サヨナラの意味 裏側

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※今回の裏側は相当長いのでご注意ください。

 

書いたきっかけ

本作品は、乃木坂46の同名曲のPVを元に書いたSSです。友人の勧めで観たこのPVに強く感銘を受け、ぜひともラ!でSS化したい、と思い立ったのがきっかけです。

このPVは乃木坂46のファンの方々の間でも好評なようで、タイトルで検索すると「本気で小説化してみた」などという試みにいくつか出会います。それらに目を通したことはないのですが()、PV自体が強いストーリーとメッセージ性を有しており、創作を趣味とする人であれば自分なりの形に落とし込みたくなるのも大いに頷けます。(機会があればぜひ本家PVも観てみてください)

 

 

SS化するかどうか、という葛藤について

幸い、私が検索した限りではラ!のクロスパロとしてSS化または小説化している前例はなさそうだったので、気兼ねなく着手することができました。(本作みたいなのもクロスパロって呼ぶんですかね?よくわかりませんけど、ここではそう呼びます)

 

『サヨナラの意味』に目を着けたとき、まず考えたことは「ラ!のSSとして完成させることができるのか?」という点でした。クロスパロを書く上で最も大きな課題(になると思っている点)である、「その二作(または三作以上)でクロスパロさせる意味はあるのか」に焦点を置いたわけです。

私はクロスパロ自体をこのとき初めて書こうとしたので、相当手探りでした。参考までに、読んだことがあるクロスパロはポケモンとラ!くらいでしたが、なるほど、ポケモンというシェアードワールドがクロスパロに向いているんだな、と感じることは多かったです。ポケモンはそれぞれ異なる世界軸のアニメもありマンガもありゲームもあり、そのゲームも世代ごとに全く違うストーリーがあり、と本家そのものがシェアードワールドと呼べる状態であるため、クロスさせるもう片方の媒体をきちんと活かしてさえしまえばかなり精度の高いクロスパロに仕上がるのだ、と思いました。

では、今回の『サヨナラの意味』ではどうか? 観ていただくとわかるとは思いますが、実際、一作品としての力が強過ぎるというのが感想です。わずか数分のPVとは思えない世界観がそこにはあり、正直、二次創作をする必要は全くない(あるいは二次創作させることを許さない)のです。「ここでストーリーがこんな風に分岐していたらどうだったのか?」というifが介入する余地さえない、といえばその芯の太さを想像していただけるでしょうか。そんなわけで、双方の世界を噛み合わせて、その両者でしか成しえない新しいストーリーを作る、ということは早々に断念しました。取った形は、既存の『サヨナラの意味』にラ!のキャラクターを役者として当てはめて再演する、というものです。演劇公演のリバイバル的な物の考え方ですね。

 

まあ、それはもう「物書き」ではなく「(演劇などの)監督・プロデューサー」の仕事範囲になるので、そんな形を取るくらいならもはややらなくていいレベルのものだったのですが…

私の創作意欲が「物書き」の範疇を超えてしまうほどの題材に出会ったのだということで、葛藤は捨て置くことにしました。(こいついつも葛藤捨ててんな)

 

 

それぞれの役のキャスティングについて

本作、だいたい思い付きで筆の気分に任せて物を書き進める私には珍しく、結構しっかりとしたプロットを作りました。そもそも冒頭からオチまで決まっており、大きく解釈や展開を変えてしまうつもりはなく、きちんと大筋を意識しながら書き進めなれば途中から絶対勝手なことをし始める(キャラクターではなく私が)という自信があったので、それは面倒くさがらずにやりました。

ただ、肝心のストーリーが出来上がっている以上、監督として最も重視すべきはキャスティングでしょう。『サヨナラの意味』の各キャラクターが持つ背景や行動指針などを一つひとつ見ていったところ、メインキャストが決まるのにそう時間はかからなかった記憶があります。

 

最も初めに決まったのはダイヤでした。

妹がいる点、また家柄が、もうなんだか考えるまでもなくピッタリ当てはまっていたからです。サンシャインの企画が始まったばかりの頃は「おいおいw 同じグループ内に姉妹ってw」と思っていましたが、このときほど感謝したことはありません。やがてAqours最推しカプが黒澤姉妹になるのは別の話なので置いておきますが、立場ある家の長女、という肩書は創作物においてそうそう中身が大きく変動するものではないため、キャラクターとしての親和性も高く扱いやすかったです。

 

次に決まったのは希…と言いたいところですが、実際は南さん(親鳥)でした。

南さんはダイヤよりも先に決まったかもしれないくらいです。『サヨナラの意味』の再演には必ず大人が一人は必要だったのですが、まさかラ!でキャスティングしているのに一人だけオリキャラを出すわけにはいかないので、南さんの存在には本当に救われました。加えてその大人は「御三家(これは本家PVにはない、私のオリジナル設定です)」に属する人でない方がよかったので、南家はちょうどいい立ち位置でした。

バランス調整もかねて娘のことりがチョイ役(かつちょっとイヤな感じの役)になったことは許してほしい点です。

 

希のキャスティングは、花陽と迷っていました。

この役のキャスティングについてまず考えたのは、μ'sの中から選出したい、ということです。『サヨナラの意味』は人数の関係上、またストーリーが持つ意味合い上、必ずμ'sとAqoursの両方を出演させるつもりでした。その中で、せっかくなら普段は組まないメンバー同士が関係を持ってほしいな、と個人的な願望があり、ダイヤの相手を果南や鞠莉にさせる選択肢はありませんでした。(他のキャスティングでどれだけ両者を混合しようと、メインキャスト二人がAqoursではどうしてもバランスが片寄って見えたと思います)

ダイヤが役的にも役者的にもかなりカタくて強いので、相方はできるだけカタくない子、という目線で選びました。かつ、役に合うような、悩みを自分の内側で溜め込んで吐き出さなさそうな子…と考えた結果、希かかよちんかなと。希の方が話を動かしやすそうだと感じたことと、学年的な力関係が発生しないようにしたことで、希に決定しました。

 

果南とにこ

主人公二人が三年生、特に希が三年生なので、親友的なポジションの二人も三年生からキャスティングすることにしました。

ここまで来ると残っている役者もそう多くなく、「御三家」になってもらった鞠莉を除くと自然に決まりました。が、のぞにこかなんというこの三人組、非常に収まりがいいなーと感じています。にこと果南がそれぞれ違う方向を見ながら希を引っ張っていく感じや、我の強そうな二人を希が見守る構図、にこと果南(と希)の悪友っぽさなど、下手をするとμ's三年生組よりも好きかもしれません。(ごめんえりち)

あまりこの三人でワイワイやっているシーンを書けなかったので、スクスタ時空が解禁された今、一本書き起こしてもいいなーなんて思っています。

 

残りの方々は概ね端役となり、本家PVの中で明確に役があるのは上述だけです。

いくつかのグループに分けてみましたが、それぞれ「μ'sとAqoursのメンバーを組ませる」ことを大きな主眼に据えています。

明確な役がない分、役者の性格や行動指針はできるだけ残しつつ書いたつもりですが、特殊な世界観も相まってしっくり来ないキャラクターもいると思います。推しがそうであったり、あるいはそうでなくとも「う~ん…」と感じるキャラクターがいたりする場合はごめんなさい。

 

 

その他の設定について

キャスティングさえ決まれば、そこからは元々のストーリーが勝手に導いてくれるので、あまり苦労はしませんでした。

しかし短い映像作品をある程度の文章に起こすため、やはりいくらか設定を自前のもので補う必要はありました。ここではそれらを紹介しますが、原初プロットよりそのまま引用しているので、もしかしたら本編と微妙に噛み合わない部分があるかもしれません。また下記はあくまでも私が書いたラ!SS『サヨナラの意味』内の設定であるため、誤解のないよう。

 

人と、感情が昂ると身体からトゲが生える亜人『棘人(しじん)』が共存する村、『沼津ヶ村』での話。

七年に一度執り行われる、人と棘人の融和の儀『棘刀式(しとうしき)』を中心に、人と棘人の付き合い方を巡る。

 

棘人…ダイヤ、ルビィ、絵里、梨子、あんじゅ、凛、曜、ツバサ

人…希、果南、にこ、海未、鞠莉、聖良、理亞、花陽、花丸、南さん、穂乃果、善子、ことり、英玲奈、千歌、真姫

 

棘人

感情が昂ると身体からトゲが生える亜人。体質の正体は母子遺伝する病気であり、血液の流れが活発になると血管の一部が硬化して内側から皮膚に食い込み、それがトゲのように見えるというもの。ただしこれは御三家当主のみが知る事実であり、それ以外の村民には棘人を人間ではないと認識している者が大半を占める。

 

『棘人とネコ』

沼津ヶ村を中心に伝わる小説。村の外では棘人の存在はフィクションとして扱われている。

 

黒澤家

御三家の一つで、御三家唯一の棘人の家系。

 

園田家

御三家の一つで、村の内側に対する監視役。村内の揉め事を一段する権利を強く有している。

 

小原家

御三家の一つで、村の外側に対する監視役。村外の組織との交渉時には面に立つ。

 

棘刀式

七年に一度執り行われる、人と棘人の融和の儀。主な内容は、人と棘人による演舞と、棘人のトゲを人が斬り落とす儀式。二十歳未満の者から棘人の代表者を選び、次に人から同い年の代表者を選ぶ。

 

各キャラクターにもそれぞれ短いプロフィールを設定していますが、あまりに膨大な量となるので割愛します。

こうして振り返ると、相当『ひぐらしのなく頃に』の影響を受けているように見えますね。

 

参考:キャラクター相関図

 

『棘人とネコ』について

『棘人とネコ』は本家PVに登場する小説ですが、表紙しか映らず内容が全くわからないので、全て想像で書き下ろしました。それゆえ非常に本編とリンクした都合のよい内容になっています。

 

 

本編の描写形式について

本編は、描写形式が三つに分かれています。

◆◆◆が『棘人とネコ』、◇◇◇が平和そうな学園風景、それ以外(占占占、>< >< ><など)が沼津ヶ村の出来事です。

 

『棘人とネコ』はストーリーの構成上で入れたものですが、他の二つは叙述トリックを仕込んだつもりのものでした。ふたを開けてみると全く機能しなかったようで、残念ですが…

自分でからくり(しかも空振りしたもの)を説明するというのも情けないのですが、ここはそういうページなので大目に見てもらえると思って書きます。

 

本作は、スクフェス時空のようなμ'sとAqoursが一同に会する時空で、みんなで『サヨナラの意味(沼津ヶ村での出来事)』の演劇をやっている――――ように見せかけておきながら、実際には沼津ヶ村での出来事が現実で、平和そうな学園風景はダイヤが夢見ていた空想の世界、というどんでん返し的オチが待っています。

でも、どうですか、これ機能してましたか? 各所での反応を見る限り、全く機能していなかったように見えるのですが…

学園風景の方は作り物であることのヒントとして演劇の台本的な書き方をしています。だから…だからみんな途中で気付いて、最後に答え合わせができて「やっぱりね」ってなったから、あえて話題にしなかった…だけ、ですよね…?

 

 

『音乃木坂46』について

原スレは、スレタイが 【SS】サヨナラの意味【音乃木坂46】 でした。

これは検索に引っ掛けやすくするための文字列だったので、本サイトでまとめるにあたっては前後を省いているのですが、うーん…あまりラ!板での反応がよくなかったのはスレタイのせいなのかな、と思っています。(反応はよくなかったというかほぼ無でした)

「うわ乃木坂とか言ってるよ」

「音ノ木坂の漢字間違ってね?」

というヘイトが多かったのかな、と。

 

ラ!というアイドルコンテンツの場に他のアイドルを持ち込んだことは、少なくともスレタイにはっきりわかる形で記載したため敬遠される要因になったのではないかと感じています。また、当然「音ノ木坂」と「乃木坂46」をかけての表記ですが、これが「誤字=雑魚ファン」と認識されてスレをひらいてもらうまでに至らない要因になった、とか。

もちろん単純に内容が評価される水準に達していなかったのだという見方が最も謙虚で現実的なのですが、正直に言うと、われながら本作は非常によくできた作品だと思っています。地の文の乗りもかなりよかったし、ストーリーは元々別格のものを借りているので拙いはずがない。土台が高かったことも相まってなかなかの仕上がりになったと自負していたので、投下時あまりにも無反応だったのはめちゃくちゃショックでした。

ラ!板でSSを書き始めてから、本作までほぼ週一新作という自分でもちょっと引くくらいのペースで書いては投下していたのですが、この無反応によるダメージは大きく、しばらく筆が止まりました。リアルの生活環境の変化も原因にはありましたが、ここを機に執筆ペースはガタ落ちしました。先入観なく読んでもらえれば絶対に面白いと思ってもらえる自信がある…んですけど、それも含めて技量ですね。SS書きとして一つの大きな転機となった作品です。

 

愚痴はこの辺にして、『音乃木坂46』という言葉には上述よりもう一歩だけ踏み込んだ意味があります。数字の部分で、当然乃木坂46からそのまま借り受けた数字なので、厳密には『46』という数字に合わせて本編をわずかに調整した、と表す方が適当かもしれません。

本編最後の2~3レスでのみちらりと触れる数字、人数。現実と理想で一人二役を演じたみんな。

そんな感じです。

 

 

頂いた感想(ラ!板、まとめ、ツイッターから)

・連用止めが多すぎる。多用するもんじゃない

・知らないキャラしかいない

・あかん、久しぶりにめちゃくちゃ良SSに出会ってしまった。世界観がたまらない… μ'sとAqoursそしてA-RISEとSaint Snowがスターシステム式に出てくるのが大好きや…

・乃木坂の方は見たことないけどすごくよかった。いろいろと考えさせられるいいss

・オチは好き

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コメント: 1
  • #1

    黒楼 (月曜日, 23 3月 2020 18:01)

    沼津ヶ村での出来事の内容が濃すぎてそれが演劇だとは思わなかったですね……
    親鳥や園田親のような大人の存在もありますし