」アハハ 

千歌「チカの思い付きをなんでも受け止めてくれて、いつでも変わらずにそこにいる大きな存在で、そして青い」 

果南「青いってなに」 

千歌「果南ちゃんのイメージカラー?」 

果南「髪の印象に引っ張られてない?」 

千歌「えー…うーん、そうかもしれない」 

果南「適当だなあ」 

千歌「そんなことないよ。落ち着いてて大人っぽくて、深い青色のイメージだよ」 

果南「自分じゃわかんないな。それと、海が青いとは限らないよ」 

千歌「え?!そうなの?!でも見て、青いよ!」 

果南「今はね。でもほら、夕方は赤いでしょ」 

千歌「あ、そうだね」ナルホド 

果南「それと一緒。海がいつだって青いわけじゃないように、私もいつだって青いわけじゃない。…あるいは、本当は、青くなんか全然ないんだよ」 

千歌「へ?どーゆーこと?」 

果南「……ふふ。なんとなく、それっぽいこと言ってみただけだよ」 

千歌「えーー、果南ちゃんらしくなーい」ブー 

果南「お?!言ったな?どういう意味だそれは~っ」ウリャウリャ 

千歌「きゃー!あはは、やめてよ~っ」 

………………

………

 

22名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:57:38.12ID:XSrJx0bo

果南「チカ、最近はずっと曜と梨子と一緒だよね」 

千歌「うん!一緒にAqoursやってるからっていうのももちろんあるけど、なによりよーちゃんと梨子ちゃんが大好きだから!」 

果南「花丸たち一年生とか、私たち三年生のことは大好きじゃない?」 

千歌「そんなわけないじゃん!みんな大好きだよ!でもね、…ちょっとだけ特別だから」エヘヘ… 

果南「――!」ドキッ 

果南「特別…か」 

千歌「うん。よーちゃんは昔っからの一番大切な友達だし、梨子ちゃんだって、まだ知り合ってから長くないけど、おんなじくらい大切だから」 

果南「昔っから……って、私も曜と同じくらいの付き合いなんだけどなー?」ジト 

千歌「へ?!だ、だから果南ちゃんのことも大切だよ!大好きだからね?!」 

果南「あーあ、傷付いちゃった。淋しいなー」 

千歌「だーかーら~、違うんだってばーー!」ワーン 

果南「へへ…冗談だよ。わかってるって」ヨシヨシ 

千歌「うう…果南ちゃんのいじわるー」 

果南「でもやっぱり、特別な相手は…特別だよね」 

千歌「…うん。そうなの」 


――――ズキ…ズキ… 

∬∬∬

 

 

23名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:58:37.34ID:XSrJx0bo

*** 

果南「さ、花丸の番だよ」 


ガサゴソ ヒョイッ 


花丸「201号室ずら」 

鞠莉「ワオ!マリィと同じ部屋だね、ハナマル!」 

ルビィ「ルビィも!」 

花丸「よろしくね、マリちゃん。ルビィちゃん」 

果南「あとは…善子、まだでしょ」 

善子「ヨハネよ!魔手により導かれし運命の相手は…誰だーっ!」バッ 

ルビィ「203号室だって、善子ちゃん」 

ダイヤ「あら。私と同じ部屋ですわね」 

善子「げっ…」 

ダイヤ「今、『げっ』っておっしゃいました?」 

善子「言ってません」 

ダイヤ「ねえ…鞠莉さん…後輩から避けられてますわ…」イジイジ 

善子「さ、避けてないわよ!そんなんじゃないわよ、大丈夫!!」アセアセ 

鞠莉「よーしよし。二人とも black hair だから仲良くなれるヨ」 

ダイヤ「私はただみんなと仲良くしたいだけなのに…」イジイジ 

善子「だからごめんなさいってば!!…っていうかその理屈なに…」

 

24名無しで叶える物語(茸)2018/04/19() 05:59:20.81ID:XSrJx0bo

曜「あとは果南ちゃんだけだね」 

果南「うん。でも、もう引くまでもなくわかってるね」 

千歌「あ、そっか。まだ一人しか決まってない部屋があるもんね」 

果南「そういうこと。だから必然的に私は204号室に決まりで、相方は――」エーット 

梨子「あ、はい。私です」ノ 

果南「梨子か。よろしくね」 

梨子「よろしくお願いしますっ」 

果南「あはは、そう堅くならないでよ。仲良くやろうね」ニコッ 

梨子「はいっ」ニコッ 


果南 チラッ

梨子 チラッ 

――やったー、よーちゃんと一緒~。 

――ナイスくじ運、だねっ!ゞ 


果南「……………」 

梨子「……………」 

………………

………